【spin a yarn】 夜の上澄みにまたたいている星々。 夜の底で、羽ばたいている星々。 またたく星は、あんなにも饒舌なのに。 羽ばたく星は、口を閉ざして他の羽ばたきを探す。 オオミズアオ、夜の精錬。 純度の高い夜なら。 (或いは紛れ込んだ百等星) 夜の底に星を見る。
【spin a yarn】 「素敵な雨模様」 「ん? これドット柄だよ。水玉」 「じゃあ、ストライプが雨模様かな」 「雨模様、あいにくの、って感じがするけれど」 「えー、雨模様ってかわいい言葉だと思わない? ご機嫌な雨模様です、って言いたいじゃない」 「ご機嫌な雨模様か。いいね」
【spin a yarn】 「ソーダ好きだね」 「うん。涙が泡になるの」 「嘘」 「嘘」 「何かあった」 「うん。何もないよ」 「嘘」 「うん。嘘」 「泣いたら」 「泣かない」 「蛸って脳が足ごとにあるって」 「唐突」 「蛸焼食べたい」 「食べたい」 「行こっか」 「うん。ゆく」
【spin a yarn】 東京の大人の半分くらい、全然大人じゃないのかもな。 特別な事由もないならば、選挙権を行使しなかった少年少女は口を噤んでいていいと思うよ。 揶揄であり、軽蔑。ただ嫌いだよ。