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ショートショート_節分

寒い日に、今日は夕方から外出で。都心まで出る。

一応定期券なるものを入手しているので、新宿までは切符代が不要なのである。

さっちゃん(注1)とM(注2)が待ち合わせをしていて。H(注3)が所望している、実業団チーム所属の同僚外国人選手に誕生日プレゼントを買うらしい。

本来ならば、そういうことに付き合うなどと言おうものなら、さっちゃんから切符代が勿体ないから留守番という指令が出るところ、定期券のお陰で外出が許された。

昨日まで冬に似つかわしくない暖かさを保っていた空気が、今日はいやに冬らしさを取り戻している。

さっちゃんは、電車の1/fゆらぎに睡魔をもたらされ、横で寝入っている。そろそろ、都心に着く頃だ。


そんな日曜日の午後に、またもや、荒技をやってしまった。



さて、小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、木曜日に出る。

そして、今回のお題は、「寒い日に」から始まる小説・詩歌・エッセイなどを自由に書いてみませんか?ということで。


そして、たらはかにさんからのお題は…。

表のお題がで。裏のお題が【節分胎教】で。裏のお題が【接吻代行】|д゚)チラッということだ。


また、山根あきらさんの、青ブラ文学部のお題は、少し早めに出る。

「ぼくはくま」🧸からイメージすることを書いてください。小説、エッセイ、詩など、形式は問いません。ただし、俳句や短歌のように、極端に短い作品は募集しません、ということで。

あきらさんのお題は、時としてすごく簡単で単純そうなものが出る。だがこれが、かえって難しかったりする。そしてまたこれが、いい味を出しているのである。

「ぼくはくま」からイメージすることというお題ではあるが。これを発した言葉として作品の中に入れよう。今回は。

あきらさんのにぎやかし帯が、また、素敵だ



3人の企画は両方とも、膨大な数のファンの方、参加希望者を抱えていらっしゃって。お題を出すだけでも、大変だと思うのである。それでもお題を出してくれる。毎週。ほんとうに、ありがたい限りだ。毎週、励みになる。

また、今回は、よしまるさんのシロクマ文芸部作品を読んでみた。ちょっとその感想を、シロクマ感想文として書いてみる。

我が家は、もう、子供たちも大きくなった。よしまるさんの詩を読んで、その子供たちが小さくて可愛かった日のことを思い出した。

子供って、可愛いものだ。あの頃私は、かなり忙しくて。自分のことにも大変だったが、子供を育てるってどういうことなんだろうと試行錯誤の毎日でもあった。

父として、人間として、この小さな命とどう向き合うべきかなどと、いっちょ前に考えたりしていた。

でも、今から考えると、私の子育ては行き届かないことや失敗ばかりだったと恥ずかしいばかりだ。。

もっと、その時その時を、思い切り楽しめばよかったなんて考えたりする。確かに、その時々で楽しんではいたが、足りなかったな、と。

そんなことを、ふと、思い出させてくれる、暖かい、心揺さぶられる詩だった。

初心に返り、この歳になりながらも、また、人として歩み続けていこうと思う。

寒い日に、ホッと温まる作品を読ませてもらった。


生きていることに感謝して。今宵も、月に祈ろう。



心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。

せっかく出していただいたお題を、小牧幸助さんの始まりの言葉(シロクマ文芸部)と、たらはかにさんの裏表のお題(毎週ショートショートnote)、そして山根あきらさんのお題(青ブラ文学部)、4ついっぺんに書く荒技。まして、シロクマ感想文まで、5重の荒技。あまりにもやりすぎじゃないかな。


うむ。


これで何週間だろうか。


まあ、続けられるだけ、続けるさ。



心の中の、リトルkojuroが、また、ボソリと、呟つぶやいた。

まるで、悪ガキそのものだな。


まあな。


なんのはなしですか。

荒技とは?マジ?



さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「安寧」約410字を、どうぞ。

☆         ☆         ☆

寒い日に、涼は雪深い地域へとミッションに向かった。

無事に終え、まさに帰還しようとしたその時、怪人に出くわした。



それが、どこからどう見てもクマなのである。

だが更に不思議なことに、そのクマは人命救助を施しているように見受けられた。



駅構内のフロアに倒れた妊婦。

横にオロオロ立ち尽くす男。どうやら2人は夫婦のようだ。



彼を励ましながらも、妊婦に心臓マッサージを続けるクマ。



クマが叫んだ。

「お父さん、救急車を呼んで!」

クマに悪意は微塵も感じない。人工呼吸をすると、妊婦は再び息を吹き返した。



救急車が到着し、クマは隊員に状況を引き継いだ。同時に、到着した警察官がクマに職務質問をし始めた。

「君は何者だ?」


クマは答える代わりに踊りながら歌い出した。

宇多田ヒカルの「ぼくはくま」を。



涼はクマを確保して本部へと移送すると持ちかけて、その場を収拾して帰還した。






北国の駅は平静を取り戻し。



恵方巻のタイムセールの呼び込みが、賑やかに聞こえてきた。


☆         ☆         ☆


さっちゃんに、今日の荒技が終わったとソファーを振り返って話しかけると、笑って言った。

そんな時間があるなら、もっとマッサー(注4)に使ってもらっていいのよ。今日は日曜日だし、倍返ししてもらおうかな。

……。

マッサーをすると家内は上機嫌になる。

家内が上機嫌だと、我が家は平和である。


だから。


これで、いいのだ。

今宵もなんとか荒技投稿


(注1)さっちゃんとは、家内のことである。我が家の実質の最高権力者なので、別名、女王陛下という呼び名もある。

(注2)Mとは、長女のことである。私にはかなりキツいが。根は、優しい子である。

(注3)Hとは、次女のことである。マイナースポーツのアスリートを、地方の実業団チームで続けている。私にはかなりキツいが。根は、優しい子である。


(注4)マッサーとは、マッサージのことである。家内のさっちゃんがそうやって、略して言うのである。さっちゃんへのマッサーは私の最重要の日課である。


日曜日の荒技、また、続けます



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