吐きそうになるほどあの人のことが
やめるらしい
ちがう、らしい、ではなく
やめる、やめてしまう
その挨拶なんだから
それにしても、それにしてもだ
やめるその日まで知らなかったなんて
いくら関係の遠い部署だからって
社内のウワサにウトイからって
ファンだ
今日を限りでやめてしまうサクラのファンだ
同じ会社の、六つ年下の、そういった存在に
ファン、というのは、どうなのかなあ
考えたこともあった
けれども、ファン、という言葉が
いちばん適切に
自分の気持ちをあらわしている
でも、と、思う
ファン、という言葉より
もっと適切な言葉が
あるような
ファン、ではなく、シンプルに
好き、というほうが
より適切に
あらわしているようだなあ
自分のあふれんばかりの気持ちに
吐きそうになりながら
そう感じたのだった
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