佐久ユウ

SF好きによる、SF物書きです。SFと読書について考えた読書記録。

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最近の記事

SF読みが舌がんになった件 その4

診断編。不安な日々でも読めた本と、漫画『木曜日のフルット』を添えて前回までのあらすじ  口内炎だと思っていたら、大学病院で精密検査をすることになり、人生初のMRIと、新しいことの連続だった約1ヶ月、とうとう結果が出ることに……。 「SFも病もお気楽に。人生をやり過ごすのはそれが大事」をモットーにしたSF好きの体験記です。 ドキドキの検査結果  実際検査開始から、結果を聞くまでに2週間の時間がありました。この時間はとてつもなく長く感じた日々でした。  「きっと良性だろう」

    • SF読みが舌がんになった件 その3

      まるで高架橋下!? MRI検査を支えたSF前回までのあらすじ(ご注意)  このお話はSF好きが舌がん(ステージ1暫定)の体験をお気楽に綴るエッセイです。医学は素人。「SFも病もお気楽に。人生をやり過ごすのはそれが大事」をモットーにしております。  さてそんなSF読みは、10月某日、口内炎?が広がったような気がして耳鼻咽喉科、大学病院を紹介され、S…いやいや、研修医の先生による「お優しい」生検を受け別日にMRIを受けことになったのでした……。 『グッド・ドクター』の(?)、

      • SF読みがガンで舌を切ることになった件 その2

        はじめに(ご注意)  このお話はSF好きが舌がん(ステージ1暫定)の体験をお気楽に綴るエッセイです。医学は素人。モットーは「SFも病もお気楽に。人生をやり過ごすにはそれが大事」です。 大学病院、検査編。まるでRPGゲームのミッション!?  さて、Drの告知から遡ること約2週間前。  大学病院の診察室で日帰り手術をすると思い込んでいた私は「入院して手術しないとだめ」「手術のための検査を色々する」と聞き、今日は「生検」などの検査を受けるだけ「入院は絶対」というショックのまま

        • SF読みがガンで舌を切ることになった件  その1

          はじめに(ご注意)  こんにちは。佐久ユウです。普段はXで読書垢をしているSF好きであり、自分でも小説を書いたりもします。  そんな私は、2024年10月某日。「へんぺいじょうひがん(扁平上皮癌)ステージ1ですね(まだ検査中のため暫定)」とDrからお達しを受けました。タバコも酒もやらない健康だけが取り柄だったので、「ガーン」と石が頭上に落ちてきました。不謹慎な冗談を言わないとやり過ごせないくらい不安が降ってきたのです。「なるほど。これが当事者ならではの不安感か……」と他人

          アン・マキャフリー『歌う船』を読み比べたら翻訳って楽しい♩となった

           創元SF文庫より、アン・マキャフリー『歌う船』新訳、完全版が2024年7月に発売されました。  偶然、とある古書店で別の翻訳者の旧版を見つけ、完全版の前に読み始めていたのですが、新訳との違いが色々発見できて楽しかったので、備忘録的にまとめ紹介したいと思います。 新訳完全版はこちらです。 アン・マキャフリー 著.嶋田洋一訳. 歌う船. 完全版, 東京創元社, 2024.7, です。 旧版は(手持ちの分は表紙イラストが違う、初版本です)こちらです。 アン・マキャフリー 著.

          アン・マキャフリー『歌う船』を読み比べたら翻訳って楽しい♩となった

          読み手として、書き手として譲れないたった一つのこと

          読書垢だけでなく読者会に参加していると、いろんな読み方があって面白い。だけど時々、読み手の読み方を正そうとする書き手に出会うことがある。 そういう出会いでは、「あ、痛いところを突かれた、と感じたのかなぁ……」と思う一方、誤解されたくないという書き手の思いが強すぎて何だか辟易してしまう、読み手でもある。 誤読、誤解は読書につきものだ。それは読み手由来のものと、書き手由来のものとがある。 私はどっちもあるが、最近とみに思うのは「正しさ」を追求する書き手が多くなったな、という

          読み手として、書き手として譲れないたった一つのこと

          SF好きとして、さなコン2024の最終選考作品を読んで思ったこと

           今回から大きく変わった「日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト2024」通称「さなコン」。(2023年までの選考通過者への選考委員のコメントシート、一次通過者の評価もなく、最終選考者の発表となった点など)  そのためのなのか、昨年と比較して応募数とXでの盛り上がりが欠いた気がしたのは気のせいでしょうか……。  という前振りはさておき、案の定最終選考には残らなかった身として、最終選考作を全て読み、今後に繋げようという前向きなエッセイです。(最終候補作品それぞれへの言及では

          SF好きとして、さなコン2024の最終選考作品を読んで思ったこと

          古沢広祐『いまさらだけど「人新世」って?』をSF読みが読んだメモ

           今回のテーマは「人新世」(ひとしんせい、じんしんせい)です。 (#SFじゃない本たち のタグでは、普段SF読みの私が、SF以外の本で考えさせられた著作をメモ的に紹介しています) (これは評論ではなく、エッセイなのでお気軽にお読みください。なお著作は私の読解力で読み解いた理解である点にご注意ください) 古沢広祐 著. 今さらだけど「人新世」って? : 知っておくべき地球史とヒトの大転換点, WAVE出版, 2024.3.  読み始めた動機  前回、齋藤幸平『カール・マル

          古沢広祐『いまさらだけど「人新世」って?』をSF読みが読んだメモ

          とあるコンテストに応募し、佳作となるまで

          はじめに  私は1人で「超知能がある未来社会シナリオ」に応募し、ありがたいことに「佳作」を受賞しました。授賞式は5月31日、人工知能学会の中で行われました。  今回のコンテストでは優秀賞該当なし。佳作8作品、入選4作品でした。 チームで応募され受賞された作品もある中で、AIに「ド」が付くほど素人だった私が一人でどうやってコンテストに挑み、作品を作ったのかという制作秘話(?)です。小説などで創作されている方のご参考になれば幸いです。 「超知能がある未来社会シナリオコンテスト」

          とあるコンテストに応募し、佳作となるまで

          齋藤幸平『カール・マルクス資本論』をSF読みが読んだメモ

          今回のテーマは「AIと資本主義の類似性と親和性をSF読みが考える」です。 (#SFじゃない本たち のタグでは、普段SF読みの私が、SF以外の本で考えさせられた著作をメモ的に紹介しています) (これは評論ではなく、エッセイなのでお気軽にお読みください。なお著作は私の読解力で読み解いた理解である点にご注意ください) 斎藤幸平 著ほか. カール・マルクス 資本論 : 甦る、実践の書, NHK出版, 2021,  読み始めた動機 最近、AIを勉強しているのですが、「AI開発っ

          齋藤幸平『カール・マルクス資本論』をSF読みが読んだメモ

          SF初心者が一年のはじまりに考えたこと

          SFのここが好き!  私がSFを読み出したのは、2023年2月だ。それより前にも星新一や、SF要素ある映像作品を観てはいた。  でも「SFを読むぞ!」と思い読み始めたのは昨年2月のことで、それが面白く、この読書体験を誰かと共有したくてX(旧Twitter)をはじめた。  SNSをやったことない私をSF作品が変えた。初めて人生のライフワークを見つけた心地だった。  SFの何がそんなに私に刺さるのか? 一年のはじまりに考えた結果、こう思う。    1、SFは自由である  2、

          SF初心者が一年のはじまりに考えたこと