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活動前の心の準備運動「グラウンディング」とは? 短時間で集中力を高める工夫
「朝いきなり仕事はじめてません? グラウンディングがおすすめですよ」
先日こんな一言をかけられました。はじめは「グランディング?何それ?」と思いましたが、すすめられる通りに実践してみると、集中力を上げるとても効果的なメソッドであることがわかりました。
スポーツをする時には良いパフォーマンスが出るように準備運動をします。一方、仕事に取り掛かる時には大した準備をせずにいきなり仕事をはじめてました。これはスポーツで言うと準備運動も何もせずにいきなり試合に出ているようなもの。反省しました。
仕事に限らず、勉強や趣味など、集中力を高めてパフォーマンスを発揮したいシーンで、自分の中にあるエネルギーを集中させる工夫について考えます。
グラウンディングとは
グラウンディングは、体の状態に気づき、エネルギーを集中させるメソッドの名前です。グラウンディング(Grounding)という言葉は「地面に接地する」という意味です。そこから「地に足をつけて生きる」といった意味合いや、「大地に根を張るように自分の軸を安定させる」といった意味合いを含んだ言葉として使われています。
手法としては少し瞑想に似ていますが、自分の体が今どんな状態なのかを知るために行うものです。安定し整った心身の状態を目指します。仕事や勉強など、集中したいワークの前の心の準備運動に良い手法です。
我々は普段無意識に周りの多くのものに注意が向いていて、エネルギーを使っています。いわゆる注意力散漫な状態です。その自分の状態を自覚し、意識を一点に集めることができます。
グラウンディングには以下のような効果が期待できます。
【グラウンディングで期待できる効果】
・自分の軸を自覚し、ぶれない自分になる
・集中力が高まる
・ポジティブマインドを醸成できる
・焦りが減り冷静さを取り戻せる
・余計な不安を回避できる
・穏やかな人間関係を構築できる
・自分を信じ、自信が芽生える
・リラックスできる
本来自分の中に眠っているエネルギーや強さを取り戻す感覚ですね。心身ともにクリアになるので、理想的な状態で物事に向き合うことができます。
ではその具体的なやり方を見てみましょう。
グラウンディングのやり方
グラウンディングはマインドフルネスや瞑想に似ています。「大地に根を張るように自分の軸を安定させる感覚」が大切です。自分の内面に意識を集中していきます。
具体的には下記のようなステップで取り組みます。
1.リラックスできる姿勢でゆっくりと目を閉じます。イスに深くもたれかかったり、床に横たわったり、自分にとってリラックスできる姿勢を選びます。私のおススメは床に大の字に寝転がる姿勢です。
2.リラックスしている状態がどのように感じられるか、感覚を味わってみます。手の平はやわらかいボールを持っているような感覚で、丸みを持たせます。口元には軽く笑みを浮かべます。
3.呼吸に意識を向けます。自分の呼吸に気付き、頭の中に浮かぶ言葉にただ気付きます。何も変える必要はなく、ただ気付くだけでよいです。
4.体とイス、または体と床が密着しているところに意識を集中させます。イスや床が体を支えてくれているのを感じ、呼吸・心臓の音・筋肉の緩み・左右のズレなどを意識します。
5.徐々に意識を体の下の方に向けていきます。腿から膝、膝から足首へ。そして足の裏から地面へ、寝ている場合は背中から地面へ根を生やすようなイメージをしてみます。
6.その時に、自分の内側で何が起こっているのかに気付きます。呼吸、心臓の音、筋肉の緩み具合など、変化に意識を向けます。変化がなくてもそれはそれで良いです。
7.体の内側の静けさを感じる場所を探します。そこが見つかればそこに意識を向けます。
8.ゆっくり目を開けます。目を閉じる前と後で何か変化があったかを感じます。
時間は個人で自由に決めてやるのが良いです。私の場合5分では短く、10分は眠気が出てしまうので、7-8分でやっています。
やりはじめた時はうまく意識が静まらずに意識が散漫なまま落ち着きませんでしたが、やっていくうちに自分なりのやり方に気付いていきます。私の場合はかなり深い呼吸をするように意識しています。ゆっくり大きく吸って、しばらく止めて、ゆっくり大きく吐く。これを繰り返すうちに、気持が落ち着いていくのと呼吸に意識が向くので他の余計な雑念が消えていく感覚があります。
また、横たわってグラウンディングをすると、私は後半数分は空に浮かんでいるような感覚を感じます。ラピュタのシータがゆっくり空から降りてくる、あんな感覚です。さながらグラウンディングからのフライング、という感じでしょうか。この感覚までいくと、意識が集中できたと実感します。
どこでもできるグラウンディング
私は朝のグラウンディングはベッドに寝て行いますが、イスに座ってもできるので、場所を選ばずどこでもできます。
オフィスで重要な会議がある時、商談で取引先と交渉しなければならない時、習い事の発表会やスポーツの試合の前など、イスやトイレの個室を探して、2-3分でも良いのでグラウンディングをすると、集中力が高まり、パフォーマンスが大きく変わってきます。
また、グラウンディングとは「カラダと地面との接点に意識を向ける」ということですので、実は動きながらもできます。ウォーキングをしながら、足裏に意識を集中させることでも可能です。
例えば朝の通勤の途中で、少し時間に余裕を持たせて出発し、歩調を緩めてゆっくりと歩きながらグラウンディングをする。仕事に向かいながら、集中力を高めることもできます。逆に帰り道は、仕事のモヤモヤ、ストレスを抱えていたとしても、帰宅途中でグラウンディング歩行をすることで、イライラを鎮めることにも役立ちます。家に着くころにはスッキリと気持ちの整理ができて家族に笑顔で「ただいま」と言えたりします。
おススメの朝の10分ルーティン
私がこの1週間続けて自分なりにフィットしてきたルーティンをご紹介します。たった10分間のルーティンですが、とても有効です。
・仕事を開始する30分前までに食事等の身支度を全て終わらせます。
・そこからタイマーを7分セットし、瞑想の音楽を小ボリュームで流し、ベッドに横たわってグラウンディングをします。
・その際、部屋はカーテンを閉じて、かすかな音が聞こえるだけの空間にします。
・体は完全に脱力させ、顔の筋肉もゆるめ、口は少し笑みを浮かべます。
・グラウンディングで意識が整理でき、7分のタイマーが鳴るとゆっくりと目を開けます。
・起き上がり、そのままベランダに出て太陽を浴びます。
・両手を大きく左右に伸ばし、胸を開いて大きく深呼吸をします。時間はだいたい2-3分間。
以上で大体10分間です。この時点でかなり気持ちは落ち着き、集中力が高まっている状態です。そこから、その日にやることリストを整理し、仕事に取り組むとパフォーマンス高く動けます。たった10分間ですが、これをやるのとやらないので効率が激変します。
このルーティンはしっかりと朝日を浴びることがセットです。朝、光を浴びると、脳にある体内時計がリセットされます。また、体内時計からの信号で、メラトニンの分泌が止まります。メラトニンは目覚めてから14〜16時間ぐらい経過すると体内時計からの指令が出て再び分泌されます。 徐々にメラトニンの分泌が高まり、その作用で深部体温が低下して、睡眠を促します。朝しっかりと太陽を浴びることで、夜の快眠へつながります。
朝のルーティン、一度試してみてはいかがでしょうか。
まとめ
「グラウンディング」という言葉はあまり聞きなじみがないかもしれませんが、自分の中の軸を意識し、ブレない自分、ひいては自分を信じる「自信」にもつながるメソッドです。
我々は日々たくさんの刺激に囲まれ、集中力散漫な状態でくらしています。そんな中でも、高いパフォーマンスを発揮し、豊かに生きていくためには、自分のコンディションをセルフコントロールする術を持っておくことが重要です。
私も取り組み始めて1週間程度ですが、完全に朝のルーティンになりつつあります。そして今日はお昼ご飯の後にも取り入れてみましたが、午後に眠気を感じることなく、集中して活動できています。こうした「リセット」は1日に何度実施しても良いのかもしれません。
そして、この手法自体に「正解」などないと思います。大切なのは、自分のパフォーマンスを高めるために、意識を集中させること。言い換えれば、無駄な考えや心配事を払い落とすことだと思います。
自分だけのグラウンディングが発見できれば、それはきっとこの先、豊かに生きていく上で欠かせない大きな武器になると思います。
自分にぴったりの手法を探してみてはいかがでしょうか?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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