「キャプテンも辛いね」 「ダッチマン号の乗組員はみな、迷える子羊」 それぞれの無念を晴らすまで、大海原を彷徨う定め。 「ところで。ここへ来る途中、人魚の歌声が聞こえたけど」 舵輪を握る操舵手エリックを、シスターが見る。 「故郷のシチリアに残してきた恋人そっくりなんだ」
バルセナから海沿いに北上、カルカスへ進むピサロ軍。 そこへ現れる、幽霊船フライング・ダッチマン号。 「エリック、間合いを保ちつつ注意を引いて」 「イエス、マム!」 「神のご加護を」 悲壮と決然。海賊少女マリスが胸に秘める想い。 「ピサロはボクたちが止めるよ。撃ち方始め!」
「孤児の俺は、ある人に拾われシチリアへ渡った。レモン農家の手伝いさ」 「噂では、固い結束と血の掟で知られる互助組織があると聞いた」 島へ渡る際、警護の必要性からクワンダも下調べをしたらしい。 「ボスの娘、ゼンタは外から来た俺を珍しがり、すぐに仲良くなったよ」