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SF、読書のよろこびマガジン

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大人になってからSFの楽しみを知った人の記録。本が好き、ゲーム興味ないかたはここで。
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#読書記録

「君のクイズ」…「マジカル頭脳パワー」…「国民クイズ」の問題のはなし

「君のクイズ」…「マジカル頭脳パワー」…「国民クイズ」の問題のはなし

小川哲「君のクイズ」を読みながら、
あれ、俺「国民クイズ」に続いてクイズ番組の話を連続で読んでる!
と気付いた。これを読んで「クイズノック」さんを知るぐらいクイズに興味ない人がそんなことある?

小川哲作品の中では薄く、スカッと読めるミステリー。

クイズ番組の最後の一問を、問題を読み上げる直前に答えて1000万円を獲得した相手は、ヤラセなのか相手なりの理論があったのか。追求するうちに、人生とクイ

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【読書】「アントニオ猪木とは何だったのか」

猪木死去の知らせを受けて、7名のそれぞれ違う経歴の豪傑たちが、
「ここは自分に任せろ」と手をあげる感じで必殺の秘蔵エピソードやキラーーフレーズを連発する一冊。

全て書き下ろし。
7人全員バラバラに書いてて交流してないのに、なぜか同じ部屋で語り合っているような空気感がある。

これは、懐かしい「雑誌」の熱量だ。
昔、ゲームやマンガの雑誌を夢中になった感覚で読んだ。練って練って時間をかけた文章とは違

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元旦にカラマーゾフの兄弟・読破

元旦にカラマーゾフの兄弟・読破

カラマーゾフの兄弟5巻が元旦に届いた!
年賀状が一通も届かなくて、これ一冊がポストに入っていた。
5巻はエピローグと、ほとんどが解説だったので、本文は…全部読んだ!

ハタチまでマンガしか読んだことなかった僕が、

ドストエフスキー、カラマーゾフの兄弟全5巻、読了!

「罪と罰」は下巻に入ったところで止まったから、初めてドスエフ読めた。

他の翻訳では無理だった。亀山訳だから読めた。
あと、しおり

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【読書】珍しいSFの芥川賞作家。高山羽根子「暗闇にレンズ」

【読書】珍しいSFの芥川賞作家。高山羽根子「暗闇にレンズ」

なんでもっと話題にならんのや

高山羽根子作品を3作読んだけど、もっと話題になってないとおかしくないですか?

感覚が今っぽい。
男に頼らない、小柄でインドア派だけどひとりで平気そうな女性が主人公。

設定はSFが入ってるけど、読んでいる最中は純文学というか。解釈はある程度読者にまかせられていて、面白いけどスッキリは終わらない。難解だけど押しつけがましくない。ふしぎなバランス。

「暗闇にレンズ」

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「さようなら、ギャングたち」を読んだり、ネットニュースを見るクセがついてしまったりした

「さようなら、ギャングたち」を読んだり、ネットニュースを見るクセがついてしまったりした

いつか読もうと思っていた高橋源一郎デビュー作を読んだ。(アマゾンの中古本シミだらけ)

「ギャングたち」がアメリカ大統領を殺し、「わたし」は詩の学校の先生をしながら恋人の「ソングブック」猫の「ヘンリー4世」と暮らす。

何百個も不条理な詩のようなものが連続して、読んだ人によって違う世界が浮かび上がる。

途中で娘の「キャラウェイ」もしくは「緑の小指」ちゃんがすてきなレディになるには、ダンスと数学と

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【読書】人生は痛いものだとしつこくしつこくしつこくしつこくしつこくしつこく

【読書】人生は痛いものだとしつこくしつこくしつこくしつこくしつこくしつこく

しつこくしつこくしつこくしつこく語りかける、花村萬月の「ハイドロサルファイト・コンク」を読んだぞ!
「なんでこの作品への賛否で世間は荒れ狂っていないんだ!」と思いながら読んだ。

血液のがんになった作者の体験をもとにした、フィクションと一応銘打った、ノンフィクションに見える小説。
もともとの血液に放射線をあびせて殺し、ほかの人の血液を輸血して入れ替える治療で、血液型が変わり、顔かたちが変わり、爪が

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龍が如く外伝とワンピースの前に、原点の「宝島」の宝は何だったのか読んでみた

龍が如く外伝とワンピースの前に、原点の「宝島」の宝は何だったのか読んでみた

ワンピースが終盤だったり、龍が如く外伝のテーマが海賊だったりするじゃないですか。
この手の話は「伝説の宝とはいったい何なんだ!?」ってナゾが重要だけど、そもそも最初の「海賊の宝の地図もの」の宝箱には何が入っていたのか。

原点を知りたくてスティーブンスン「宝島」を読んだ。同作者の「ジキルとハイド」は読めなかったけど、訳も新しくて少年の心で読めた。

原点じゃなかった。
この本以前にも海賊伝説は山ほ

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【読書】権力を持つ人はなんでもやる「ルナ・ゲートの彼方」

【読書】権力を持つ人はなんでもやる「ルナ・ゲートの彼方」

R・A・ハインライン「ルナ・ゲートの彼方」を読みました。

見た目で本を選んでいるので、この、あえて派手じゃない、といって古臭くもない、表紙が気に入った。

でも、amazonにはまた違ったテイストのカバーしか載ってない。美しいけど、本格派の難解なSFと似たタッチ。

新しいほうは「トライガン」の内藤泰弘によるもの。
小中学生から楽しめる「ジュブナイルSF」のシリーズなので、あえて少し昔の少年マン

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【読書記録】「笑う萬月」レコードからCD、万年筆からワープロにうつる時代の記憶

【読書記録】「笑う萬月」レコードからCD、万年筆からワープロにうつる時代の記憶

花村萬月「笑う萬月」を読みました。この人のエッセイはいくらでも読めるし、読むたびに痛い。
本人は文学について学んでいない。学校もほぼ行ってない。
なのに、バイクだ音楽だと青春を謳歌して、自分の才能とカンの鋭さでエグいぐらいもてて、暴力衝動や薬物中毒も全部作品に昇華させて作家として成功した。

花村作品は、才能というものの残酷さを思い知らされるから痛い。
直接そんなこと書いてないのに、
「お前、人生

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【読書日記】「三四郎・それから・門」

【読書日記】「三四郎・それから・門」

「それから」を読んだ。学校で「坊ちゃん」を勧められても読まなかった記憶があるのに、大人になって、自分で読みたいから自分で稼いだ金で文庫本を買って、1日2行しか進まない日もあるけど、少しづつ、自分で読みたいから読むことができた。

読書感想文でもない、作者の考えを読み取るでもない、ただ100年前の人の言葉使いとか、文章が好きだから読んだだけ。

この時代とは人生の長さも、きいてる音楽の速さも違うのに

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山本晋也カントクが何のカントクだったのかを知る。

山本晋也カントクが何のカントクだったのかを知る。

子供のころ、テレビで知的なポジションにいるけど何の人なのか分からない大人が大勢いた。

最近になって、YouTubeで山田五郎さんがこんな面白い人なのか!と知ったけど、みうらじゅんさんやソラミミストの安斎さん、ビートたけしの番組に出ていた芸術家のクマさんとか、一生何者か知らないまま終わってた可能性もある。

「トゥナイト2」という深夜番組で風俗レポーターとかをやっていた山本晋也カントクも謎だった。

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「台北プライベートアイ」紙で台湾を歩こう

「台北プライベートアイ」紙で台湾を歩こう

連続殺人犯のターゲットにされた主人公が、厄落としの豚足入り素麺を1日に2回食わされるアジアン・ハードボイルド。
「ソウ」を観て震え上がるとか、かあちゃんは気も強いが麻雀も強いみたいな、ミステリーと全然関係ないことにページを割いてて最高だった。
ページ折り癖も付箋もあるし風呂でも読んだ。1週間ぐらい心は十年以上前の台湾に住んでた。

主人公は口を開けば不平不満が止まらない反面、演劇に関わって読書家の

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【読書】「木挽町のあだ討ち」怒涛の伏線殺法!

【読書】「木挽町のあだ討ち」怒涛の伏線殺法!

女物の衣装をまとった武士、菊之助が父のかたきと称して大柄な博徒、作兵衛を斬った。

かたき討ちの現場にいた5人の目撃者が、それぞれの出自と菊之助について語る。

爽快な時代小説かと思ったらこんな挑戦的な作品か!

全編がインタビューみたいな読者への語り掛け形式で、話が前に進まず、回想で過去が明らかになっていくから、軽快ではない。

ゆったりゆったりスロースタートで、3人目でアクセルがかかってきて、

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【読書日記】映画より先に「2001年宇宙の旅」を読むぜいたく

【読書日記】映画より先に「2001年宇宙の旅」を読むぜいたく

5月は体調崩した方の報告が多かった。俺もお前もアイツも俺もみんな、ノド枯らしたり入院したりしていた。
みんな大丈夫か!生きているのか!じゃあ良かった!

SF小説を読める元気がもどったので、ついにこれを読む。

映画は猿の集団の前にモノリスが出現する場面しか知らない。ネタバレなしで読めるぜいたくを噛みしめる。

猿人たちの前に突然現れたモノリス。
猿たちはまず、植物のように生えてきたものかと考える

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