人気の記事一覧

序章:パパさんの妄想

黄金の宮殿ヴァルハラから、空母めいたカタパルトが伸びる。 入ってきたのは、3頭身のちびキャラ風な巨人。 道の左右に、雷光が次々と灯ってゆく。 復唱されるシーケンス。 「大樹は緑に。発進どうぞ!」 「プリメラ・バスタード、ヒュロッキン出るよ!」

「その子は動かんよ」 オグマの視線の先には、愛らしい少女の彫像。 「ワシらドヴェルグは、男だけの種族。新しい仲間は、石を彫って作るが」 「もしかして、女の子は作れない?」 パパさんの問いに、悲しげにうなずくオグマ。

AIの嫁は、人を真似る人形に過ぎない。それでも人の願いは、AIに救いを求める。 人がリモートで演じることで、補完される人形。黒子を務めるのは、役者や作家たち。

私はオルルーン、オージンに仕えるワルクリヤだ。流れ星が頭に落ちてから、おかしなものを見るようになってしまった。 地球人の夢に蝕まれるワルハラ、何故か増えていたもう一人の私「エルル」…これは、願いと向き合う物語。