「ショーン・タンの世界展 どこでもないどこかへ」感想
ちひろ美術館・東京で2019年の5月11日から7月28日まで開催していた、ショーン・タン展の記録。
ショーン・タンは、言葉が一切書かれていないのに登場人物たちの感情がひしひしと伝わってくる稀有な作品「アライバル」などで知られる絵本作家です。
美しい原画にも感激しましたが、作品制作の舞台裏に触れられたのが嬉しかった。
幻想的な世界観や、その表現であるイラストも、現実世界の注意深い観察から生まれる、ということで、旅先の風景を描いた絵画が数多く展示されていた。
私はいつもぼんやりしていて、何事もしっかり見ていないという自覚がある。
ものを見る訓練のために、写生や写真撮影をしてみようかな……
「アライバル」の漫画のような画面構成は、レイモンド・ブリッグズの「スノーマン」を参考にしたそう。
ブリッグズは「風が吹くとき」が深く心に残っているので、こちらも読んでみたいな。
ショーン・タンにも描けなくなる時があるという。
そこから抜け出すために、鉛筆の気の向くまま、ただ手を動かす。
頭の中で先に考えておくのではなく、描いているうちに考えが生まれたりまとまったりする。
私も文章に詰まったら、自分の手を信頼して、とにかく何か書いてみよう。
ショーン・タンが原作と監督を務めた短編映画「ロスト・シング」も見ることが出来た(会場内で上映していた)
心に余裕を持ち、古いもの、忘れ去られたものを大切にすることが、豊かな創造につながる。
そんなメッセージを私は受け取った。
ショーン・タン本人のインタビュー映像を見て(これも会場内で流していた)
国は違えど同世代の(私と2歳しか違わない)「生きている」作家であることを実感した。
才能の大きさが全然違うけれども、私も頑張って自分の描きたいものを描くよ! と前向きな気持ちに。
グッズ売り場には大好きなエリックの絵はがきが沢山あって、
「ひどい! 嬉しいけどひどい!」
と騒ぎながら見事に散財した。
可愛すぎる。私の好みど真ん中すぎるよエリック……
「遠い町から来た話」という本の中にエリックはいます。