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読書あれこれ

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本をめぐることや読書の感想などを綴りたいと思います。
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【読書感想】『文豪と感染症 〜100年前のスペイン風邪はどう書かれたのか〜』

【読書感想】『文豪と感染症 〜100年前のスペイン風邪はどう書かれたのか〜』

九條です。

今日(11月7日)は「立冬」。暦の上ではもう冬ですね。ここ大阪(近畿地方)では今日「木枯らし1号」が吹きました。

インフルエンザが流行りだす時期でもあります。皆さま、気をつけてくださいね。

最近はインフルエンザのことを「流感」(流行性感冒の略)とは言わなくなりましたね。私が小さかった頃(昭和40年代)には普通に「流感」という言葉を使っていました(風邪は「感冒」と言っていました)。

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【読書感想】『病が語る日本史』

【読書感想】『病が語る日本史』

九條です。

日本の歴史上、どのような病気が流行してきたのか?

その流行病を私たちの祖先はどのように乗り越えてきたのか、克服してきたのか?

果たしてその病は根絶できたのか、まだ残っているのか?

本書『病が語る日本史』は、縄文時代の遺跡から発掘された人の骨の分析からはじまり、先史・古代・中世・近世そして近代(明治以降)までの我が国で流行した病について、その歴史を簡潔に纏めたものです。

著者は

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【読書感想】『「民都」大阪対「帝都」東京』

【読書感想】『「民都」大阪対「帝都」東京』

九條です。

日本の首都東京。そして人口においても経済規模においても日本第二の都市大阪。

この2つの巨大都市が明治以降、どのように発展してきたのか?

とくに大正時代の後半から昭和初期においては、人口においても経済規模においても首都東京を遥かに凌ぎ日本一の大都市「大大阪」と呼ばれていた大阪市(この時代を「大大阪時代」と呼びます)。

天皇のおわす「帝都」東京と民間経済の中心都市「民都」大阪。

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【読書の秋2024】〜 読書のスゝメ 〜

【読書の秋2024】〜 読書のスゝメ 〜

九條です。

錦秋の10月。少しずつ秋めいて参りましたね。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。

秋の夜長に読書などはいかがでしょうか?

いきなりですが…。

想像してください。ここにひとつの文章があると仮定します。詩でもエッセイでも小説でも伝記でも論文でも…何でも良いと思います。

そこに「何が書いてあるのか」ということは大事だと思いますが、それよりも「その文章によって筆者は何を伝えようとしてい

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【読書感想】『命の救援電車 〜大阪大空襲の奇跡〜』

【読書感想】『命の救援電車 〜大阪大空襲の奇跡〜』

九條です。

3月13日は、大阪大空襲があった日です。そこで、2022年5月の私の読書感想を(改訂して)以下に再掲いたします。

終戦間近の1945(昭和20)年3月13日。

人々が寝静まった深夜から翌14日の未明にかけて、大阪市内は米軍による未曾有の規模の猛烈で執拗な空襲に襲われました。大阪大空襲です。

標高約600mの生駒山(生駒山地)を隔てた奈良市内からでも、深夜にも関わらず大阪方面の空

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【読書の秋2023】〜 読書のスゝメ 〜

【読書の秋2023】〜 読書のスゝメ 〜

九條です。

晩秋・錦秋の11月。和名は霜月。秋も深まって参りました。皆さま、この秋の日々をいかがお過ごしでしょうか。秋の夜長に読書などはいかがでしょうか?

さて、いきなりですが…。

想像してください。ここにひとつの文章があると仮定します。詩でもエッセイでも小説でも伝記でも論文でも…何でも良いと思います。

そこに「何が書いてあるのか」ということは大事だと思いますが、それよりも「その文章によっ

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【朗読】梶井久『臨終まで』

【朗読】梶井久『臨終まで』

九條です。

梶井久は、昭和初期に活躍した小説家(小説『檸檬』などで有名な)梶井基次郎(1901年〜1932年)の母です。

このたび、noteクリエイターの「柚起乃。〜のんびり地学遅延中〜」さまが、以前に私が投稿した記事「梶井基次郎の想い出など」(2022年9月25日投稿)をご覧くださり、その記事内で紹介させていただいた梶井久の手記『臨終まで』(梶井基次郎の闘病の様子から臨終までを記した短い手記

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【一般向け】オススメの歴史書

【一般向け】オススメの歴史書

九條です。

以前にもチラッとご紹介したことがあるのですが、ちくま新書の歴史講義シリーズはオススメです。

これは「一般書」すなわち一般向けに書かれた本で、学術書(専門書=研究者向けの本)ではありませんので、広く歴史に興味がある人々を対象として誰にでも読みやすく分かりやすく書かれていて、しかも各テーマ毎にコンパクトに纏められています。一般書なので1冊のお値段もお手頃です。

一般書店で1冊毎に買え

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【書籍紹介】古代史講義(+建築)

【書籍紹介】古代史講義(+建築)

九條です。

すでにご存知の方も多いかと思いますが、以下の「ちくま新書」による歴史講義のシリーズはユニークな企画で、最前線で活躍している学者さんたちによる一般の人向けの比較的わかりやすくお求めやすい価格の通史(概説書)だと思います。

佐藤信『古代史講義 ― 邪馬台国から平安時代まで ―』ちくま新書 2018年

「邪馬台国から平安時代まで」というサブタイトルは、随分と思い切ったものだなぁと感じま

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【読書感想】『命の救援電車』

【読書感想】『命の救援電車』

九條正博です。

終戦間近の1945(昭和20)年3月13日。人々が寝静まった深夜から翌14日の未明にかけて、大阪市内は米軍による未曾有の規模の猛烈で執拗な空襲に襲われました。大阪大空襲です。

標高約600mの生駒山(生駒山地)を隔てた奈良市内からでも、深夜にも関わらず大阪方面の空がまるで夕焼けのように真っ赤に染まって見えたと言います。

この時、大阪市内中心部は広範囲にわたって火の海に。火焔地

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読書のスゝメ

読書のスゝメ

九條です。

いきなりですが…。

ここにひとつの文章があると仮定します。詩でもエッセイでも小説でも伝記でも論文でも…何でもいいと思います。

そこに「何が書いてあるのか」は大事だと思いますが、それよりも「その文章によって筆者は何を伝えようとしているのか?」を理解すること、すなわち「文字だけではなくて文字に書かれていないような背景や筆者の気持ちも理解する」ことのほうが、もっと大切なのではないかなと

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