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【読書感想】『命の救援電車 〜大阪大空襲の奇跡〜』

九條です。

3月13日は、大阪大空襲があった日です。そこで、2022年5月の私の読書感想を(改訂して)以下に再掲いたします。


終戦間近の1945(昭和20)年3月13日。

人々が寝静まった深夜から翌14日の未明にかけて、大阪市内は米軍による未曾有の規模の猛烈で執拗な空襲に襲われました。大阪大空襲です。

標高約600mの生駒山いこまやま生駒山地いこまさんち)を隔てた奈良市内からでも、深夜にも関わらず大阪方面の空がまるで夕焼けのように真っ赤に染まって見えたと言います。

この時、大阪市中心部は広範囲にわたって火の海に。火焔地獄と化した地上を逃げ惑う人、人、人…

しかし、地上ではどこへ逃げても猛火が襲いかかってくる。灼熱地獄。どこにも逃げ場がない。

その時です。走るはずのない地下鉄の電車が走りました。地上で逃げ場を失った多くの人々の命を助けるために。安全な所までたくさんの命を運ぶために。

「命が惜しかったら、地下鉄へ逃げろ!」

誰かが叫びました。

この、記録には一切残っていない奇跡の救援電車。けれども、この地下鉄の電車によって命を救われた多くの人たちの記憶には残っています。

なぜ地下鉄の電車は走ったのか。なぜ記録には一切残っていないのか、なぜ残されなかったのか…。

本書は、この謎の救援電車について、大阪出身のもと新聞記者のさか夏樹なつきさんが地道な取材と綿密な検証によってはじめてその実態を明らかにしたルポルタージュ。

新聞記者としての冷静な視点で綴られた淡々とした文章の中に、戦争の悲惨さ、空襲(空爆)の残酷さ、人々の優しさ、極限の状況でも助け合う人々の心の温かさが描かれた感動のストーリーです。

とても読みやすい文体で、私は2日(2晩)で読了いたしました。

『命の救援電車』表紙写真(©さくら舎/無断転載不可)

※事前(2022年4月)に、さくら舎様より表紙写真掲載の許可をいただいています。

【書誌情報】
著者:坂夏樹
書名:『命の救援電車 〜大阪大空襲の奇跡〜』
発行:さくら舎 2021年
本文:230ページ
定価:1,870円(税込)


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