お題

#私の作品紹介

作品紹介だけでなく、制作のきっかけや裏話など、なんでもかまいません。あなたのつくった作品について、noteで発表してみませんか?

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旅の想い出をイラストでキロクするということ。

どもー!marimoです♡ うごくおうちを作って、週末に気まぐれ家族旅をしながら旅の想い出をギュッと1枚に描いて旅レポしています^^ 忙しい日常にちょっとした「楽しい時間」をお届けにできたら嬉しいです♡ さてさて、旅行するのにとても 気持ちの良い季節になってきましたね。 みなさんは「旅」の想い出ってどうやって残していますか? 私は、タイトルにも書いたように、 旅の想い出をイラストでキロクして残したい♡ と思っちゃうのです^^ 「旅」とは。marimoにとっての旅とは、

【短歌】秋の陽に 3首

秋の陽に  揺れる面影  今もなお  通りに探す  心が探す 忘れてと  願いながらも  落ちてゆく  涙の音を  あなたに刻む 散り行くは  花ばかりとは  限らない  合わせた想い  静かに落ちる 詩集が出ました

【短歌】あの時のまま 3首

なびく髪  伸びた分だけ  時は経ち  心だけまだ  あの時のまま 行くのなら  あなたがいいと  手を取った  遠い昔の 恋物語 色褪せた  頃が見ごろの  過ぎた恋  懐かしさに酔う  今は遠くに

ねこは ねこなんだし

そろそろ ねこに 名前をつけようかなあ いまのままでも いいんだけどね わたしにとって ねこは ねこなんだし ねこにとっても ねこは ねこなんだし 小説にしろ エッセイにしろ わからない言葉が出てくる そのたび スマホで調べる まだまだ知らないこと 多いなあ と 思う 調べながら 紙の辞書 使わなくなったなあ と 思う ちいさかったときは わざわざ紙の辞書を引いて 大人になった気に なったりしたもんだけど 調べ終わり ふと 思う ねこに パトラッシュ と 名前を

お留守番

海沿いのちいさな映画館で よく、あの子と映画をみた 付き合うんなら 映画が好きな子にしなさい かあさんが言っていたから というのでもなかったのだけれど あの子が、映画が好きと言って 安心したところはあった あの子とみた映画には きまって、ねこが出てきた あの子は、ぼくと 出会うずっと前の ちいさかったころから ねこが好きだったみたい ぼくは、あの子と 映画をみるようになって だんだんと、ねこを 好きになっていったんだった あの子とよくみにいった 海沿いのちいさな映

[秋ピリカ] 紙と鉛筆①

 テーマは「紙」。  ブログサイトの文学賞のテーマを見ながら構想を練る。さて、なにを書こうか?  自慢じゃないが、何度か同様のコンテストに応募したことがある。しかし、箸にも棒にもひっかかったことはない。負け惜しみかもしれないが(いや、負け惜しみに間違いないのだが)、誰もが知る伝統的な文学賞だって、客観的に作品の優劣なんて決められるのだろうか?  審査員の名前を見る。もうすでにこの時点で終わっている。ふだん好んで読んでいる審査員の作品なんて1つもない。かといって、審査員好み

きれいで まぶしい

いつもの時間に乗る電車は ほとんど人も決まっていて 座る位置 立っている位置も だいたいおんなじで それが これから向かう 学校の教室みたいで ちょっぴり息苦しい わたしをおし潰さない程度の その息苦しさは 生きてることを 実感させてくれる 生きるってたいへんですね なんにもわかってないくせに 悟ったようなことを 軽率に 安易に 口にしちゃう 陳腐だなあ われながら思う 電車が橋を渡り 川を越えていく 早朝の太陽の光が 水面に反射して きれいで まぶしい きれい

吐きそうになるほどあの人のことが

やめるらしい ちがう、らしい、ではなく やめる、やめてしまう その挨拶なんだから それにしても、それにしてもだ やめるその日まで知らなかったなんて いくら関係の遠い部署だからって 社内のウワサにウトイからって ファンだ 今日を限りでやめてしまうサクラのファンだ 同じ会社の、六つ年下の、そういった存在に ファン、というのは、どうなのかなあ 考えたこともあった けれども、ファン、という言葉が いちばん適切に 自分の気持ちをあらわしている でも、と、思う ファン、という

【短歌】シャツの色 3首

良く似合う  茶色のシャツの  模様まで  まだ目に浮かぶ  懐かしい日々 時の波  押し寄せるのは  後悔の  ごめんなさいが  今も痛む 遠くなる  あなたの声を  忘れ往く  乞う涙に  時は冷たく 詩集が出ました

ちょっとだけだ ちょっと不安になっただけだ

学校からの 帰り道 小石を けってみる 自分では ちゃんと けっている つもりなのに 思うように 小石は 飛んでってくれない なんか わたしの人生みたいだなあ と なんでも人生と かさねてしまう ときどきでいいから 思い通りに 飛んでってくれよ と 人生と かさねてしまう ちょっと 気持ちをこめて けってみたら 思いのほか 小石が よく飛んでいった やったー と 思うのも つかの間 小石が 走ってきた 自転車にあたり ひどく 怒られる なんか わたしの人生みたい

さえぎるもの

こんなんじゃいけない もっと文学的なものを そこまでを思考し けれど、続きはやめた さえぎるものがあった キミがやっているのは 文学なんかじゃあないだろう およそ文学とは呼べないようなとこを ふうらふうらしてるようにみえるよ さえぎるものは さらに続ける 文芸だあ、キミがやっているのは 文芸だよ、キミは 文芸的なものを目指しなさいよう 窓から月明かりがさしていた いいや、月明かりではないんだけどね ただの街灯の光だよ 月明かりが街灯の光を介在して 忠告でもしてい

✩ 文学夜話 ✩ インスピレーションを与えてくれる息子

子供たちからインスピレーションを受けて作品を書くことが時々あるので、今日はそのお話しをしたいと思います。 小学生の娘と、2歳の息子がいます。歳が結構離れていますね。 娘から影響を受けて書いた詩もありますし、息子から影響を受けて書いたものもあります。最近は息子について書くことが多いですが、それは単にまだ2歳なので色々手間がかかるからでしょうね。娘も息子も同じぐらい大切にしています。 娘についてはまた別の機会に書くことにして、今日は息子にインスパイアされた作品をご紹介します

え?まだ「あいの里」観てないの?【エッセイ】

Netflixオリジナルに、「あいの里」という恋愛バラエティがあるんだけど、これがやたらと面白いので紹介です。 どんな人に紹介したいかというと、 「恋愛バラエティって聞くとウッて気持ちになって身構えてしまう人」です。 そうそう、ぼくも苦手なんですよ。 恋愛バラエティ。 特に、湘南の一軒家で男女が共同生活するやつとかひとりの男を数人の女性が一斉に選ばれようとするやつとか(笑) なにがきついって、上流階級の人間の恋愛を下々のお前らにちょっと見せてやるって感じです。 別にそん

読む

詩は 夏に 読むものではないなあ 汗を 流しながら読むんじゃあ 紙が 濡れてしまうじゃあないか 詩は 暑いときに 読むんじゃあなくって 寒いとき 公園で ひとり 涙を流しながら 読むものさ それだって 流れた涙で 紙が濡れてしまうことに ちがいはないんだけどねえ

まあるい

なんでだろうか 考えてしまう スーパーマーケットの 売り場の あの風景を 頭に 思い浮かべると 決まって オレンジが 頭に 浮かんでくる まあるい あれ 色の オレンジ ではなくって 果物のほうの オレンジ まあるい あれ 特別 スキ なのではない 特別 キライな こともない 自分で買ったことは たしか なかったなあ まあるい あれ お昼に 会社の同僚が おひとつどうかしら なんて言って 差し出されたのを 食べたことは 何度か あった 切られていた まあるい 

【詩】いつかの空

まっさらな青空を 小さな雲が一つ行く 届かないのに 懐かしく 追い掛けて いつかの空の続きを見る 時は経つほどに 涙の味も溶かしては 思い出を やさしい色に変えている 握る心を温めている もう一人の持ち主の 空も心も どうか晴れていてほしい 届かぬ雲に 今はただ願うばかり

それとも きれいな落ち葉だったり

久しぶりに外に出る 近くのお店で買いもの たったそれだけのことに わけもなく怖がってしまう なんとも情けない 気持ちを上げてみるために というのでもないのだけど お気に入りの靴にしてみる わたしに許可なく けれど 確実に 季節は動いている 近所の家では 気がつかないあいだに 見なれない実がなっている なんていう実なの その実に向かって 聞いてみるのだけど ひやかしの人には 教えてくれないみたい ちいさな車の修理工場から シンナー臭いにおいが 姿なく流れてきて はっ

そういうことにしておきたい

ちょっと 気持ちが 弱っている そう言いきっていいものか 判断がつきかねるところではある いつもとは ちがう それは 確かなところ 昨日のことが 原因なのか それとも そのほかのこと 食事のこととか 人とのこととか 達成されない数字のこと そうはならなくていいこと 漠然とした将来のことに対してか それは よくわからない とにかく ちょっと よくないよう いまの状態が ちょっと よくない と 理解できているのなら それでいいのかな 難しく考えず そういうことにしておきた

絵のない絵本

ねこ好きなの? と、聞くと 嫌いなの? 聞き返されることがある どこをどう判断して そう言ったのかな 考えながらも 嫌いじゃないよ 返答するそれが いささか めんどうくさかったり そうでもなかったり ほんとうは 雨のなか ひとり 傘もささず 歩いてみたい おかしな人 思われたくないから やらないだけでさ なにも ざんざん降ってるときに そんなこと しはしないけれど 詩というより 絵のない絵本みたいだね そう言ったのは、誰だったんだろう ウチのねこは、おか

適度にセーブして

しっかり食べないと おかしなこと考えがちになるよなあ まあ これでも食べたまえよ ウチのねこが ドーナツを差し出してくる へへっ わたしは笑い けれど ちょぴっと 泣いてもいた

【詩】葉と生贄

沈鬱に煌めく枯れ葉たちは 生贄の記憶をさまよいの壁に打ち付け 足早に去り行く 新緑は朗らかに 常しえの鎮魂歌を彼の脳天へ呪縛し ついに気のふれた紅葉は 死を仄めかす不可解な踊りを 彼の前で軽やかに舞ってみせた 葉脈の陰影は 方々に宙の揺曳を生み出し 揺曳は旋律の海となる 生贄は長年 この海から抜け出せるのか悩み続けた それはひとえに 彼の頭の後ろ辺りが禿げているためだけではない 彼には旋律の色が見えたのだ その色は絶えず流転し 同じ色調の仄かを地上に移調する 生贄は葉を偏

詩 | 悲しみの伝達速度

スパッとナイフで 切られたように はじめのうちは わからなかった しばらくしてから 血が吹き出してきて はじめて痛みを 感じはじめた 無感覚状態から 激痛へ移行して やがて鈍痛が つづくことになった ずっと鈍い痛みを 抱えていたんだ もっと早く君を 手放しておくべきだった 会えない日々は いつしか会わない日々に 変わっていたのに ズルズル付き合っていた 君からのLINEも電話も 僕からの電話もLINEも 形式的にものに 成り果てていたのにね わかっていたのよ 惰性

ガラニモナク

四六時中、誰かしらとつながってないと 自分を保っていらんない、なんてこと わたしには、ない ない、と思いたい さびしさは、いつでも わたしの横にいる 友だちみたい、そう言っても いいんだろう 友だちのくせに わたしを救ってくれることは、ない そういうとこが、友だちとして たいへん、ふさわしく思う エッセイは、文章を読んでるんじゃなく 文章を書いたその人自身のことを読んでいる ねこが言ったことがあった そういうとこも あるかもねえ そんな返答をしたんじゃなかったか

『そしてまた、朝は来る』ー詩ー

それでも朝は来る 赤子は手足を 空に届かんばかりに伸ばして お腹が空いたと泣いている ミサイルは空を突き抜けて 隣の国に住む人々の穏やかな生活を 終わらせようとしている 夢中で駆け抜けたサラリーマン 社畜上等とネクタイを外して 時間は無限と信じて 脱皮する力もない今は 時間を知る必要さえない 小さなことにクヨクヨと 大きな気持ちは時間が経てば 風船のように萎んでしまう 歩き出したいのに立ち止まって 見回すことしかできない 何にこだわっているんだろう 雑草でいいと思って

予感

続けていれば そのとき は きっと来るから そう言われたとき わたしにとっての そのとき は 来ない気がした その予感が当たったのか それとも わたしみずから 予感を現実のものとするため 行動したということなのか いずれにしても 結局のところ わたしには そのとき は 来なかった

やっと お米 買えたね

やっと お米 買えたね 自分で食べるわけでもないのに ねこは 安心した様子 お米 どうやって 炊いてたんだっけ わたしは ちょっぴり 不安な感じ 炊くのは 炊飯器であって わたしでは ないんだけどね それでも ちょっぴり 不安な感じ

ショートショート いい女の末路

「あんた、いい女になったね」 友人の文子から言われた怜子は、 「どこがよ」 と聞いて来た。 「歩きタバコしてる姿がカッコいい」 「ほんとはいけないんだよ」 「お前が言うな」 と文子は笑った。 「あたし、もうだめなんだ。だから、いろんなこと、やめてるし、捨ててるし、断捨離?してるんだ」 怜子は、言った。 「彼とは?」 「とっくに別れた」 「そうなんだ」 怜子は、クスッと笑い 「なんであたしのことばかり聞くの?」 と文子に言った。 「気になるからだよ。いつの

【創作】競技場で【スナップショット】

  ああ また点が入りましたよ   そうだね   本当にスポーツに興味がないんですね あなたは会長なのですから もう少し競技に 熱中してもいいのではないですか   私にそんな熱意はない   前から思っていたのですが どうしてそこまでスポーツを お嫌いなのですか   嫌ってはいない 私の中で夢中になれないだけだ こんな話がある 昔々、あるところに王様がいた ある日、家来たちが 騎馬競走大会に熱狂していたが 王だけは木陰で本を読んでいた 一人の家臣が 王様は競走をご覧にならないの

そのとき初めてことの重大さに気づくのかもしれない

ミニトマトを食べる ひとつぶ、口に放りこんで 口のなかで ミニトマトをつぶす 人は、どうやって ミニトマトを 食べているんだろう そんなこと 人それぞれ どうでもいいこと そうじゃないか? まあ、そうなんだけどさ 好きなように食べるのでいいじゃあないか 好きなように歌うのでいいじゃあないか 好きなように読むのでいいじゃあないか 好きなように生きていくのでいいじゃあないか ミニトマトをどう食べようと 好きなように食べるのでいいじゃあないか そうさ、人生は、だから、

【短歌】足跡 3首

足跡が  あなたの中に  残るなら  それだけでいい  今は静かに ため息の  味にも慣れて  一人きり  恋の終わりの  苦さのみ知る 置いて行く  終わった想い  振り向いて  涙で見えず  あなたが見えず 詩集が出ました

ボケてるというよりピントが合っていない

初対面の人と接するときは ノリの悪い感じをよそおってみる 自分なりの防衛行動 無理によそおわなくっても もともと、ノリは悪いんだけど  時計が五分進んでいるのを  五分も進んでるかあ  とするのか  五分しか進んでなかったかあ  とするのか  別にどうでもいいかあ  とするのか そうなってしまうとニンゲンっていうのは そこまで聞いて、けれど、先が続いてこない、言葉の出どころであるウチのねこを見てみると、壁の上のほうをじーっと真剣な表情で見つめている、おそらく、わたしには

秋の虹|短歌

届けたい虹の光のスペクトル きみ住むまちのまごころの奥 このあいだ、家のすぐ近くにおっきな虹がかかりました 小雨がぱらついていたので撮影は断念しましたが、ほんとうに雄大で感動 幸運のおすそわけを、あなたにも🍀 #短歌 #今日の短歌 #賑やかし帯 #私の作品紹介 #芸術の秋

『憧憬』ー詩ー

私は狂ってはいない 狂ったこともない この身体を毎日フル回転し 食べたいものを食べ やりたい事をやり 寝る前の夜空は いつも美しいと思い フカフカのベッドに入り JAZZに揺れ 心はいつもtapをしている 残念なのは 私はいたって 普通であるということ。 そして幸せであるということ。 ✴︎✴︎✴︎ こちらのお題を元に書きました。 #詩 #poetry #私の作品紹介

『自分らしく、自分らしく』ー詩ー

上部だけ見ていては いつまで経っても あなたは自分を好きにはなれない 人に嫌われたくないと言うのですね その人はあなたの 何をわかっていますか ずっとずっと何年も見てきましたか 何かを始める時 勇気という言葉は時に残酷 捨てなくてはいけない事 この先起きるかもしれない 不安や誤解 それを思えば座り直してしまう 人は強くはない 強く生きたい 自分らしく生きたい そう思った時に 強くなれる だけ カラカラ空回りは秋の風のように 誰かの前を歩けば傷も多く 天を仰げば雨のように

鼻にフォークを刺された話98

ここで小噺をひとつ・・・。 98話1枚目ですが、こちらのSNS版が現実で実際に舞能さんに言った発言内容です。 書籍だと少し変わってます。 ここは話の肝部分でもあったので本当は変更したくなかったシーンでもあったのですが

¥200

『問い』ー詩ー

変わっているように見えて 巡っているだけの世の中 置き忘れたモノに いつか出会う日が来るのだろう 旅人は海を渡り 風に乗って故郷をさがす 何を理由に戦いは始まり 何を理由に終わるのだろう この手で叶えられる事はわずかで 人の優しさは心の結び目 寒い冬に春の服を着る どんな裁きが あるというのか ぶれることなく 生きゆくモノに 根を失った切花のように 人はあざないもの 足跡を残すことなく 探す人もなく ✴︎✴︎✴︎ #詩 #poetry #lyric #私の作品紹介

好きときめきとキス

あれから四年 ねこがウチに来て あれから四年 あのときから ねこと わたしの関係が 動きはじめた 飼っている というより 一緒に 生活している 育てている というより 一緒に 成長している そんな感じなのかなあ わたしは そう思っているのだけど ねこのほうからしたら 一緒に という思いなんてなくって 自分で勝手に ということかもしれないし なんだかニンゲンが そばにくっついてくるなあ そういうことなのかもしれない わたしは ねこの誕生日を 知らない 四年前のあの

【創作】夜の橋で【スナップショット】

    ここにいたのか   よく分かったね   前、この場所を気に入っていた ように見えたから   さすがだね あの紙は読んだ?   読んだ 本当に離婚したいのか   ええ もうとめないでね   もうどう言ったらいいか 分からない 僕らはどうしたら 良かったんだろう   あなたに落ち度はないよ 全部私の問題だから   そうやって 自分の殻に閉じこもるのは やめてほしい そうした態度に もうほとほと疲れている   だから別れれば そんな思いはしなくなるよ っていう言葉が一番 あ

【詩】月を殺す

窓辺には 男が切り取った月の欠片たちが 寂し気な輝きを放ちつつ 整然と並べられていた 彼は冷徹な瞳で月を刺し殺し その刃は月を切り取りながら冷たく笑う 男はしかし 欠片たちを決して売ることはない ただ窓辺に立つことが 彼の生の証 満月の夜も 新月の夜も 男は月を刺す そして彼は肥え 生きるのだ だがついにある夜 彼は月殺しのかどで 捕えられた 月を殺して生きるということは 男が予期できぬ未来の憐憫の中で 立ち往生しているという 厳しい現実 彼は自分を取り巻くその

【創作】芥川のかき氷【幻影堂書店にて】

※これまでの『幻影堂書店にて』       ノアはデスクの横にあった白いプラスチック製の棚の扉を開けて中を見ている。   「今日は紅茶を切らしていてね。飲みたいものはある?」   光一は何度もこの書店に来ているが、それが冷蔵庫だと初めて知った。   「特にないなあ。何がある?」   「そうだねえ。オレンジジュースがあるから、今日はこれにしようか」   ノアはそう言ってジュースの瓶と、冷蔵庫の上の冷凍庫から氷を取り出し、お皿を出す。   ノアが指をさっと振ると、本棚から橙色の

詩 | 微笑んでおけ

泣きそうなとき 楽しいときを  思いだし ほんの少しだけ 微笑んでみる 悲しみの 底の底まで 落ちてしまわぬように いつか笑う日を 望むなら 今のうちに ほんの少しだけ 微笑んでおけ いいことあるよ そのうちに 根拠はないけど 人生は 笑ったもの勝ちなのだから #詩 #微笑んでおけ #私の作品紹介

天使のなんちゃら

あの子は、遠くの空を見つめながら あ、天使のなんちゃらねえ と言ったのでした 疑いようのない声の響きで 自信に満ちた顔つきで 天使のなんちゃらねえ と、言ったそれが、ぼくには なんともすがすがしく、そして 潔く、だから、ぼくは その、なんちゃら、を 訂正することもなかったですし 正解を教えてあげることも しなかったのです そればかりか、いえ そうであるから と言うべきなのかな あの現象は 天使のなんちゃら として、ぼくの頭の中で整理され あたかも、正しいものと

下を向いたら向いたで

最近、自分の感覚に自信が持てない はやい話、ちょっと、おかしいな マナモは、そう理解している 帰り道、下ばかり見ていて こんなんじゃあいけない、と ぐわん、勢い顔を上げ 夜空を見てみたら ふわっと浮いちゃう感覚におちいり その感覚が気持ちのいいものではなくて むしろ、気持ち悪い、と感じられ 再び、下を向いてみたり 下を向いたら向いたで 道に落ちている、ちょっとした木の枝が ヘビに見えてしまう 木の枝がヘビに見えてしまうとか 床に落ちてるちっこい毛玉が虫に見えたり なんてこ

創作大賞2024でnote賞を受賞したはなし。

「ぎゃあ〜〜〜〜〜!! 賞獲れたぁ〜〜〜!!!!」『!?』 「ちゅ、昼食会で中間選考通過したって言ってたコンテスト、受賞したってメールがいま来たんです!」 ……Sさんマンツーマンのオンライン会議中に大声で叫んで本当に申し訳ございませんでした🙇🏻‍♀️  先日「中間選考通過したけど書籍化とか難しそうだから最終選考は難しそう、でも超自信作だしガラスペン研究家として賞が欲しい」と述べていた「ガラスペン230本ぶんの『正』の字を集めたはなし。」(以下「正の字」と記載)がオールカテ

そこにこだわる必要はないのかな

妹のは、きわめて長いんだけど、わたしのは、まったく長くない、そうやってわたしが悩んでいることを妹は知っていて、自分のを分けてあげると言う、けれど、しっぽを切り刻んで、わたしのしっぽに足してみるだなんて、どうあってもできっこないんだから、そんなこと言う必要なんてないんだよ パン屋さんになりたいと言っていたニンゲンの子たちは、のきなみ結婚して子どもを育てている、お花屋さんになりたいと言っていたニンゲンの子たちは、たいがいハイヒールをはいて会社勤めしている、魔法つかいになりたいと

【創作】ロビンフッドの帰還【幻影堂書店にて】

※これまでの『幻影堂書店にて』     「今日は不思議なものを着ているね」   ノアは、いつものゴスロリの黒い服の上に緑色のガウンを羽織って、発送用の伝票に書き込んでいた。店に入ってきた光一が尋ねると、笑って手元の緑色の本を振って答える。   「これは、本の特典のガウンだよ。まあ、変な本なんで、こんな特典までついている」   「一体何の本?」   「『ロビンフッドの帰還』という本だよ。オーストリアで1925年に書かれたものだ」   「あの、森の中のロビンフッドの話かな? 作

休日は最悪ルートを進む

急に母親が来ると言う どうせ、汚くしてんでしょ 部屋の掃除でもしてあげるから と言う 母親が来て、掃除をしてくれる そう言っているのに 母親が来る前に 自分で掃除をはじめる なんかなあ、と思いつつ 掃除をする 母親が来る 部屋を見るなり 人が住むとこじゃないわね と言われる 自分なりに、あくまで 自分なりにではあるけれど 片づけてはいたから そんな言い方しないでほしかった それで そういう言い方やめてよね と、実際に言ってしまい ものの数秒で喧嘩になる 展開

【創作】城の塔で【スナップショット】

  何か聞こえましたか?   あれは風の音ね   良かった 人が来たのかと   いずれ来るわ 私を処刑台に導く者がやってくる 今でなくても いつかは   そんなことを 仰らないでください 希望を持ちましょう 女王陛下は 大変寛大なお優しい方です ましてや姫様の妹君で あらせられるのだから 恩赦が下る可能性も   あの子が 優しいことには同意するわ でもだからこそ あの子は 私を放ってはおけない 優しい人間は 人の心がどのように動くかを 分かっているものよ 自分を女王にした水の

【詩】ながれうた

キミと私の星のことばで 数えきれない歌を作った 綺麗と淋しいと嘘とキス ショートケーキと十字架 煙草と石ころと月と蜂蜜 秘密を混ぜて歌を作った 孤独はぶっ放すもんだぜ ルッキズムは大嫌いだよ 小さな部屋に地の果てと 名前をつけて煙草を吸う これでも生きてるんだぜ 夢のなかに私たちはいた 蓮の花と同じ香りのした 貧乏は絶望の別名だった だんだん経済に窒息して 明確に二人に限界がきた あんなに将来を考えたり 計画を立てたりしたのに 愛の國は脆くて儚かった 一年前の今日だったせい

【#毎週ショートショートnote】沈む寺

【沈む寺】  ビービービー  スマホから警戒アラートが鳴り響いている  どうやら某国がミサイルを発射したらしい  軌道計算によれば落下地点はここ青森、おそらく数千人がもうすぐこの世から消えるだろう  寺の中で住職がお経を唱えながら、木魚を叩いている 「ボタンを押さないのですか」  寺が聞いてくる  黙殺し、お経を唱えつづける 「ボタンを押してください。私はそのために作られたのですから」  寺がなおも言い募る 「私が寺型巨大ロボットであることはご存知のはず。起