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おきにいりnote

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なんとなくいいな、の世界 (読ませていただいてる長編小説のしおりにも使用しています🍀)
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#スキしてみて

詩 | 僕は笑い方を忘れてしまった

詩 | 僕は笑い方を忘れてしまった

そういえば僕は 
最近笑っていなかった
いつから笑っていないのか
よく思い出せない

そういえば僕は
最近泣いていなかった
いつから泣いていないのか
よく思い出せない

そういえば僕は
最近ずっとひとりぼっちだった
自ら選んだことだった
自らの意思で選んだことだった

他人がまわりにいることが
とても鬱陶しく思えて
人という人を
すべて避けていたのだった

人間に苦しみが生まれるのは
感情があるか

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始まりと終わりの物語

始まりと終わりの物語

 これから私は傑作小説を書くところだ。物語の冒頭は読者をひき付ける最も重要な箇所である。渾身の力で文章を書き上げた。なかなか迫力がある。特に最初の3ページは、我ながら満足のいく書き出しであった。

 冒頭部分は完璧に書けた。自然に執筆が進んでいく。登場人物が勝手に動き出す。私は作者でありながら、コイツら面白いなと思いながら物語が流れるように展開していった。

 あの男にはこんな側面もあったのか、あ

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詩 | 花と華

詩 | 花と華

たまたま魂が抜けるとき
華があっても私には
花はなきものとなる

魂の抜けた花は
虚空を旋回して
千回呼んでも見えはしない

あなたはだ~れ?
もう一人の私が尋ねる
ここに私はいるだけで…

あなたには華がある
笑えば…だけどね
あっそう…

笑えない私には
華がないのかしら?
私はあなたを糾弾する

あなたには華がある
泣けば…だけどね
あっそう… 

泣けない私には
華がないのかしら?
私はあ

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小説『インタビューパンチマンを捕まえて、そして大人になった。』

小説『インタビューパンチマンを捕まえて、そして大人になった。』

「えと、僕の頬に当たってる、この拳は何?」

「だーかーらー、聞いてなかったのかよ」

「うん、ごめん」

夕方になると、最近行くのを辞めた塾のことを考えしまう。
勉強も手についていない。

「インタビューパンチマンだよ」

「ああ、そんな話してたね」

そうそう、最近、僕らが住む辺鄙な街で世間を賑わせている連続事件の話だった。

てっちゃんは、テレビのリポーターみたいに背筋をシャンとして、僕にエ

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今夜、すべてのバーで

今夜、すべてのバーで

20240604

おれの身体の症状にのことごとく、くっきりした矢印で「肝硬変」をさし示している。生きてこの病院を出られる気が、どうもしない。 そんなになったのも、もとはと言えばこの「性悪女」の…
愛しさ半分憎さ半分のまなざしでにらんでみるのだが、どうも勝手がちがう。清酒は、あくまでその名のごとく玲瓏と澄みきって優しい香気を放っている。
「そうだな。女の悪口はやめよう。長い間、世話にもなったし、い

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鍵を外したマガジンについて。

鍵を外したマガジンについて。

今朝は寒くて風がとても強くて、
家の周りの大きな木たちが
絵本に出てくる森の中の木の怪物たちみたいに
ざあざあと枝や葉を揺らし大きく蠢いて、
まるでひとつの大きな生き物のようだった。

わたしは普段携帯のアプリから
noteを見たり記事を書いたりします。

登録した時、鍵付きの
「あとから読み返したい記事」という
マガジンが元々存在していて、
特に気にせず時々そこに記事を追加し
使用していたのだけ

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詩 | 許す人

詩 | 許す人

「間違って足を踏まれたら?」
「許します」

「恋人に浮気されたら?」
「許します」

「お金を盗まれたら?」
「許します」

「家を放火されたら?」
「許します」

「大切な人が殺されたら?」
「許します」

「地球が破壊されたら?」
「許します」

「そんなことでは生けていけないよ」
「私は生きています」

「これから先のことだよ」
「私はこれまで生きてきました」

他人から見ればささいなこと

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エッセイ | 私にとっての『書く』と言うこと

エッセイ | 私にとっての『書く』と言うこと

書き出しはこうだ。
「改まったタイトルにしてしまったが、難しい話でも暗い話でもない。本記事で50回目の投稿となるため、私にとって『書く』ということの位置付けをしておきたい」磯森照美はキーボードをたたく。以前から始めていたnoteに投稿する記事を書いているようだ。

磯森はnoteを知ってから始めのうちは人の書いた記事を読む専門だった。それは彼が人の話を聞くのが好きであったからだ。彼自身から話をする

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