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ひらめきをください、読書の秋。

ひらめきをください、読書の秋。

【失われたひらめき】年を重ねると、かつてのような感性やひらめきが失われる。

アイディアとかが、なーんにも思いつかないこともあるし、ひらめきによる謎のドキドキ感を味わう機会も少ない。

脳の衰えなのか、ひらめきそのものに対する飽きや諦念なのか、よくわからんけど、ひらめきによるワクワク感のない日々は、けっこうさみしい。

私の世代(アラフォーぐらい)ではシェアハウスとかでおなじみのphaさんも、中年

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学生時代にドッグイヤーした英詩、なぜか吸血鬼。

学生時代にドッグイヤーした英詩、なぜか吸血鬼。

学生時代に読んだ本のドッグイヤーを見てみたら、やけにエモかった。

という記事を書いたのですが、個人的になかなか面白かったので、またやります。前回の記事はこちらです。

前回は短歌でしたが、今回は英詩にします。

前も書きましたが、学生時代、英語を(真面目に)勉強すべくアメリカ詩のゼミを選んだものの、詩の世界をまったく知らず、さまざまなアンソロジーに目を通して、詩の知識を深めることにしました。

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学生時代にドッグイヤーした短歌、エモいし深かった。

学生時代にドッグイヤーした短歌、エモいし深かった。

英語を(真面目に)勉強するために、大学のゼミではアメリカ詩を選んだものの、

詩の世界をまったく知らん。

ということで、日本には、短歌と俳句という詩があるので、アメリカ詩と並行して、勉強すべくそれらの本を読んでいた私。

で、多くの作品に触れたほうがすぐにそのジャンルの概要的なものがわかるだろうと思い、さまざまなアンソロジーを手にするわけです。

学生時代、手にしたアンソロジーのうちのひとつは、

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冬のホント、贈りもの。

冬のホント、贈りもの。

師走。

師たちは、我々の前を走っています。

でも、ときどき転ぶかもしれない。

師たちだって、おんなじ人間ですわ。

あるいは、ずっと走り続けられるのかもしれない。

ちょっと前まで「読書の秋」でしたが、「冬も読書するよね」ということで、先人や先輩の言葉、というか作品を紹介してみます。私個人がパッと思いついたやつを。

テーマは、冬です。

冬の言葉、ウィンターソング。

【三好達治選『萩原朔

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ふたたび、読書の秋、洋書の昔話。もしくは、ゆめ物語。

ふたたび、読書の秋、洋書の昔話。もしくは、ゆめ物語。

また、自宅にある本の話をしようと思います。

ネタがないんですよ、ネタが。

ネタがないことに妬む。

ネタがないから、寝た。

という爆笑必須のギャグ(あるいは超絶スベリ芸)はいくらでも思いつくのですが、今の時期は”読書の秋”とか言われているし、何度も本を紹介したっていいですよね。

あ、今回は「国内の出版社だけど洋書」っていう書籍を取り上げます。

それはコチラでございます。

【国内の出版社

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読書の秋、洋書の昔話。スポーツの秋、大根かつらむき。

読書の秋、洋書の昔話。スポーツの秋、大根かつらむき。

大学生時代、ときどき洋書とか買ってました。

翻訳された作品を読み、気に入ったら、今度は原文で読みたい。

とか、思ってたんでしょうな。

あるいは、「洋書を読んでるとモテそう」とか思っていたのかもしれない。「オレはカッコイイことをしているから、人々もカッコイイと思ってくれるに違いない!」という謎の思い込みですな。

今回は、読書の秋だし、私の自宅にある洋書を少しだけ紹介してみます。

あと、シミ

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ぴったりの湿気

ぴったりの湿気

 また、寄り添っている。
 やめて、という言葉にも思いにも、耳を傾けてくれない。
 わたしの体はそれほど大きくないけれども、全身にぴったりしている。
 正直、いい気持ちはしない。

 さわやかではないんだ、しつこいんだ。
 ベタベタしてくるし、どこにでもいる。
 一年中ではないけれども、一生付きまとってくる。
 たぶんこの時期、体重は増えている。
 一緒に体重計に乗って、その値に驚いたり喜んだり落

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デザイン基礎教育

デザイン基礎教育

最初は、鼻がなくなってしまった、と思った。
朝起きて、洗面所にてすぐにそれに気づいた。
歯磨き粉にも石鹸にも、まったく香りがない。

湯気の立つコーヒーやカリカリのトーストも同じ。
整髪剤も制汗剤も、本来の役目が損なわれている。
だからわたしの鼻は、どこかに消えた、と思った。

匂いがしない、という現実はものすごく怖い。
5月を彩るラベンダーも、肉汁がジュージューと歌うBBQも、ぽかぽか陽気にくる

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洗濯物は鯉のぼり 太陽系の恋が零れる

洗濯物は鯉のぼり 太陽系の恋が零れる

洗濯物は、鯉のぼりだと思う。

衣服からしたら、汗やシミのない快楽。
人類からしたら、ポカポカ陽気の幸福。
犬や猫からしたら、そんなの知らんがな。
鯉からしたら、いや、いつも素っ裸です。
太陽系からしたら、へぇー、そうなんだ。

洗濯物は鯉のぼり 太陽系の恋が零れる

(了)

【ポエム的なあとがき】
衣類を洗濯することがスキです、マジでめっちゃスキ。

トップス、ボトムス、下着、靴下を屋外に干す

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オレンジシュート

オレンジシュート

汗が弾ける。

すっぱい液体は、ぼくを憎む。

キラい、ということであれば、どうぞご自由に。

どうせこれからも、あるいは一生、何度でも再会するのだから。

ぼくに対する汗の気持ちとは違って、リングとボールはそれぞれを求め合う。

その姿に、ドキドキする。

膝のクッションと手首のスナップだけで、ボールは簡単に空を飛ぶ。

モップだったら、こんなに昇らない。Tシャツやタオルならば、明後日の方向に行

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汗の楽園

汗の楽園

 汗は、わがままだ。
 ぼくのいうことなんて、聞いてくれやしない。
 額から、首筋から、ワキから、背中から、次々と顔をのぞかせる。
 やめてくれ、よしてくれ、と注意しても無視だ。そして感情的になるほど、身振り手振りでメッセージを伝えようとするほど、一粒一粒が自己主張を強める。透明な後継者も、あとを絶たない。
 どうして出てくるんだ!
 汗は、こうしたぼくの言葉に耳を傾けないし、何も言わない。
 た

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サクラを忘れる。

サクラを忘れる。

 小さな薄桃色の座席は、しっとりとしていた。
 うっすらと、甘い春の香りもする。
 シートのふちは、せっかちなエイのように、バタバタと揺れている。
 指先でつっつけば簡単に破れそうな耐久性にもかかわらず、まさか、本当に乗れるなんて――

 桃色の絨毯は、風に身を任せて、ぼくをどこかに運んでいる。
 きもちいい。と同時に、怖い。
 ここは、地上数十メートルぐらいの高さ、だと思う。
 学校の屋上にある

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