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ショートショート 『光がとどく』
その光は、そうだな、とにかく力強かった。
光ってなんだっけ?太陽からのエネルギー?
そんなことどうでもいいだろ、そんなのはただの物質的な事実だ。
オレが言ってるのは、光が自分に届いた時の内面の変化の話だよ。
気持ちがね、明るくなるんだよ。シンプルに、そう、思ってるよりシンプルな話だ。
雑誌でしか見たことないようなご馳走が目の前に並んで、
好きな女が隣で笑ってて、
一本の重たいタバコを二人で交互に吸ってさ、
そういう時って、この世じゃない感じがするだろ。
丁度いい温度の湯を張ったバスタブの縁に座って、しゃぶってもらってる時でもいい、
そういう異世界に迷い込んだような気分だよ。
そういう時は、愛してるって、心からその子に言えるんだ。
ポーズじゃなくってね。