内沼晋太郎

ブック・コーディネーター、クリエイティブ・ディレクター。新刊書店「本屋B&B」と出版社「NUMABOOKS」の経営。バリューブックス取締役。散歩社取締役。 https://uchinuma.com/

内沼晋太郎

ブック・コーディネーター、クリエイティブ・ディレクター。新刊書店「本屋B&B」と出版社「NUMABOOKS」の経営。バリューブックス取締役。散歩社取締役。 https://uchinuma.com/

マガジン

  • コロナ禍

    コロナ禍の試行錯誤です。

  • 内沼晋太郎の「渋谷のことば」

    渋谷区とその近辺でFM87.6MHz、もしくは専用アプリをダウンロードすれば全国で聴くことができる「渋谷のラジオ」にて、第4火曜日午前10時から月1回、パーソナリティをつとめている番組です(「渋谷のアラカルト」枠)。

  • 【全文公開】これからの本屋読本

    『これからの本屋読本』(NHK出版)の本文を、すべて無料で公開します。現在、平日毎日ひとつずつ新しい記事を追加中です。ぜひコピペしてSNSやブログ等で引用したり、議論の土台にしたりしてください。これからの本屋が盛り上がっていくきっかけに、少しでもなれば幸いです。もし気に入ってくださったら、紙版や電子書籍版をお買い求めいただけれたらうれしいです。

  • 【全文公開】不便な本屋はあなたをハックしない

    『ユリイカ 2019年6月臨時増刊号 総特集 書店の未来』(青土社)に寄稿した「不便な本屋はあなたをハックしない」の全文です。2019年5月上旬に校了、5月下旬に出版されたものです。少しずつ公開して、2019年8月に全文が読めるようになりました。

  • 【全文公開】本の仕入れ方大全

    本を卸値で仕入れたい。けれど仕入れ方がわからない。それが、本屋をはじめようというひとにとって最大のハードルだとずっと感じていました。そのハードルを下げるために、日本国内における本の仕入れ方の全体像をまとめたものが、この「本の仕入れ方大全」です。『これからの本屋読本』(NHK出版)の別冊として収録されたものの全文です。ぜひコピペしてSNSやブログ等で引用したり、議論の土台にしたりしてください。これからの本屋が盛り上がっていくきっかけに、少しでもなれば幸いです。なお、なるべく注やコメント欄等で補足はしていくつもりですが、あくまで2018年5月時点の情報であることにご留意ください。もし気に入ってくださったら、紙版や電子書籍版をお買い求めいただけれたらうれしいです。

最近の記事

よりダイレクトでフェアな出版をめざして――DR BY VALUE BOOKS PUBLISHING

バリューブックスから、新しい本が出版されます。 なんと、吉本ばななさんによる書き下ろしの、1年間の日記の本です。 プレスリリースはこちらです。 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000026949.html 実は今回、「DR BY VALUE BOOKS PUBLISHING」という新しいレーベルを立ち上げ、出版と流通の方法においても、踏み込んだチャレンジをしています。 この記事では、プレスリリースには書ききれなかっ

    • 私はなぜYoutuberになるのか

      Youtuberになる、というのはやや大袈裟なんですけど、ともあれはじめることにしたので、その理由を説明します。 「大きな出版業界」がうごきはじめた一年いまから4年半前の、2019年3月。 『これからの本屋読本』と、共著の『本の未来を探す旅 ソウル』『本の未来を探す旅 台北』とを立て続けに上梓したくらいのころです。 ふと「大きな出版業界」と「小さな出版界隈」ということばが、思い浮かびました。 それを同5月、『ユリイカ』誌に寄稿した「不便な本屋はあなたをハックしない」と

      • 書店向けのニュースレターをはじめます

        新品の本を扱っている書店主・書店員の方に向けて、週刊のニュースレターをはじめることにしました。 よろしければ上のフォームからご登録ください。最初のメールは、11月29日(水)にお送りするつもりです。 何をやるのか 準備ができてきたら、またあらためてお知らせしたいと思うのですが、12月中旬より、YoutubeとPodcastで「 #今日発売の気になる新刊 」という番組をはじめます。 今年の6月から7月にかけてやったものを、ちゃんと動画も編集して、本格的にがんばるイメージ

        • #今日発売の気になる新刊 について

          素振りのように続けてきたハッシュタグ 平日毎日、その日の新刊情報をチェックして、 #今日発売の気になる新刊 というハッシュタグで紹介することを、あるときからTwitterの個人アカウントで地味に続けてきました。 そもそもこの日本で、どのくらい新刊が出ているかご存じですか?年間約7万点です。土日祝が発売日になる本は少なめで、9割以上は平日に発売されます。そのため平日は、少ない日でも200点弱、多い日は400点以上の新刊が出ます。 日々、その洪水のような流れの中に立ち、どれ

        マガジン

        • コロナ禍
          7本
        • 内沼晋太郎の「渋谷のことば」
          43本
        • 【全文公開】これからの本屋読本
          110本
        • 【全文公開】不便な本屋はあなたをハックしない
          7本
        • 【全文公開】本の仕入れ方大全
          11本

        記事

          みんなこのことを忘れるのだろうか

          戻って来にくいよろこびのこと「このあと、どういう世の中になると思いますか」と聞かれる機会が増えた。 不意にやってくるので、「うーん、どうでしょう、」というような不確かな入口から入って、そのときに思いついたこと、相手が期待しているであろうテーマに関連することを話してはみるものの、結局は入ったのと同じ、不確かな出口から出る。 ぼくの経営する「本屋B&B」では、2012年7月からの7年半、毎日トークイベントを開催してきた。最大で100人以上、平均でも50人近くが集まる。 ひと

          みんなこのことを忘れるのだろうか

          これからも本屋を続けるために|近隣の方々と、出版社・著者の方々に伝えたいこと

          五月の3日間どのように開けるかだけを、ずっと考えていた。2日に、以下のnoteを公開した。 二つのクラウドファンディングのどちらにも、今日もたくさんの支援をいただいている。寄せられるメッセージ、誰かのアクション、その他の何かに毎日、心を揺さぶらている。 この時点では、まだ具体的な方針は決められていなかった。しかし最近の3日は、まるで1か月のように長い。 5日には、「本屋B&B」の下、吹き抜けでつながる1階で「発酵デパートメント」という店をやっている、小倉ヒラクくんと公開

          これからも本屋を続けるために|近隣の方々と、出版社・著者の方々に伝えたいこと

          開けるために閉めている

          経営者になるつもりじゃなかった「将来はベンチャーを立ち上げたいけど、まだ何を事業にしていいかはわからない」。大学生のころ、友人のそういう告白を何度か聞いた。 ぼくはそれがどういう悩みなのか、心の底から、まったく意味がわからなかった。いま思えば、彼らは経営者になりたかったのだったし、ぼくも彼らと同じ商学部にいた。 ぼくが商学部に入ったのは、経営者ではなく、ミュージシャンになりたかったからだった。音楽で食べていきたいので、ビジネスの勉強をしたほうがよいと考えた。 結局、ミュ

          開けるために閉めている

          本の送料と、お金が取り戻したかもしれないもの

          書店だから苦しいのかいわゆる出版業界の中で、書店はいちばん苦しんでいると思われやすい立場にある。利益率が2割しかないというのも、よく知られる。 たしかに、利益率だけでいえば、書店のほうが出版社より、たいていの場合は低い。 けれど、たとえば、ある一冊の本がこの世界に存在するためのリスクを抱えているのは出版社だ。そのことは利益率だけを見てもわからない。 ここに初刷7000部の本があるとする。定価は1000円。書店の仕入値は800円、取次の仕入れ値=出版社からの卸値は700円

          本の送料と、お金が取り戻したかもしれないもの

          家にいながら、本屋を散歩したいみなさん。「わたしたちがブックストア」にようこそ。

          移転したばかりの下北沢「本屋B&B」は、新型コロナウィルス感染拡大に伴う外出自粛要請に対応して、2020年4月4日(土)と5日(日)を臨時休業しました。 4日(土)には、オンラインストアを立ち上げ、主としてデジタルデータを売ることにしました。 本日6日(月)から、平日がはじまります。少なくとも昨夜の時点では、平日の日中だけでもオープンするという選択肢も、ゼロではありませんでした。 ですが、中心となるスタッフで議論した結果、「本屋B&B」は6日(月)~12日(日)まで、休

          家にいながら、本屋を散歩したいみなさん。「わたしたちがブックストア」にようこそ。

          ビールの飲める本屋が、ゼロからはじめること

          2020年4月1日、「本屋B&B」は下北沢の「BONUS TRACK」に移転しました。 「B&B」は「BOOK&BEER」の略で、ビールの飲める新刊書店です。2012年7月にオープンしたのが「第2マツヤビル」。2017年12月に移転した先が「BIG BEN」。そこからさらに移転したのが、いまの場所です。下北沢をぐるっと回って、8年目になります。 そもそも、2012年のオープンのひとつのきっかけは、2011年の震災でした。そして2020年、新型コロナウイルスがやってきました

          ビールの飲める本屋が、ゼロからはじめること

          いまこそ、日記をつけよう

          2020年4月1日、「日記屋 月日」をオープンします。 場所は下北沢の「BONUS TRACK」という新しくできる場所です。自分が経営している新刊書店「本屋B&B」も、出版社でもある「NUMABOOKS」の事務所も、ここに移転します。 「日記屋 月日」はその場所で、ぼくがもうひとつ新しくはじめる、日記のお店です。 「いまこそ」ということばに緊張しながらぼくは日記が好きです。自分の日記を書くことも、誰かの日記を読むことも、どちらも続けるほど奥深く、すばらしい経験だと感じて

          いまこそ、日記をつけよう

          このnoteについて

          内沼晋太郎と申します。 本にかかわる仕事をしています。はじめましての方はよろしければこちらの自己紹介を、お仕事のご依頼についてはこちらをご覧ください。 現在、こちらのnoteには、下記の二つのテキストを全文公開しています。 ・『これからの本屋読本』 ・「不便な本屋はあなたをハックしない」 これからの本屋読本『これからの本屋読本』は、これからの小さな本屋について、おこがましくも教科書のような本をめざして書きました。あらためて本と本屋の魅力を考え(前半)、本の仕入れ方法を網

          このnoteについて

          不便な本屋はあなたをハックしない(6)全体の未来よりも、個人としての希望を

          「不便な本屋はあなたをハックしない」目次 (序) (1)本屋としての筆者 (2)「泡」と「水」――フィルターバブルを洗い流す場所としての書店 (3)独立書店と独立出版社――「課題先進国」としての台湾、韓国、日本 (4)日本における二つの円――「大きな出版業界」と「小さな出版界隈」 (5)「大きな出版業界」のテクノロジーに、良心の種を植え付ける (6)全体の未来よりも、個人としての希望を ※「不便な本屋はあなたをハックしない(序)」からお読みください。 とはいえ、もはや「業

          不便な本屋はあなたをハックしない(6)全体の未来よりも、個人としての希望を

          不便な本屋はあなたをハックしない(5)「大きな出版業界」のテクノロジーに、良心の種を植え付ける

          「不便な本屋はあなたをハックしない」目次 (序) (1)本屋としての筆者 (2)「泡」と「水」――フィルターバブルを洗い流す場所としての書店 (3)独立書店と独立出版社――「課題先進国」としての台湾、韓国、日本 (4)日本における二つの円――「大きな出版業界」と「小さな出版界隈」 (5)「大きな出版業界」のテクノロジーに、良心の種を植え付ける (6)全体の未来よりも、個人としての希望を ※「不便な本屋はあなたをハックしない(序)」からお読みください。 「大きな出版業界」の

          不便な本屋はあなたをハックしない(5)「大きな出版業界」のテクノロジーに、良心の種を植え付ける

          不便な本屋はあなたをハックしない(4)日本における二つの円――「大きな出版業界」と「小さな出版界隈」

          「不便な本屋はあなたをハックしない」目次 (序) (1)本屋としての筆者 (2)「泡」と「水」――フィルターバブルを洗い流す場所としての書店 (3)独立書店と独立出版社――「課題先進国」としての台湾、韓国、日本 (4)日本における二つの円――「大きな出版業界」と「小さな出版界隈」 (5)「大きな出版業界」のテクノロジーに、良心の種を植え付ける (6)全体の未来よりも、個人としての希望を ※「不便な本屋はあなたをハックしない(序)」からお読みください。 一方、台湾や韓国のそ

          不便な本屋はあなたをハックしない(4)日本における二つの円――「大きな出版業界」と「小さな出版界隈」

          不便な本屋はあなたをハックしない(3)独立書店と独立出版社――「課題先進国」としての台湾、韓国、日本

          「不便な本屋はあなたをハックしない」目次 (序) (1)本屋としての筆者 (2)「泡」と「水」――フィルターバブルを洗い流す場所としての書店 (3)独立書店と独立出版社――「課題先進国」としての台湾、韓国、日本 (4)日本における二つの円――「大きな出版業界」と「小さな出版界隈」 (5)「大きな出版業界」のテクノロジーに、良心の種を植え付ける (6)全体の未来よりも、個人としての希望を ※「不便な本屋はあなたをハックしない(序)」からお読みください。 前述のように、筆者は

          不便な本屋はあなたをハックしない(3)独立書店と独立出版社――「課題先進国」としての台湾、韓国、日本