柳屋文芸堂

埼玉県民。記事に時々出てくるDちゃんは、一緒に住んでいる好きな人です。

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最近の記事

血なまぐさい人間たちの中にたった一人エンジェルがいた(映画「怒り」感想)

(※犯人が誰かは書いていませんが、優馬と直人の話の展開には触れているので、どんなネタバレもイヤ! という人は映画鑑賞後に読んでください)  綾野剛が演じた直人はおとなしい役なので、見ている最中はあまり目立たなかったけれど、映画館を出て家に帰って何時間か経ってから、 「血なまぐさい人間たちの中に一人エンジェルいたね?」  と気付いた。  天に呼ばれている者の清浄。彼の優しい佇まいをしみじみ思った。  映画「怒り」で私が最も知りたかったのは犯人などではなく、 「ベッドで後ろ

    • 残忍な殺人より、優馬が直人の◯◯◯◯を◯◯◯ことの方が許せない(映画「怒り」感想)

      (※犯人が誰かは書いていませんが、優馬(妻夫木聡)と直人(綾野剛)の話の展開には触れているので、どんなネタバレもイヤ! という人は映画鑑賞後に読んでください)  同棲していた直人が突然姿を消し、警察から優馬のところに、 「大西直人さんをご存知ですか?」  と電話がかかってくる。  直人は逃亡中の殺人犯なのではないかという疑いを強めた優馬は、直人の持ち物を捨ててゆく。洗面台に並ぶ歯ブラシ。直人がいつも着ていた服。殺人犯をかくまった証拠を隠滅するための行為は、優馬の暮らしの中

      • みんな知っている、全力で目をそむけている、あの「怒り」(映画「怒り」感想)

        「怒り」という単語を聞いてまず思い浮かべるのは、嫌なことがあってプンプン怒る人の姿ではないかと思う。  映画「怒り」で描かれるのは、もっと内に籠もり、時に思いも寄らぬ方向に爆発してしまうような、名状しがたい負の感情だ。世間の枠の中でうまく生きていけない人々が、孤独感とともに静かに積もらせてゆく、あの気持ち。  個人的に恨みを持っている訳でもない相手を殺してしまう、一見不可解な殺人事件が、定期的に起こる。テロも含めたら「毎日」と言っても良いだろう。 「何故あんな惨いことを

        • 映画「そこのみにて光輝く」感想

           ヒロイン千夏(池脇千鶴)の置かれた環境があまりにも悲惨過ぎて、最初ちょっと入り込めないなー という感じだったのですが、登場人物それぞれの恋愛感情が露わになってきたあたりから、割と共感出来るようになりました。  私が一番良いなと思ったのは、映画全体に満ちる「北海道っぽさ」  役者さんたち、みんなきちんと北海道の言葉を使ってましたよね? 自分で話せる訳じゃないから発音が正しかったかまでは分からないけど、「なんも」とか「だべ」とか、か行がちょっと濁ったりとか。  ぶっきらぼう

        血なまぐさい人間たちの中にたった一人エンジェルがいた(映画「怒り」感想)

          オカワダアキナ「水ギョーザとの交接」感想

           読み始めてから読み終わるまでの間ずっと、すごーく幸せな気持ちだった。感想を書くとなると、この幸せの理由を言葉に変換しなければいけない。  言葉にする、というのは感覚の記号化で単純化で、そこからは絶対に大切な何かがこぼれ落ちてしまう。 「良い本だったよ」  とだけ言うのがたぶん一番正確で、連ねる単語が長くなればなるほど、私は間違った紹介をすることになる。  それでも感想文を書こうとするのは、 「創作文芸同人誌には、こんな素敵なものもあるんだよ」  って自慢したいから。

          オカワダアキナ「水ギョーザとの交接」感想

          【レシピ】アジの炊き込みご飯

          【作り方】 1、しょうが1片を千切りにする。 2、アジのお刺身2パック分と、1のしょうが、薄口しょうゆ大さじ2、日本酒大さじ1、塩少々を混ぜて5~10分ほど置いておく。 3、お米2合を研ぎ、炊飯器の目盛りまで水を入れてから、大さじ3(調味料分)の水を取り除く。 4、2をお米に加えて軽く混ぜ、「炊き込みご飯」モードで炊飯。 ゴマや青じその千切りを載せて食べると美味しいです♪

          【レシピ】アジの炊き込みご飯

          オカワダアキナ「ぎょくおん」感想

           主人公の郡司は、半分だけ血の繋がった姉との歪んだ関係(性的な接触はするが、セックスはしない。常に姉の言いなり)から逃げ出し、海辺の温泉街で働いている。  自分の意志で離れたのに「姉に捨てられた」という感覚に苛まれ、姉と過ごした日々のことばかり思い出す。 「姉さんがおれの名前を呼んで、息だけで笑います。合図だ、と思いました。それはもう段取りで、流れとしておれは姉さんに口づけました。頬は冷たいのに、口のなかはぬるりと熱いのもいつものことです」  姉さんの様子や二人の関係が端

          オカワダアキナ「ぎょくおん」感想

          ハニワを作りに「のぼうの城」の行田市へ!

           ハニワは埼玉県行田市にある「はにわの館」で作ることが出来る。営業時間が短く休館日も多いので、予定を合わせるのに少々難儀したが、どうにか予約を入れることが出来た。  さあ出かけよう、とカバンを持ったところで、Dちゃんはおもむろに爪を切り始めた。爪に粘土が入ると困るからかと思いきや、 「爪が伸びていると、ハニワに爪あとが付いてしまうからね。なめらかなハニワを作るために」  自分の爪よりハニワの方が大事なのね。  行田市は埼玉県の中でも群馬寄りにある。我々は東京寄りの方から出

          ハニワを作りに「のぼうの城」の行田市へ!

          映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」感想

           主人公の七海(黒木華)が学校で働いたり結婚生活したりする場面がほんとにほんとにしんどくて(人と接するのが下手な子が必死で頑張ってるあの感じ) 「だ、誰か助けてあげて!!」  と思っていたら、スーパーマン役が綾野剛だった! 喪黒福造的な怪しいスーパーマンなんだけど。  七海が常識的な世界から転落してからは、最後までハッピーな気持ちで見ることが出来ました。非常識・非日常バンザーイ!  ここからはネタバレっぽい話になるので、これから見る人はさようなら~ ☆☆☆☆☆ ☆☆☆

          映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」感想

          映画「闇金ウシジマくん Part2」感想

          ☆菅田将暉が可愛い!!  この子が愚かな若者の役をやると、不思議なほど憎めなくて、愛おしいですね~ ホストの話もからむのだけど、 「菅田将暉こそホストになるべき!」  って思いながら見てた(ならなかった。残念) ☆綾野剛が走る場面があったのが嬉しい。  他の人たちがズタボロなのに(菅田将暉なんて何度血まみれになったか……)山田孝之と綾野剛は全然汚れなくて、ちょっとズルい気がした。 ☆お金を大事にしよう!  お金に困って闇金に手を出して首が回らなくなった人たちの話だから、し

          映画「闇金ウシジマくん Part2」感想

          映画「海月姫」感想

           菅田将暉の女装シーンがあると聞いて見てみた! ちょこっと女の子のふりをする、なんてものじゃなく、菅田将暉の女装を満喫するために作られたような映画でした。可愛かった~♪  オタク女子たちが住むアパート「天水館」が取り壊しの危機にさらされ、それを阻止すべく天水館でファッションショーをする、というお話。このショーでモデルを務めるのが菅田将暉で、それ以外の日常の場面でも、カラフルでキュートな衣装に身を包んで登場する。出てくるたびにデザインが違い、髪型も変わり、どれもオシャレ!

          映画「海月姫」感想

          映画「殿、利息でござる!」感想

           貧しさのあまり夜逃げが相次ぐ宿場町で、 「大金を集めて藩に貸し、利息を取ろう!」  というプロジェクトが始まる、というストーリー。コメディータッチの人情話で、落語みたいに楽しめた。  何が嬉しかったって、西村雅彦をひっさびさに見られたこと! いや、ずっと活躍されていたのでしょうけど、私はテレビの無い生活をしていて、邦画も全然見ていなかったから。  あの人の芝居がかった芝居、最高ですよね! いつも同じような演技という訳でもないのに(にこりともしないシリアスな役も好きだ)西

          映画「殿、利息でござる!」感想

          映画「小さいおうち」感想

           戦争が激化する少し前の東京が舞台。中流家庭で起きた恋愛事件。奥様の不倫を知ってしまった女中・タキが、おばあさんになってから当時を振り返る、という設定。  不倫相手が綾野剛なら、とちょっと思ったけど、吉岡秀隆は声が可愛いのね。子供みたいに頼りなくて純真な感じがして、戦局と仕事の話しかしない男たちにうんざりしている奥様がよろめく相手として「これはこれで良いかも」と思った。  妻夫木聡が出てくる現代パートがイマイチ、というコメントをいくつか見たけど、 「昭和10年代は暗い時代

          映画「小さいおうち」感想

          冬の京都旅行(京都のお漬物編)

          ↓旅の始まりはこちら  坂本ケーブルを降りた後、バスで比叡山坂本駅に行き、JR湖西線で京都駅に戻った。やはりこのルートが断然早い。乗り継ぎも悪くなかった。  「京都駅ビル専門店街 The CUBE」にあるお漬物屋さん「西利」で二度目の昼ごはんを食べることに。  Dちゃんは京漬物丼を選んだ。私も同じものにしようかと思ったが、白みそのみそ汁が付いてくるところに「う~ん」となった。昨日から白みそ責めなんだよなぁ。  漬物丼に未練を感じながらも、私は漬物の天ぷらとうどんのセットに

          冬の京都旅行(京都のお漬物編)

          冬の京都旅行(比叡山延暦寺編)

          ↓旅の始まりはこちら  鯖ずしを食べている間ずっと、ゴーン、ゴーンと頻繁に寺の鐘が鳴っていた。延暦寺に近付いていくと、鐘の音も大きくなる。  延暦寺は大きな本堂の周囲に小さな建物が並ぶ、という一般的な様式の寺ではない。東塔、西塔、横川という三つの地域に分かれおり、○○堂、○○塔、○○院などの名を持つ大きな建物が全部で20ほどある。総合大学の巨大なキャンパスを思い浮かべてもらうと近い。  法然や親鸞もここで学んだというから、中世には東大みたいなものだったのだろう。  巡拝

          冬の京都旅行(比叡山延暦寺編)