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「君のクイズ」…「マジカル頭脳パワー」…「国民クイズ」の問題のはなし
小川哲「君のクイズ」を読みながら、
あれ、俺「国民クイズ」に続いてクイズ番組の話を連続で読んでる!
と気付いた。これを読んで「クイズノック」さんを知るぐらいクイズに興味ない人がそんなことある?
小川哲作品の中では薄く、スカッと読めるミステリー。
クイズ番組の最後の一問を、問題を読み上げる直前に答えて1000万円を獲得した相手は、ヤラセなのか相手なりの理論があったのか。追求するうちに、人生とクイズの関係がわかっていく。
「スラムドッグ・ミリオネア」と違って、自分の人生とクイズが関わったのは運ではなく必然。
主人公は自分の出ているビデオを見なおして、改めて相手は番組全体を見ていたことや問題の傾向がわかってくる。
eスポーツや麻雀のプロが一瞬でどう思考していたか、セルフ解説を聞く面白さ。
マジカル頭脳パワー
君のクイズを読まなかったら一生出なかった記憶だけど、「ゼロ文字回答」を見たことがある。
四国が誇るアスリートで甲子園の記録持っていて好感度のたかい元プロ野球選手、みんなの人気者だった板東英二が司会していた。(今は闇落ち中)
その「マジカル頭脳パワー」で、CTスキャンやサーモグラフィーとか、特殊な撮り方をしたものを当てるクイズがある。
回答席の所ジョージが、出題される直前に「ピンポン!」
オンエアの日付から、
「こいのぼり」
を一発で当てた。
ざわめく会場とお茶の間。家族の箸がマジで止まった。
でも、正確な記憶かはわからない。
なぜなら早めに正解を言うと、ボイチェンみたいに声が隠されるようになっている。だから、所さんの「こいのぼり」が正解でも、そう発声する場面は俺のいつわりの記憶だ。
所さんが今まで獲得した賞品の万年筆(だったはず)を、キン肉マンのネプチューンマンばりにスーツの内側にまとめて見せる回もあった。
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「君のクイズ」でのもう一人の登場人物は、姿を見せない出題者。
問題作成者と回答者は信頼しあっている前提がある。だから問題文の後半を「読む」のが成立する。
「クイズは解いてほしいはず」って考えは新鮮だった。
問題作成をやったら、この考えは自然に浮かぶんだろう。
学校のテストで
「先生は、授業をてがかりに解いてもらいたいはず」という当たり前のことを考えたことがなかった。
「クイズの出題者は、回答者を想って作られている」
という言葉をヒントに、「国民クイズ」を振り返ってみる。
問題の信用ならなさがわかる。
「Q 第二次世界大戦の日本の敗因は?」
「A 運が悪かった」
からは回答者と対話する意思がない。
特定の一般人の日常をクイズにするのは、
「みんな監視されてるし無断公開もされて当然、観る側も受け入れて当然」ってディストピア日本を感じさせる。
実写版では、真っ当に考える価値のあるクイズになるのだろうか?
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