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天使のなんちゃら

あの子は、遠くの空を見つめながら

あ、天使のなんちゃらねえ

と言ったのでした

疑いようのない声の響きで
自信に満ちた顔つきで

天使のなんちゃらねえ

と、言ったそれが、ぼくには
なんともすがすがしく、そして
潔く、だから、ぼくは
その、なんちゃら、を
訂正することもなかったですし
正解を教えてあげることも
しなかったのです

そればかりか、いえ
そうであるから
と言うべきなのかな
あの現象は

天使のなんちゃら

として、ぼくの頭の中で整理され
あたかも、正しいものとして
しかるべき場所に、いまだに
保管されているのです

あの子は、いまも

天使のなんちゃら

と、言っているのでしょうか
その言葉を聞いているのは
どんな人物で、どのような関係で
どういった時間を、ふたりは
積み重ねているのでしょうか

しあわせであるのなら
それでいいですよ

ぼくも、しあわせになろうかなあ
最近は、そう思うようになりました





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