アメジスト色の彼女|掌編小説 色見本帖
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「もっと自信満々のテイでいったほうがいいと思うな」
数年ぶりに立ち寄ったラーメン屋の片隅。オレは今夜はじめて会ったその女に、説教を垂れる。
「テイですか??」
「そう。フリでもなんでもいい。鎌をかけるってやつ」
カマ?と顔にはてなを浮かべ、ぽやっとしている彼女。
ここのオヤジさんの娘だが、ニンニクくさくもなければチャイナドレスを着ているわけでもない。なんというか、森の妖精みたいなはかなさがある。
テーブルに並んでいるのは、鉱物25種類。石ころにしかみえない物体