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龍が如く外伝とワンピースの前に、原点の「宝島」の宝は何だったのか読んでみた

ワンピースが終盤だったり、龍が如く外伝のテーマが海賊だったりするじゃないですか。
この手の話は「伝説の宝とはいったい何なんだ!?」ってナゾが重要だけど、そもそも最初の「海賊の宝の地図もの」の宝箱には何が入っていたのか。

原点を知りたくてスティーブンスン「宝島」を読んだ。同作者の「ジキルとハイド」は読めなかったけど、訳も新しくて少年の心で読めた。

原点じゃなかった。
この本以前にも海賊伝説は山ほど、いや海賊に山のたとえはダメか。・・・押しよせる波の数ほどあった。宝島はそれらを元にした代表作のひとつにすぎない。


主人公の親子が経営する宿屋に、乱暴な海賊が出入りするようになった。ずっと酒を飲みまくってトラブルを起こして死んでしまうんだけど、親子は死体をさぐって、島の地図を見つけた。

そこには、手を出したら海賊の追手に殺されるかもしれない「ヤバイ金」の隠し場所が記されていた。

お母さんはどっちかというとノリノリで、
「あいつらツケを払わずに飲み食いしてケンカして死にやがって!この宝を一括返済にあてさせてもらうよ!」って、息子が死ぬかもしれないってのに宝島への旅に送り出す。

この手の宝探しものって、巨大な大喜利みたいだと思った。
「苦労のすえに宝箱を見つけた。開けたら中にあったものは?」
というお題に、作者は答えを出して読者に驚きや満足を与えないといけない。

宝箱から出てくるのは金銀財宝なのか?
「からっぽだけど、みんなの友情がほんとうの宝物だ」とか、メッセージ的なものなのか?
金だったら面白くないし、金銭的に価値のないものが出てきても納得いかない。
それを考えると「ルパン三世 カリオストロの城」で、宝が土地そのものだから持ち帰れないし、そのまま何も要求せず帰るのが粋!ってみんなが思ったのはすごかった。

以下ネタバレです。


で、元祖「宝島」がどうだったかというと、
そもそもぼくが想像していた話と全然違った。

この話の面白さは宝の正体ではなくて、船員を募集したときに仲間のふりをしてもぐりこんできた海賊「ジョン・シルヴァー」の存在だ。

アイパッチはしてないけど、片足が義足で、でかいオウムをつれて、悪党だけど何か完全に嫌いになれない。
みんなが想像する海賊キャラ!
↓このイメージ!

ひとつの船に、船長・医師・少年グループと、海賊シルヴァーの部下たち。
宝を奪って帰れるのはどっちの陣営なのか?

主人公グループがさきに宝島に上陸するが、海賊シルヴァーたちは船を占拠する。
海賊は宝がないと来た意味がない。
宝を見つけたグループは船がないと帰れない。
両者の駆け引きの話だった!

主人公の少年は、好奇心と身軽さで大人の海賊を手玉にとる活躍をするが、ついに海賊シルヴァーに捕らわれてしまう。
どんな拷問が待っているかわからない。
ところがシルヴァーは「ガキをぶち殺せ」と気を吐く部下を制して、「俺はこいつが気に入った」とくる。

部下を殺した少年を、「たいしたヤツだ、まるで昔の俺だ」とほめる。
それにくらべてお前らの体たらくはなんだ、とスピーチで部下を黙らせてしまう。

かつての大海賊シルヴァーも、安全な立場じゃない。
部下が謀反をおこせば片足の彼は終わり。海賊から足を洗ってのんびり暮らそうと思っても、しばり首にされるのがオチだ。
そんな状況なのに部下に喝を入れて、「やはりおれたちが命をあずけるリーダーはあの人しかいない」と思わせてしまう。このカリスマ性!

ヤクザが海賊に転身するゲームが出ると聞くと、話題性狙いの思い付きっぽいけど、フィクションの世界の海賊とヤクザは同じ。
ワンピースも任侠ものの影響が大きいと聞くし、ベンツに乗るか船に乗るかの違いしかないのかもしれない。
宝島にあったお宝が結局なんだったのかも一応書いといたほうがスッキリするかな。金貨です。ふつうにみんな欲しいやつ。

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南ミツヒロ
読んでくれてありがとうございます。 これを書いている2020年6月13日の南光裕からお礼を言います。

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