マガジンのカバー画像

春賀蓮之介の音楽史シリーズ総まとめ

16
運営しているクリエイター

記事一覧

音楽史15『ロマン派音楽の発展-後編-』

音楽史15『ロマン派音楽の発展-後編-』

 1848年、ヨーロッパ各地で革命や運動が起こり、フランスのナポレオンを倒して以降、安定を保っていた「ウィーン体制」が崩壊した。

 まず「フランス二月革命」が発生してブルジョワジー(富裕層)が権利を独占する体制が崩壊して共和国が再び誕生、それが伝播するようにイタリアではフランスの王族の支配に反発したシチリア革命をきっかけにイタリア諸国を統一して一つの国にしようという「イタリア統一運動(リソルジメ

もっとみる
[BEST 15] クラシック作曲家Spotify再生数ランキング [音楽史 番外編]

[BEST 15] クラシック作曲家Spotify再生数ランキング [音楽史 番外編]

まず最初にクラシック音楽とは西欧で伝統的に作られてきた主に観賞用の音楽を指します。(踊りや宴席など社交場の音楽もあるよ)

Spotifyは世界最大手の音楽配信サービスで6億人が使用しています。(2位は1億人のApple Musicだよ)

リアルタイムの音楽分析を提供するオンラインのプラットフォームであるKworb からSpotifyの総再生数を書いています。

現在Spotifyで飛び抜けて再

もっとみる
音楽史14『ロマン派音楽の発展-中編-』

音楽史14『ロマン派音楽の発展-中編-』

 ショパンやリストと同時期には他にも多くのピアノを中心とした作曲家が活躍しており、クララ・シューマンは9歳で演奏会のピアノの独奏者を務めて以降ドイツで活躍し、天才少女として19世紀で最高の名声を得たピアニストの一人となり、後述するロベルト・シューマンと結婚して妊娠出産をしながら各地を回った。

 ロベルト・シューマンは交響曲から歌曲、ピアノ曲までを広く手がけたロマン派音楽を代表する作曲家の一人で、

もっとみる
音楽史13『ロマン派音楽の発展-前編-』

音楽史13『ロマン派音楽の発展-前編-』

 その後の19世紀前半にはロマン派音楽が本格的に開始し先述したベートーヴェンやシュポーア、ホフマン、クレメンティ、ルイジ・ケルビーニなどだけでなく多くの巨匠音楽家が登場していった。

 オペラではモーツァルトの甥にあたるドイツの作曲家カール・マリア・フォン・ウェーバーがモーツァルトがよく作った大衆演劇ジングシュピールの伝統を受け継いでドイツのロマン派のオペラ様式を確立したとされ、『魔弾の射手』『オ

もっとみる
音楽史12『ロマン派音楽の誕生』

音楽史12『ロマン派音楽の誕生』

 ロマン主義の直前辺りからはイタリア出身でフランスで活躍し国際的な名声を獲得しハイドン、ベートーヴェン、シューマン、ブラームスなどの大巨匠からの熱烈な支持を受けたルイジ・ケルビーニ、チェコ(当時ドイツ内)出身でその後登場するリスト・ショパン・シューマン・メンデルスゾーンなどの大巨匠のロマン派ピアノ曲の最重要の先駆となったヤン・ラディスラフ・ドゥシーク、先述したクレメンティやサリエリらが活躍した。

もっとみる
音楽史11『古典派音楽の発展』

音楽史11『古典派音楽の発展』

 古典派音楽は18世紀中頃から19世紀初期の西欧音楽で特徴としては整った展開の重視があり、その時代は理性や論理を重視する平等や人権、主権などを唱えた啓蒙思想が広まってフランス革命の王処刑やアメリカ独立戦争のアメリカ合衆国誕生などで絶対王政が崩れていき、さらに産業革命で西欧が他を圧倒する力を持ち始めたという激動の時代であった。

 「古典派」と言う名前は感性や装飾を重視するバロック芸術や、フランスで

もっとみる
音楽史10『古典派音楽の前史』

音楽史10『古典派音楽の前史』

 バロックの末期、イタリアからオランダに定住した著名なヴァイオリニスト・作曲家のピエトロ・ロカテッリや著名なカストラートの歌手ファリネッリとその兄リッカルド・ブロスキなどが活躍した。

 ヴェネツィアでは『奥様女中』を爆発的に成功させ従来の貴族的な「オペラ・セリア」と異なる市民的な内容の「オペラ・ブッファ」を確立、他にも多くの甘い旋律とされるオペラを書いた巨匠ジョヴァンニ・バッティスタ・ペルゴレー

もっとみる
音楽史9『後期のバロック音楽』

音楽史9『後期のバロック音楽』

 中期バロックの頃には初期バロックの奇異さがなくなり精密な音楽へと変化し、ヴァイオリン系の楽器やフルートやオーボエなどの楽器が定着した時代であったといえる。

 そして17世紀末、イタリアではカンタータやオラトリオ、オペラなどではナポリ出身のアレッサンドロ・スカルラッティにより三部形式、つまり3つの部分からなる楽曲や、金管楽器ホルンの利用が広められたことで、オペラの様式は大きく変化し、彼から「ナポ

もっとみる
音楽史8『バロック音楽の発展』

音楽史8『バロック音楽の発展』

 今までルネサンス音楽などクラシックの影響は受けずに宮廷バレエやリュート伴奏のエール・ド・クールが人気だったフランスだが、17世紀後期になるとジュール・マザランのイタリア音楽の紹介を発端に文化が流入、ルネサンス文化の中心だったフィレンツェの庶民出身の作曲家ジャン=バティスト・リュリがルイ14世の宮廷で多くのバレエ音楽を作成し、特にコメディ・バレエにおいてはあの著名な喜劇作家モリエールとタッグを組ん

もっとみる
音楽史7『バロック音楽の誕生』

音楽史7『バロック音楽の誕生』

 バロック音楽は近世にあたる17世紀から18世紀頃のヨーロッパの音楽の事で、この頃のヨーロッパは17世紀の危機と呼ばれる混乱が起きドイツは宗教改革によって三十年戦争が起こり崩壊、イギリスでは議会による政治、フランスでは王による絶対君主制となり、オランダでは自由貿易で大繁栄、西欧は新大陸やアジアに進出し、最終的にイギリスとフランスが強大化していったという時代で、「科学革命」の最中、「産業革命」の直前

もっとみる
音楽史6『後期ルネサンス音楽』

音楽史6『後期ルネサンス音楽』

 15世紀には北西ヨーロッパやイタリアでフランドル派やブルゴーニュ派、トレチェント音楽が栄えルネサンス音楽が発展したわけだが、16世紀にも多くのジャンルを残し特にオランダ語の詩篇唱で知られるクレメンス・ノン・パパ、シャンソンで活躍したロイゼ・コンぺール、複雑なポリフォニーを持つニコラ・ゴンべール、そしてその後にも後述するヴィラールトやアルカデルト、ローレ、ラッソなどのフランドル派作曲家が活躍した。

もっとみる
音楽史5『前期ルネサンス音楽』

音楽史5『前期ルネサンス音楽』

 中世西洋音楽の次の時代、15世紀から16世紀頃のヨーロッパの音楽の事をルネサンス音楽という。

 ルネサンスとは、よくある説明をそのままするとキリスト教によって破壊された古代ギリシアや古代ローマの芸術的な文化を復興させようとイタリアのフィレンツェという小国家から起こり各地に伝播していった14世紀から16世紀頃の運動で、このルネサンス運動によって絵画や彫刻、建築、哲学、科学、文学、そして音楽も大き

もっとみる
音楽史4『中世西洋音楽』

音楽史4『中世西洋音楽』

 かつて古代ローマの首都が置かれその発祥の地でもあったローマに居るローマ教皇を中心とするカトリック教会が、当時、旧ローマ領のガリアやゲルマニアを征服し力を持っていたカロリング朝フランク王国のカール大帝を正式な皇帝として承認して抱き込んだ事で、中央ヨーロッパから西ヨーロッパで広く信じられるキリスト教宗派となった。

 カトリック圏ではグレゴリオ聖歌というローマとフランクの聖歌が混ざった様式に音楽が統

もっとみる
音楽史3『古代キリスト教音楽』

音楽史3『古代キリスト教音楽』

  古代西洋音楽には先述した古代ギリシア音楽以外にも各地の音楽があったわけだが、他には楽器以外は何も残っておらずその詳しい話は不明であり、イタリアの一都市からカルタゴやマケドニアを滅ぼして古代ギリシア文明や、現在のスペイン、フランス、ドイツ、イギリス、トルコ、エジプト、北アフリカ、中東を支配した古代ローマの音楽もその規模や記録の豊富さ、そして、後世への影響にも関わらず楽器以外、音楽的な情報は残って

もっとみる