武久真士

日本文学研究者。noteでは、研究ツールについての考察、本の紹介、教育についての記事などを書いています。 詳しい研究内容についてはこちら→https://researchmap.jp/take78

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  • 教育論・授業案

    教育について書いた記事をまとめたものです。

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    さまざまなアプリケーションを使いながら、研究ツールとしてそれらをどう活用できそうか考える記事たちです

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    読んだ本についての感想、あるいは書評や、おすすめの本などをまとめたマガジンです

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自己紹介

◯プロフィール武久真士(たけひさ・まこと) 1995年生まれ、兵庫県在住 教員。主に日本の近代詩、特に1930年代の詩を研究しています。中原中也とか三好達治とか。『近代体操』同人。 noteは2020年、コロナウイルスがはやって外出できなかった時期に、とにかくなにか創作というか、アウトプットがしたくなって始めました。 詳しい研究内容についてはリサーチマップをどうぞ。 また、『近代体操』などに批評も書いています。ご依頼などあれば書きますので、お気軽に本記事下の連絡先まで

    • noteを100記事書いて

      この記事で、noteの記事が100記事目になります。せっかくの記念なので、noteという媒体に対する私の思いを書いてみます。 なぜnoteを書くのか。大前提として、私は文章を書くことが好きです。このように公開されている記事の他にも、プライベートな日記や展覧会評、読書ノートなどを書いています。読むことと書くことは、私の生理に近いものです。 また、noteのUIも非常に私好みです。私は文を書くときにかなりパラグラフのまとまりを重視するのですが、noteはパラグラフを意識させる

      • 部活動指導に関する非常に屈折した葛藤

        教員の働き方改革が進んでいます。そのなかでも最も議論が盛んなのは、残業代の話と部活動指導の話でしょう。 先に自分のことを。私は高専の教員として、現在卓球部の指導をしています。私自身中学校から大学までそれなりに熱心に卓球をやってきており、部活に行ったときも迷惑にならないときは少しだけ卓球をさせてもらっています。さまざまな形で部活動指導をされている全国の先生の中でも、かなり恵まれた条件だと言わねばなりません。はっきり言えば、私は部活動指導がほとんど苦になっていません。卓球が好き

        • Dnynalistでタスク管理

          こんにちは。今回の記事はタイトル通り、Dnynalistを使ったタスク管理についてご説明します。 Dnynalistについては以前別の記事でも書きましたから、今日書く以外の使い道については下記の記事もご覧ください。 一応簡単に説明しておくと、Dnynalistとは文章のアウトライン作成を支援してくれるアプリケーションのひとつです。要するに文章執筆ツールなのですが、タスク管理にも使える形になっています。 文章執筆ツールがなぜタスク管理に使えるのか。さっそく説明していきまし

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          大学受験の頃

          歳を重ねて、受験のときのことを思い出せなくなってきた。だが、人生の中で大きなイベントだったことはたしかなのだから、忘れきってしまうことは寂しい。ここにほんのすこし、記録を残しておくことにした。 志望校を決めたのは2年生はじめくらいだった。最初は地元にある大学に行こうとしていたのだが、先輩から「この大学はチャラい」と言われて、嫌だなと思って、やめにした。夏にそこのオープンキャンパスにも行ったのだが、学生のことはあまりちゃんと見ていなかった。逆に、受験した大学のオープンキャンパ

          大学受験の頃

          村上裕一『ゴーストの条件』--幽霊と神と

          いまさらながら、村上裕一『ゴーストの条件』を読んだ。2011年に発売された本書はざっくりいえばキャラクター論で、批評の歴史でいうと大塚英志『物語消費論』⇒東浩紀『動物化するポストモダン』⇒村上裕一『ゴーストの条件』という流れになる(正確に言うと斎藤環とか伊藤剛とか宇野常寛とかをはさむ必要があるけれども)。特に本書では、東浩紀がくどいくらい引用されている。それは本書の成立事情にかかわることではあるが、そのあたりの事情は本筋と関係ないので、ここでは説明を割愛したい。 この記事は

          村上裕一『ゴーストの条件』--幽霊と神と

          詩の授業ってどうするの:短歌

          日ごろ日本の近現代詩について研究している者です。 私が普段書いているのはどちらかというと専門的な、日本の詩にどのような可能性があったのかというような論文ですが、多くの人から中高国語で詩をどのように教えればいいかよくわからんという話を聞きますので、noteではちょくちょく詩の読み方について書いております。 短歌・俳句については厳密に言えば専門ではないのですが、それなりに読み慣れているつもりではあるので、番外編ということで短歌・俳句の授業についても書いてみることにしました。

          詩の授業ってどうするの:短歌

          博論の読書会をした

          僕は日本近代詩を専門とする院生です(でした)。今年度の12月に「一九三〇年代の定型詩に関する研究――三好達治・中原中也・佐藤一英を中心に――」という題の博士論文を大学に提出しました。 2月、無事(?)に公開審査も終わったのですが、時間をかけて書いた博論です。まだまだ話し足んねえや、と思い、自分で自分の博論をテキストにした読書会をひらくことに。大学の教室も無事借りることができ、開催1月ほどまえから告知を始めました。 宣伝の甲斐あってか、当日は15名ほどの方にあつまっていただ

          博論の読書会をした

          【国語授業実践報告】東浩紀「弱いつながり」

          ■「弱いつながり」概要 哲学者でゲンロン創業者としても活躍する東浩紀。彼が震災後に記したエッセイ「弱いつながり」は、数研出版『論理国語』の最初の評論です。通常つながりとは強い方がいいもの、「弱いつながり」とは語義矛盾のようにすら感じます。しかし東は、家族や友人といった「強いつながり」だけでなく、「パーティーでたまたま知り合った」といったような「弱いつながり」が、人生に偶然性や出会いの機会を生み出すものとして重要なのだと説きます。 ■授業時間数 短いテキストですし重要な部分も

          【国語授業実践報告】東浩紀「弱いつながり」

          文学が老いを描くこと

          先日、川端康成の『舞姫』を読んだ。 本作は簡単に言うと三角関係の物語である。元バレエダンサーである波子は、八木という夫がありながら過去の恋人との愛が再熱し、家の外でしばしば逢瀬を重ねている。波子の家には娘と息子がいるが、家族の心はどこかバラバラであり、物語の終盤ではほとんど崩壊寸前まで追い込まれる……。 ストーリーはよくある心理小説といったところで、特に真新しいものではない。タイトルの「舞姫」は当然鴎外の「舞姫」を思い出させるが、そもそもダンサーという存在自体が性的な視線

          文学が老いを描くこと

          Notionで研究用のデータベースを作る

          Notionについては以前も記事に書いたことがあるのですが、そのときは概説的なことにしか触れませんでした。 この記事を書いたのがもう2年以上前で、いろいろな状況が変わりました。特にEvernoteの無料版の機能が大きく制限されたことは大きかったですね。Notionユーザーも増えたのではないかと思います。 というわけで今回は研究用の使い道に特化して、Notionの活用方法について概説します。ちなみに私は文系の研究者で、ふだんは日本の近代文学について研究しています。当然ながら

          Notionで研究用のデータベースを作る

          文系研究者、本を運ぶ

          4月、新しい研究室に本を運び込みました。これはそのときの記録です。 4月から新任として高専に勤めることになったので、実家から本を研究室に搬入しました。それにあたってネットでやり方(業者とか、値段とか、段取りとか)を色々と調べたのですが、意外とあんまり出てこない。 結局僕は色々試行錯誤してなんとかしたのですが、今後似たようなことで悩む人が出てくるのではないかと思い、ブログに残しておくことにしました。ネットの最良の部分は、自分が悩んでることに対する先人の記録が見れることだと思

          文系研究者、本を運ぶ

          古文漢文不要論と暴力装置としての教育

          こんにちは。日本の文学を専門に研究している者です。 毎年恒例、そろそろ季語になりそうな話題に古文漢文不要論争があります。受験の時期なので、学生時代のもろもろを思い出すひとが多いのでしょう。 古文と漢文の素養がなければ日本の文化についての理解が著しく阻害されますし、文章の質も急落しますし、将来的に古典籍を読みたくなった際のハードルがうなぎのぼりです。それは間違いのないことで、不要かと言われれば必要です。 そのうえで、義務教育だけでなく高校でも古文漢文を教え、なおかつ入試問

          古文漢文不要論と暴力装置としての教育

          テキストマイニングで宇多田ヒカル『First Love』を読んでみる

          詩の読み方?詩を読むのはなかなか大変です。 文学部の学生でも、詩の読み方はあまり習いません。私は日本の近代詩を専門に研究していますが、「詩の読み方がよくわからなくて……」とよく聞かれます。近代詩の研究者は少ないのです。 詩の読み方については僕のほうが聞きたい……というのは韜晦ではなく本当なのですが、半人前でも研究者がそんなこと言っていては始まりません。未熟さを棚に上げる蛮勇が常に必要とされます。 ひとつ詩の読み方について言えるとすれば、単体で読むより詩集単位で読んだほ

          テキストマイニングで宇多田ヒカル『First Love』を読んでみる

          博論読書会やります

          今年度の12月、「一九三〇年代の定型詩に関する研究―三好達治・中原中也・佐藤一英を中心に―」という博士論文を提出しました。 公開審査は終わったのですが、せっかく書いたのでもう少し博論について話したいなと思い、読書会をやることにしました。アカデミックなかたい感じというよりは、僕の博論をたたき台として自由におしゃべりするような、ゆるい雰囲気でやっていきたいと思っています。 博論のタイトルは博論なのでかたいですが、僕の関心としては詩の問題は現代のセカイ系やJpopの話と切り離せ

          博論読書会やります

          【小説】部費会議

          その日文芸部一同は、顧問の猪木先生から困ったニュースを知らされた。部費が来季から三分の一減らされることになったというのである。これでは部誌の印刷代がまかなえない。先生は今から部費の減額を取り下げてもらえないか頼みにいくという。しかし、今回の部費削減は学校自体の予算の縮小によるもので、嘆願が受け入れられる可能性は低いともいう。困ったことになった。 先生が去ったのち、一同は緊急の会議を開くことにした。来季からの部費のことについて、よく話し合っておかねばならぬ。そうしないと部誌が

          【小説】部費会議