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2024年12月の記事一覧
寂しさとは (習作 金子光晴「寂しさの歌」から)
飯を食って
水に手をひたし
皿を洗う
沈黙のなかで
飯を終わらせた
現在地
どこにもない番地
誰もそれを気にかけない
それが寂しさか
寂しさとは
沢山の笑みのなかにあって
ひとつも本当に笑っている奴がいない
偉い 偉いといいあって
誰もそれを信じていないことだ
自分だって
人殺しなんだと
いちばん悪いやつと
おんなじなんだと
善ければ 善いほどに
深い嘘つきなんだと
言えずに
くうをさま
トム ④水仙の家 ー再び冬そして春 (最終話)
例年より長く続いた夏がやっと過ぎた。
猫の視線だけはひんやりー。
SNSに着信があったとき、私は膝で喉を鳴らしている猫を撫でて冬の訪れを満喫していた。
友人が送って来たのは、痩せて表情を失くした柴犬の写真だった。
新しい飼い主を探しているのだという、つまり今現在のその犬の様子なのだった。
息を詰めた。膝の上の猫に拠り所を求めると猫は手を舐める。
電話をした。
友人は、この犬の名
この年のこの月のこの月と
冬の陽が沈みます
冬の月が昇ります
冬の陰が生まれるところと
冬の陽を放つところ
地平線のかなたで
満面の笑顔の目配せが
なされています
満ちみちた
白光に浴して
肌とこゝろが
きりり引き締まります
まるい月のすがたに
赤い実南天を見ました
この空のこの夜のこの月に
◯◯◯◯◯
明日は今年最後の満月。
満月を前にお月さまはすでに
満ちたように美しく。
円から縁へと・・・
今年の縁を眺めてみ