百舌

様々の人生を経て、現在では離島に移住してのひとり暮らし。 それでも毎日の糧に感謝して楽しんでおります。 教え子に手を引かれて、再び執筆することに致しました。 楽しんで頂けると幸いです。

百舌

様々の人生を経て、現在では離島に移住してのひとり暮らし。 それでも毎日の糧に感謝して楽しんでおります。 教え子に手を引かれて、再び執筆することに致しました。 楽しんで頂けると幸いです。

マガジン

  • COLD BREW

    都会の一角にある純喫茶。先代からの珈琲の味と香りを頑なに守り続ける男。彼の周りを織りなす女性たちの物語。

  • 二気筒と眠る

    かつて私は、旧い空冷のCBに乗っていた。二輪で旅をしていると自由になれるし、女ひとりのソロキャンプもそれなりに楽しい。 鼓動感のあるエンジン音を奏でながら、日常を振り切って旅は続く。

  • ツーリング紀行

    離島から各地へのバイク旅を綴っています。ときにはBROMPTONでの輪行も挟みます。地域のグルメ情報も多し。

  • 人魚の涙

    海流に浮かぶ夫婦諸島。雄賀島と雌賀島を主島として幾つもの無人島や岩礁がある。その深い海底には人魚が棲むという伝説がある。しかし私にはそれは伝説ではない。 水底で見上げたあの人魚の姿を忘れたことはない。

  • 恋愛掌話

    ふと気晴らしに恋愛小説を書いています。

最近の記事

  • 固定された記事

舞桜

 桜が散っている。  私のロードスターは、高台のパーキングに停まっている。  ふたり乗りのちっぽけなロードスター。  オレンジに塗られたボディに、漆黒の布製の幌が掛かっている。  急勾配の傾斜の途中に、巨人が指でつまんでこしらえたような平地が、虚空に向かって突き出している。そのパーキングのへりに平たく張りついている。  仕事がかさんでいる時期には、帰宅が深夜になることも、ままある。  エンジンの鼓動が止まり、車外に出ると、眼下には夜景が広がる。星が吹き散らされたような眺めだ。

    • 追い叉焼丼を実食してみた┃青ブラ文学部

       今日は離島の産業祭り。  この過疎の島にこんなに人がいるんか、と驚く😱人出。  今日は陶芸サークルでの商品の売り子のお手伝い。やっと片付けも終えて帰宅してきて。現地で唐揚げとか焼き鳥とかつまみ食いしていたので、小腹しか容量がありません。  祭りでチンゲン菜を求めていたので。  先日の叉焼での、追い叉焼丼に仕立ててみました。  今週末には高校時代の旧友が泊まりにきます。彼らにも喜んで貰えそうなレシピが完成しました。

      • COLD BREW 36

         既に、秒針は止まっていた。  それを確認して凍りついた。  無理もない。大晦日から元旦にかけては半死半生で、元旦を明けても半病人だった。自動巻きの螺子がそこまでもつわけがない。  時間を見ると元旦の深夜、2時23分を差していた。  ああ。その頃は史華の腕のなかにいた。  もう約束を破っている自分に腹が立つ。  再びその針を動かすのか、と自答する。  長短針を自ら合わせた祐華は既に亡い。  喉ぼとけを鳴らして悔恨を呑み下した。  仕事始めは新年四日としていた。  が、もう三

        • サッポロ一番を実食してみた┃青ブラ文学部

           ないもの尽くしの離島生活。  メガネの調整もままならず、時計の電池が切れると、次に島を渡るまで交換も出来ません。それでも何とかかんとか生活しています。  冬場になって海🌊が荒れだすと、航路が乱れて食料品も入手し難くなります。  そんな島でよく飲食店が続くなあと感心しています。    ですがここにはラーメン🍜専門店がありません。  先程はグッと胃を掴まれるようなnoteの記事をみてしまい、狂おしい思いに駆られています。やっと先週に抑え込んだ心中の獣です。  先週はYoutub

        • 固定された記事

        マガジン

        • COLD BREW
          37本
        • 二気筒と眠る
          18本
        • ツーリング紀行
          52本
        • 人魚の涙
          34本
        • 恋愛掌話
          42本
        • 餓 王 鋳金蟲篇
          12本

        記事

          二気筒と眠る 17

           娘さんが産気づいた、という連絡を受けた。  急遽、女将さんは一緒に産科に向うという。  寝床のなかで受けた連絡では、その日は私と中居さんだけで、民宿と牛舎を見ることになった。  牛舎のバイトのおばさんも民宿に入るというので、牛舎の仕事の大半は私の責任において、やる。そこまで信頼されていては、心底やりたい、と思った。  かかりの悪い早朝の空冷CBに、鞭のようにキックスタートをかけて。  自分の心根も叱咤しているにも思えた。  朝イチで牛舎に入り、寝藁を交換する。糞臭がするが草

          二気筒と眠る 17

          伊勢海老ちゃんぽんを実食してみた┃青ブラ文学部

           長崎民のソウルフードです。  ちゃんぽんって料理ですわ。  もう生粋の長崎民は、市内でしか食べることはありません。何故かというと、コレジャナイ感が強くて残念至極な思いがあるからです。  いわばちゃんぽん原理主義。  ここに至った民は新地中華街という余所行きの場所、観光できた友人をもてなすというお店にも馴染みがあり。さらには町ちゃんぽんという一見さんには敷居の高いお店にも、オキニがあります。  この町ちゃんぽんってのは、古びた構えにまた掠れた暖簾が掛かっているのが常で、とかく

          伊勢海老ちゃんぽんを実食してみた┃青ブラ文学部

          とんかつパフェを実食してみた┃青ブラ文学部

           松山の、もう幻となった名物です。  私は旅好きで自由になる時間があれば飛びだしてしまいます。  この度の時期は学習塾を長崎市で経営していて、そのお盆休みに松山へと出かけたときで、まだ家庭のあった頃です。  その先年に「坂の上の雲」のドラマ化がされていて。どうしても秋山兄弟の墓参に行きたいという衝動があったからです。  松山は一人旅で、BROMPTONでの輪行で廻っています。    現地について地元のフリーペーパーにて、「とんかつ清まる」というお店を知りました。そこではとんか

          とんかつパフェを実食してみた┃青ブラ文学部

          COLD BREW 35

           おはよう、の声を耳元で聴いた。  枕の上にその顔が微笑んでいた。  羽毛布団の中からずるずると毛布が抜かれて、それを身体に巻きつけて、史華がベッドから降りた。その背中に、ようやくおはよう、と返せた。度胸を座えた女がそうするのは、羞恥ではなく単に朝冷えのためだ。  まだ身体が自分のものではない。  頼りなく震える足に叱咤しながら、寝床から背を引き剝がした。下着をつけてトレーニングウェアを着た。  リビングに出ると史華がハンドドリップに挑んでいた。  エアコンがまだ効いておらず

          COLD BREW 35

          新生児👶に会えた❗️

           今朝から冬が来たようです。  前日との気温差5℃❗️  それでもまだまだ温かい。本番は来月でしょうね。  まだまだ己が体温だけで乗り切ります。そうでないと厳冬期の古民家は耐えられません。朝の室温が3℃になるのです。そりゃ外気温やん。  テント🏕️生活にほぼ等しい。    先日は牛舎のお手伝いにいきましてね。  一昨日産まれたばかりの仔牛ちゃんですが既に体重が30kgもあるそうです。それでも小振りだったとか。  まだまだ介助してあげないと、哺乳瓶🍼の乳首を上手に咥え込めませ

          新生児👶に会えた❗️

          二気筒と眠る 16

           喉を鳴らせて呑んでいる。  まだ一昨日に産まれたばかりで、足元も頼りない。  ばかりか哺乳瓶の乳首もちゃんと咥えてはいない。  顎を支えて口に含ませる手業を女将から教わった。  ミルクを欲しがる悲鳴のような声に、生への渇望を感じる。  一昨日の朝にこの仔は産れたばかりで、まだ呑むことに慣れていない。ミルクが喉に通らないのを地団太踏んで、むずがっている。  その民宿には桐乃婆の紹介で滞在していた。  女将と娘さんで営んでいる民宿だが、娘さんが臨月で大変なんだという。それも晩

          二気筒と眠る 16

          COLD BREW そろそろ開店か⁉️

           さて送付した履歴書の結果がそろそろ出ます。  一次選考結果が今週からぽつぽつ郵送される予定です。  さて、どうなるのかな。  現在の所、2か所の地域おこし協力隊にアプローチしています。そのいずれも関係しているのは、Café関連です。  この離島で身に着けたのは、Café飯の腕でございます。  私のnoteをよく読んで頂ける方はご理解できるでしょうが。やたらとケーキを焼く話題が出てきます。  そう離島にはケーキ屋さんが1軒しかないので、そこにないケーキは焼くしかないのです。私

          COLD BREW そろそろ開店か⁉️

          COLD BREW 34

           ことりと、腕時計を置いた。  スイスから届けられた時計。  金無垢のケースの中身は、精緻な構造の自動巻ムーブメントが収まっている。秒針は一秒ごとではなく、几帳面にゆっくりと回転する。機械的に一秒を刻む動きではなく、体温を持って息づいているようだ。  砂岩色の革のベルトは、16年を経てもくたびれてはいない。  ケースの滑らかな曲線と繋がる、特殊な形状のベルトは数回は純正交換されているだろう。ケースについた微細な傷は、常に愛用してくれた歳月を雄弁に物語ってくれている。  彼女は

          COLD BREW 34

          ここは、天空界か

           みんなのギャラリーを歩いていて。  うわああ、こんな光景があるのね。  長野県の涸沢だそうで。  離島暮らしで、山岳地帯に羨望があるうえに、ここまでも見事に紅葉するのですか❣️  山ガールが増えていく現実がよくわかる。  しかも中央に聳え立つのは槍ヶ岳でしょうか。  友人が還暦から山を始めてのに、うわ大丈夫ですか❓と口走ると。  いやアンタだって、アラ還暦でバイク🏍️乗り始めて大丈夫❓と逆質問。  歳月重ねても、挑戦することが大事ですね。

          ここは、天空界か

          デミグラスは、雲仙名物

           雲仙は、草創期の洋食文化の街です。  もちろん洋食の始まりは長崎市ではあります。ですが江戸期においては、洋食だか中華だかよくわからない、和風西欧料理が成立しています。  有名な卓袱料理です。  別名が、和華蘭料理。  残念ながら卓袱は高級料理になり過ぎて敷居が高いので、私は本格的なお店で頂いたことはありません。  しかしながら本格的な洋食は、実は雲仙ではなかったか、と思うのです。  時は明治へと移り変わり、雲仙は避暑地として多くの外国人貿易商の別荘がありました。当然ながら御

          デミグラスは、雲仙名物

          二気筒と眠る 15

           渓流のせせらぎが聴こえる。  鏡町の奥津渓に踏み込んだ。  吉井川が両崖の雨滴を集めて、それが川底で流れている。  空冷CBのエンジンを切って爆音が鎮まり、ヘルメットを脱ぐと涼やかなその水音が両耳をくすぐってくる。  もう晩秋で師走の顔が見えてきている。  メンテを終えたCBは快調そのものになった。  すっかりと肉体が屋根のある生活に戻ってしまって。もう野営する時期でもないし、熊も怖いよねという言い訳で自分を納得させた。宿泊予算という縛りでどこまで旅が続けられるかという想い

          二気筒と眠る 15

          紅葉🍁への渇望

           そろそろ朝晩は冷えてきました。  ですが離島の海洋性気候は温暖です。  実は暖流のなかにある群島なのです。  ですので日中は10月並みの気温で、庭先や海岸線では未だにはまゆうの花が満開です。一見では朝顔のような深紫の花です。  しかしながら師走に入りますと、シベリア寒気団の舌先が降りてきます。そのひと舐めで一気に厳冬期に入り、落葉してしまいます。  友人のFacebookにもこのnoteにも、紅葉の話題がちらほらと増えてきて。  実に羨ましいです。    私は建坪40坪もの

          紅葉🍁への渇望