私の過去と鬱病体験記 Part3
前回の続きになります。
第8章 過度な自己防衛②
人に見られたくない。外に出ることが怖いと感じてしまった。こんなことになったのは初めてで、助けを求めたかったけど、自分でもどうしたらいいのか分からなかった。どうすればいいのか分からず悩みに悩んだ。そんな状態の中、頭によぎったのは「友達に会いたい」と強く思ったことだ。
私の友達は鬱病を患っているが、たった1人の友達である。周りの人間は、みな口を揃えて言う。
「今の状態では会わない方がいい。相手も鬱病だから感化されるぞ。」
と言われた。それを言われたとき、私は
「友達のことまで侮辱するのか!」
とキレ散らかし、周りの人の意見を聞かず、反対を押し切って行くことにした。
後で聞いた話だったが、この時の私は顔つきが変わっていて、目がイっちゃっている人だった。完全に病人だった。周りの人間からは「入院させた方がいいんじゃないか」とそういう話も上がっていたぐらい当時の私は酷かったそうだ。
鬱の状態なので反対意見や、自分の考えに固執することがあるため、人の話に耳を傾けることが出来なくなります。心に余裕がなくなります。
第9章 オーバードーズ
この頃は、仕事を辞めてから2~3カ月が経過しています。その間にも色々私の心をへし折る出来事がありましたが、割愛します。今飲んでいる薬(漢方薬)をこの頃に飲み始めました。「早く治したい」と「早く死にたい」そんな交互に入り乱れた気持ちから、規定量を無視して飲み始めました。
「沢山飲めば良くなることなんてない」と今だったら分かりますが、判断力がここまで落ちていました。これがオーバードーズです。毎日、朝昼晩、1回につき12錠くらい飲んでました。通常の3倍以上の量を飲んでいました。よく死ななかったと思います。最初の1カ月は平気でした。ですが2カ月を過ぎた頃、心臓が少し早かったり、少し痛かったり、脈が飛ぶようなそんな感覚がしました。そんなことを数カ月くらい続けた記憶があります。
ある日、薬の量が異常なほどに減っていることを咎められました。私は忘れやすい性格なので「読んでなかった」や「読むのを忘れてた」など、咄嗟に嘘をつきました。オーバードーズしていることを知られたくなかったのです。多分この嘘は見抜かれていると思います。判断力は落ちてはいるが、いけないことをしているのは自覚していました。
さすがに咎められた後には、規定量を守って飲むようにしました。あの時、止めてくれなければ私はきっと倒れて死んでいたと思います。
第10章 友達
過度な自己防衛から数日後、私は何とかして外に出ようと友達に連絡して会うことになった。不登校になった時に出会った、たった1人の友達だった。自分に鞭を打ってでも無理して行った。ちゃんと人間らしく、綺麗にしなきゃ。洋服にもアイロンをかけなきゃ。今飲んでいる薬(漢方薬)を規定以上の量を摂取していざ玄関の前まで行く。靴を履く。深呼吸をして「私は大丈夫」と言い聞かせながら、ドアノブに手をかける。体が動かない。
少し立ち尽くしてしまった。一度玄関の前で立ち尽くすと外に出られなくなることは中学の時に知っていることだ。もう学んでいる。この状況は非常にまずい状態であると。「怖い。でもここで行かなきゃ出られなくなる。」覚悟を決め、もう一度ドアノブに手をかけた。勢いよくドアを開け、駆けていった。
友達を待たせないように時間ギリギリに待ち合わせ場所に到着。私の友達は鬱病のため、いつも遅れてくる。待ち合わせ時間より15~30分くらい遅く来ることがほとんどだ。いつもの私なら、そういうところは目をつぶる。だが、今の私は鬱病だ。自分に余裕がない。人に見られている気がする。「人に見られているのが怖い」気持ちと「早く来いよ」という気持ちの狭間で、待っている間は、ずっとイラついてしまった。
15分くらい待っていると、友達がやってきた。
第11章 違和感
中学校卒業以来、久しぶりに会う友達。あの頃からそんなに変わっていないんだろうなと思っていた。イライラも積もっていたが、心の隅にちょっとだけワクワクしていた自分がいた。だが、会った友達が別人に見えた。前の面影はどこへ行ってしまったのだろうか。髪は染め、ピアスも開けて、メイクまでしっかりとしている。今まで着ていた服の系統が違う。一瞬誰だが分からなかった。オシャレをしていた私の友達は輝いて見えた。
変わったきっかけを聞いてみると、彼氏が出来たそうだ。別に彼氏が欲しいとかそんな嫉妬心はなかったが、ずっと彼氏の話をしてこられるとは思いもしなかった。ある程度話すならまだしも、私がパワハラで退職した話にすら話を遮り、彼氏の話が持ち出された時は腹が立った。どこにお前の彼氏と私に関係があるというんだ。正直に言ってお前の彼氏の話なんて全く興味ない。
私が友達に会って話をしたかったことは、パワハラで退職した後、鬱ぽい症状になってしまったから、鬱病を患っている、先輩である彼女に何か有効な手段がないかを話したかったのだ。おすすめの精神科や薬などを教えてもらいたかった。その後は、高校生活で印象に残ったことであったり、昔話でもして、思い出に耽たかったのだ。共通の話題を話したかった。
でも、そんな話をするような感じではなかった。彼女は変わってしまった。ちょっとショックを受けた。人間は環境の動物である。彼女のように何かのきっかけで突然、性格が明るくなることもあれば、私のように捻くれ者になることもある。周りの環境次第で人間は善にでも悪にでもなれるのだ。物でも人間でも、いつかは変わってしまうのだ。なんだか嫌になってしまった。嫌いになった。そんな私も周りの環境で変わってしまった人間の一人である。
「友達に会って楽しい話をしよう」
そんな気持ちになれなかったのは初めてのことだった。
Part3をお読みいただきありがとうございました。
次回はPart4に続きます⛄