ショートショート_返礼
卒業の季節だ。一期一会、会者定離などとというが、春は、出会いと別れの季節だ。いつも、どうしても別れが気になり、切ない気持ちになる。今年も、いろいろな別れがある。なんだかなぁと思いつつ、鈍色の空を見上げる。まだ、雪が降っている。
そんな、次女の応援で雪国に遠征してきている日曜日の午後に、またもや、荒技をやってしまった。
さて、小牧幸助さんの、シロクマ文芸部の最新お題は、木曜日に出る。
そして、今回のお題は、「卒業の」から始まる、小説、詩歌、エッセイということで。
そして、たらはかにさんからのお題は…。
表のお題が【お返し断捨離】で。裏のお題が【蒸し返しのダンサーに】ということだ。
お2人の企画は両方とも、膨大な数のファンの方、参加希望者を抱えていらっしゃって。お題を出すだけでも、大変だと思うのである。
それでもお題を出してくれる。毎週。ほんとうに、ありがたい限りだ。毎週、励みになる。
また、今回は、みらっちさんの、シロクマ文芸部作品を読んでみた。ちょっとその感想を述べてみる。
うっかりからの卒業を決意した真面目さが光る、良い作品だと思った。
記事によると、みらっちさんは、うっかりものらしい。だがそのうっかり者からの脱却、卒業をしようという並々ならぬ決意が、ヒシヒシと伝わってきた。
うっかり、ということは、誰しも日常において、よくあると思う。全部自分に起因することだからこそ、打ちひしがれてしまうのだ。
みらっちさんのご子息も、血を継いでか継がずか、うっかり者でもあるらしく。それをなんとかしてあげたいという親心も、親としてよくわかる。
私も、世に右に出るものの無いくらいの、うっかりものなのだ。
みらっちさんの卒業宣言。立派だ。
心から応援したい。でも、私は、まだ、卒業出来そうにない。みらっち先輩の後ろ姿を応援しつつ、まずは、うっかり者の自分自身を見つめ直すことがまず、先だろう。
自分自身を見つめて。そして、今から、今年、うっかり学園で留年してしまった自分がどうしたら卒業できるかを考え、手を打ち、来年の今頃には卒業宣言したいものだと切に思う。
みらっちさんに、考え、自省する機会を与えていただいた。心からお礼を申し上げたい。ありがとうございます。
そして、ご卒業、心よりお祝い申し上げたい。
私は、生きていることに感謝して。今宵も、月に祈ろう。
心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟いた。
せっかく出していただいたお題を、小牧幸助さんの始まりの言葉と、たらはかにさんの裏表のテーマ、3ついっぺんに書く荒技。まして、シロクマ感想文まで、4重の荒技。あまりにもやりすぎじゃないかな。
うむ。
これで何週間だろうか。まあ、続けられるだけ、続けるさ。
心の中の、リトルkojuroが、また、ボソリと、呟つぶやいた。
なんだか、悪ガキだな。
まあな。
そしてもう一度、心の中の、リトルkojuroが、ボソリと、呟つぶやいた。
家族からのお題は、バックアップで書いたの?
うむ。少しずつね。でも、それを投稿する機会がなくなってしまったかも知れない。どうしようか。
私は、この荒技シリーズを、ハードボイルド風に書き上げたいと思っている。だが、図らずも、コミカルな内容になってしまっている時もあり。今回は、また、その調子になってしまっているようで、実は、反省している。少しばかり。
さて。それでは、本編にまいりましょう。今週の荒技、「返礼」約410字を、どうぞ。
☆ ☆ ☆
卒業の季節を迎えたが、涼は教授とその娘である泉を守るミッションに就いていて。式には出られそうにない。
目前には、お子様ランチを食べている泉。
教授が涼に言った。
「泉は催眠状態においたままここで休ませる。君は本部に帰るか?」
「いえ。その前に、アジトを壊滅できたお礼をしなければ」
一呼吸おき、涼は言った。
「ここを掃除してからにします」
ふたりは笑った。
涼が力仕事をしつつ教授の瞬間移動装置で不要物を外部に転送し、綺麗さっぱりとなった。
教授が最後に、装置を動かして言った。
「見ていてくれ」
するとなんと、以前見たことのある工作員が現れた。
だが様子がおかしい。ひたすら寡黙に踊っているのである。
「教授が言った。彼は、1年後にダンサーになったようだ」
瞬間移動装置は、場所も時間も転送可能なのだ。
教授がもう一度ボタンを押すと、工作員は、未来に消え失せた。
涼が言った。
「では教授、私を本部に転送してください」
教授は静かに頷き、ボタンを押した。
☆ ☆ ☆