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他者の思考をピン止めした手帳

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仕事関連のものが多めです。
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なぜ写真をとるのか(という間抜けな質問)

なぜ写真をとるのか(という間抜けな質問)

なぜ山に登るの か → そこに山があるから。なぜ写真をとるのか → 手にスマホがあるから。

写真、日常的に撮りますよね。特別なことがなくても、おやつを食べたり、音楽を聞いたりするくらいの動機で、誰もが写真を撮っています、スマホで。そこにスマホがあるから撮る。

フィルムからデジカメに移行したとき以上に、電話端末で写真を撮るようになって、写真を撮るという行為が(その機会や回数も)すごく変わったなと

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客観性は世界を見つめる眼差しを覆い隠し忘却させる——レヴィナス『倫理と無限』を読む

客観性は世界を見つめる眼差しを覆い隠し忘却させる——レヴィナス『倫理と無限』を読む

エマニュエル・レヴィナス(Emmanuel Levinas, 1906 - 1995)は、リトアニア生まれのユダヤ人哲学者。フッサールとハイデガーに現象学を学び、フランスに帰化。第二次世界大戦に志願するがドイツの捕虜収容所に囚われて4年を過ごし、帰還後、ユダヤ人を襲った災厄を知る。ソルボンヌ大学等で教鞭をとる。『超越・外傷・神曲』『時間と他者』『実存の発見』『全体性と無限』など著書多数。

本書『

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ジュディス・バトラー『アセンブリ:行為遂行性・複数性・政治』

ジュディス・バトラー著/ 佐藤嘉幸、清水知子訳『アセンブリ』(青土社、2018年、税込み2800円+税。原著の出版は2016年)は、バトラーによる集会(アセンブリassembly)論で、バトラーの本では一番新しいものです(たぶん)。

ソフトカバーで読みやすく、バトラーの考えがよくわかる本でお勧めしたいので、noteで記事を書くことにしました。

本稿はそのうちの前編、内容紹介編です。僕の主観は排

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全ての生活は旅である/一日一微発見455

全ての生活は旅である/一日一微発見455

閑話休題!
今、リヨン駅のスタバにいてこれを書いている。

きのうの午后にアルルから列車で移動してきて、リヨンについてブション(食堂)に行って、うまいメシとパスティス、ジュラ産のワインをのんでアパートメントへもどって爆睡した。
リヨンには特別の用はなく、アルルからジュネーブへの旅の途上の途中下車。

しかし、リヨン駅前の高層ビルがまさかの宿だった。14階の、それも何とテラスに出れる恐怖の部屋だが、

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コンテンツ作りは「取材」が9割

コンテンツ作りは「取材」が9割

取材がつまらないと、原稿もつまらなくなるたまに「取材がつまらなくても、書くときに面白くできるだろう」と思っている人がいますが、それは難しいことです。

つまらない取材であれば、それなりのコンテンツにしかならない。

残酷な言い方ですが、面白くない文章ができあがったらそれは話の内容自体が面白くなかったということ。よって、取材する側がやるべきことは面白い話が出てくるまで粘って取材を続けることです。

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クィアと写真

クィアと写真

2021 年度に提出した修士論文「岡部桃『イルマタル』試論-クィア写真を媒質として-」の「はじめに」と「第1章」をこちらで公開します。
第1章はクィアと写真について当時の私が考える限りを書いたものです。
まだまだ不十分なところがありますが、何かの足掛かりになれば嬉しく思います。

また、修士論文の全体としては以下のようになっています。

目次

はじめに

第1章 クィアと写真
第1節 クィアとい

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“普通”に潜む偏見 どう減らす コーヒー店営む夫婦の発信から

“普通”に潜む偏見 どう減らす コーヒー店営む夫婦の発信から

「男女平等」が叫ばれてから、どれくらいの時が経っただろう。2022年2月、ある夫婦がメディアに対し、一枚の依頼文を発表した。ジェンダーギャップ解消のための文書だ。 二人は何を思い、行動したのか。彼らの経験を通して、身近なところに潜むジェンダーバイアスを見つめる。

店を掲載する際は「妻→夫」の順で名前を紹介してください―――。
メディアにこんな依頼をするのは、京都・大山崎にあるコーヒー焙煎(ばいせ

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二十歳の頃

二十歳の頃

竹内万里子

寄り道が導いた出会い

生きることがただただ息苦しかった二十歳の頃、今ここから唯一自分を救い出してくれるように思えたのが、旅と芸術の世界でした。大学では政治学を専攻したものの、すぐに肌に合わないと気づき、バイト代を貯めてはバックパッカーで一人旅を繰り返していました。夜行列車で北海道へ向かったり、片道50時間ほどかけて沖縄へ船旅したこともありました。旅先では名所を回るわけでも写真を撮る

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【目次】『これからの本屋読本』をすべて無料で公開します。【全文公開】

【目次】『これからの本屋読本』をすべて無料で公開します。【全文公開】

note版に寄せて noteにて『これからの本屋読本』の本文をすべて、無料で公開することにしました。版元であるNHK出版さんの許可も得ています。

なぜ全文を無料公開するのかについては、本書の第2章(あるいは2013年刊の前著『本の逆襲』の第2章)あたりから推察していただけるでしょう。著者としては、自分が書いた文章を「一つの流動的な構築物」の一端にしたいという思いで、このnoteという場所を選びま

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存在意義の見つけ方。「経済性」と「自己表現」のあいだで。

存在意義の見つけ方。「経済性」と「自己表現」のあいだで。

こんにちは!金田謙太です。

最近は自分の存在意義のようなものを考えるようになりました。

”自分はどうして生きているのか、何のために生きているのか。”
そんな問いです。

日常生活の中でまわりを見ていると、”漠然としたモヤモヤ感”を抱えながら生きている意外と大人は多いのではないかなと思い、今回は自分の存在意義を見つけるという少しふわっとしたテーマについて、今の自分なりの考えを書いてみました。

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自分の感性を出発点にする生き方。

自分の感性を出発点にする生き方。

社会にあふれる「べき」「ねば」僕たちが生きる社会では「◯◯をするべき。」と「◯◯をせねばならない。」といった「べきねば情報」が溢れています。

・みんな就職をするから就活をするべき。
・キャリアを考えるべき。
・結婚をするべき。

こうした社会に溢れる「べきねば情報」は気がつけば

・就活を始めないと取り残されている感じがする。
・キャリア形成をしないと将来が不安。
・周りのみんなが結婚をし始めて

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スタートアップには社員がガッ!と辞める時期がある

スタートアップには社員がガッ!と辞める時期がある

15人くらいの時にスタートアップに関わり、100人超の規模になるまで在籍しました。チームマネジメントも経験しました。

最終的には、海外で働くために退職をしましたが、この約4年半はとんでもなく濃密で、たくさん成長させてもらいました。

さて、タイトルの話。

人が多くなっていくにつれ、「スタートアップというものは(組織というものは)生き物なんだなあ」というのを身をもって感じました。

ご存知の方も

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スタートアップの起業家/経営者で、メンタルを崩してしまった(崩してしまいそうな)あなたへ

スタートアップの起業家/経営者で、メンタルを崩してしまった(崩してしまいそうな)あなたへ

このnoteは、スタートアップの起業家/経営者で、メンタルを崩してしまった(崩してしまいそうな)あなたに読んでいただきたくて書いています。

ひとりひとりの「メンタル不調」の背景には言葉にはし尽くせない「人生」そのものが存在するのであって、そう簡単に定式化できないことは重々わかっていますが、それでも、これまで数百人の起業家/経営者をサポートしてきた中で見えてきた共通点は、もしかしたらあなたにも役に

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展覧会「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」は何を自問する?/一日一微発見437

展覧会「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」は何を自問する?/一日一微発見437

国立西洋美館65年目にして初めての「現代美術」展を見に行く。
最初に感想めいたものを言うならば、よくできたキュレーションであり、しっかりとした見ごたえがある。しかし同時に多くの「現代美術家」をまきこみながらも、あたりまえの自問自答におちいっている展覧会ではないか。

問題設定がどうなのか、という根本的な疑問を感じた。
キュレーションの意図は明解である。

「中世から二十世紀前半までの西洋美術のみを

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