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批評・感想一覧

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【読書感想】文豪たちが書いた殺しの名作短編集  叶

【読書感想】文豪たちが書いた殺しの名作短編集  叶

前々から

読書量が少ない

読む作家(好み)が偏る

という自分の傾向からあまり良くないものを感じ、
いわゆる文豪と呼ばれる人たちの作品も触れておきたいなと考えていました。

しかしわたしの地元の書店に並んでいるものはパンを焼いたり占いをしたり、
はたまたNISAや話し方で財を成して異世界に転生することが好きな人に向けた書籍が多くなかなか心惹かれるものが見つかりませんでした。
どうしたものかし

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最近読んだ本あれこれ〜熊楠はイギリスで怪談を回想〜  もりたからす

最近読んだ本あれこれ〜熊楠はイギリスで怪談を回想〜  もりたからす

巷で話題の新書によると、人はどうやら働いていると本が読めなくなるらしい。あまりちゃんと働いていないことで日々の読書が捗っている私が糾弾されているようでやや肩身が狭い。水泳をやっていたせいか、人より肩幅が広いので、狭めると窮屈で仕方ない。

以下、最近読んだ本の中から数冊を選び、感想なぞつらつら書いていく。

(1)南方熊楠/鶴見和子/講談社学術文庫

私は水木しげる『猫楠』を読んで以来、南方熊楠が

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【読書感想】46番目の密室  叶

【読書感想】46番目の密室  叶

わたしにとってはじめて読む有栖川有栖作品でした。

有栖川有栖という、作者と同じ名前の登場人物が出てくる作品には『学生アリスシリーズ』と『作家アリスシリーズ』があり、
今回わたしが読んだ『46番目の密室』は後者の第一作目にあたります。
 
『作家アリスシリーズ』は推理作家の有栖川有栖が語り手兼ワトスン役となり、
探偵役であり友人の犯罪学者火村英生と事件を解決していく作品。
少し前にドラマ化もされま

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【映画感想】お早よう(1959年 日本)  もりたからす

【映画感想】お早よう(1959年 日本)  もりたからす

監督 小津安二郎
脚本 野田高梧、小津安二郎
出演 佐田啓二、久我美子、笠智衆、三宅邦子、杉村春子、他

過去何度も観て、DVDも買った映画でも、BSで放送があるとついまた観てしまう。それが大好きな小津安二郎ならなおのこと。

小津安二郎のカラー2作目『お早よう』はおならの映画である。徹頭徹尾、子供達がおならをしまくる。意味が分からない。

舞台は東京郊外の新興住宅地とやら。そう言うと聞こえは良い

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万年筆〜運命の一本探して〜  叶

万年筆〜運命の一本探して〜  叶

ずっと君を見ていた。

つい先日、運命の万年筆を探し求めることに余念のない友人より、
彼または彼女の運命からこぼれ落ちた万年筆を譲り受けました。

 
隠すことではないので正直に打ち明けますが、
わたし万年筆について全然詳しくないんです。
メーカーも、素材も、ペン先の種類も、お手入れ方法も、
全て自分で調べるまたは教えて貰うまで知らなくて。
 
唯一持っている万年筆も同一の友人に遥か昔、
記憶が正

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【書評?】東海林さだおの丸かじり  もりたからす

【書評?】東海林さだおの丸かじり  もりたからす

高校時代の恩師が、東海林さだおの熱心な読者だった。偶然書店で見かけた際も、文庫本コーナー「サ行」の前に陣取って、既刊チェックに余念がなかった。ファンの鑑である。

この先生とは卒業後も交流が続いている。先生は「こういうものも読んでおきなさい」と言って、しばしば私に本をくれるが、そこにあれほど愛読している東海林さだおは一冊も含まれていない。

定年まで勤め上げた恩師から、成人した教え子へのプレゼント

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【映画】宗方姉妹(1950年 日本)  もりたからす

【映画】宗方姉妹(1950年 日本)  もりたからす

監督:小津安二郎 脚本:小津安二郎、野田高梧 原作:大佛次郎
出演:田中絹代、高峰秀子、高杉早苗、上原謙、山村聰、笠智衆

題は「むねかたきょうだい」と読む。「小早川家の秋」と並ぶ、小津の難読作品。

「晩春」と「麦秋」に挟まれた制作年だが、松竹でなく新東宝作品なので、手元の「小津安二郎 DVD BOX第2集」には収録されていない。

今年になって4KリマスターBlu-rayが出たのでようやく観る

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【書評】ちいかわ(1)〜(6)  もりたからす

【書評】ちいかわ(1)〜(6)  もりたからす

1549年、フランシスコ・ザビエルによって、日本にキリスト教が伝えられた。

時は流れて2024年、九州在住の友人によって、私の手元に「ちいかわ」が伝えられた。

西洋から見れば未開で野蛮、邪教を奉ずる極東に信仰心一つでやってきた宣教師も立派だが、既に「ちいかわ」が流行している本州ど真ん中にわざわざ新幹線で布教に来た友人もなかなか見所がある。
頭頂部を剃り上げ、腕をクロスして斜め上を見ていれば、い

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最近買った漫画あれこれ  もりたからす

最近買った漫画あれこれ  もりたからす

初夏からこっち、待ち焦がれていた漫画の続刊が次々と出て大変にありがたい。

以下、ここ1ヶ月ほどの期間に購入した作品の紹介をしていく。

1.酒のほそ道(55)/ラズウェル細木/日本文芸社

酒飲み漫画の金字塔。私は酒を一滴もやらない不調法者なので、酒場や酒肴にまつわる知識はほとんどこの作者から学んでいる。

非・呑兵衛にとってもバイブル。既刊ほぼ揃えているのに、コンビニの廉価版もつい買ってしまう

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今、読んでいる本あれこれ  もりたからす

今、読んでいる本あれこれ  もりたからす

昔から、本は数冊を並行して読むのが習慣になっている。

「何冊も一度に読んで内容を覚えられるの?」と聞かれることが稀にあるが、愚問だ。

一冊を集中して読み切ったところで、内容なぞろくに覚えていないのだから大差ないのは明らかだ。

同じ推理小説を何度読んでも新鮮に楽しめるし、「歴代天皇総覧」を読むたびに知らない天皇が出てくる。我ながら恐るべき脳みそである。

そんな私が現在読んでいる数冊の本をご覧

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