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「さようなら、ギャングたち」を読んだり、ネットニュースを見るクセがついてしまったりした

いつか読もうと思っていた高橋源一郎デビュー作を読んだ。(アマゾンの中古本シミだらけ)

「ギャングたち」がアメリカ大統領を殺し、「わたし」は詩の学校の先生をしながら恋人の「ソングブック」猫の「ヘンリー4世」と暮らす。

何百個も不条理な詩のようなものが連続して、読んだ人によって違う世界が浮かび上がる。

途中で娘の「キャラウェイ」もしくは「緑の小指」ちゃんがすてきなレディになるには、ダンスと数学と早くちことばを習わないといけない、というくだりがある。
数ページしかないのに、本当の子どものきらきらした言葉をすくったみたいで、いいんです。

さいしょから「これがわたしの小説だ」と完成させて、似ている応募作がないのに書き上げて応募したこと自体がすごい。
選考委員絶賛の「グランプリ」ではなく「佳作」みたいな感じでデビューしたそうだ。
高橋源一郎は満場一致で賞を獲れない。
5人選考員がいれば、ひとりは「こんなものは小説ですらない」と否定するから。
本当に強いデビュー作は、審査員を逆に試してくる。

「地面師たち」で盛り上がる作者のサーラレーオも読む。大麻栽培をしていた主人公がタイに逃亡し、どんどん逃げ道をふさがれる話。ざっと読める。

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病院や車屋の検索にスマホを使っていたら、SNSとネットニュースを見るクセがついてしまった。困る。本好きなんだからしょうもない言葉に金払って読むなよ、と思うんだけど、スマホは心に巣くう寄生虫のようで、なかなか難しい。振り払えない。
ウェブってのはクモの巣のように広がるからじゃなくて、一度触れるとまとわりついて離れないからウェブなんじゃないか。

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南ミツヒロ
読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。