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【読書感想】『「民都」大阪対「帝都」東京』
九條です。
日本の首都東京。そして人口においても経済規模においても日本第二の都市大阪。
この2つの巨大都市が明治以降、どのように発展してきたのか?
とくに大正時代の後半から昭和初期においては、人口においても経済規模においても首都東京を遥かに凌ぎ日本一の大都市「大大阪」と呼ばれていた大阪市(この時代を「大大阪時代」と呼びます)。
天皇のおわす「帝都」東京と民間経済の中心都市「民都」大阪。
本書は、この巨大な両都市(とくに大阪市)の近代の発展の歴史を「鉄道網」という社会インフラストラクチャの発達に焦点を当てて読み解くという試み。
著者は原武史氏(政治学者/明治学院大学名誉教授)。自ら「鉄学者」と名乗るほどの鉄道ファンの先生でもあります。
政治学者の視点から鉄道網という社会インフラストラクチャの発達に着目し、都市史(都市発展史)を論じているという、たいへん興味深い書です。
たとえば…
昭和のはじめ、阪急電鉄の創業者である小林一三氏(1873〜1957年)は、高架鉄道(高架線)の建設にこだわり続けました。
いっぽう同じ頃、御堂筋を建設し、その地下に地下鉄御堂筋線を開通させて大阪市を空前の発展へと導き「大大阪時代」を築いた「大阪の父」こと関一氏(1873〜1935年/第七代大阪市長)は、地下鉄道(地下鉄)の建設にこだわり続けました。
はたして小林氏と関氏。どちらに先見の明があったのか?
本書において著者はその事についての明言はしていませんが、本書読後に読者は悪天候や自然災害、そして戦争(空襲)などの事象を考えると、おのずからその答えを見出す事ができるだろうと思います。
本書の内容自体はやや専門的ながら、非常に分かりやすく親切・丁寧に書かれているので、高校生以上であるならば誰にとっても読みやすい記述だと思います。
私はこの土・日(2日間)で本書を読了しました。^_^
【書誌情報】
著者:原武史
書名:「民都」大阪対「帝都」東京 〜思想としての関西私鉄〜
発行:講談社(講談社学術文庫)2020年
本文:312頁
定価:1,210円(+税)
©2024 九條正博(Masahiro Kujoh)
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