井上道義&新日本フィルのショスタコーヴィチ「レニングラード」(11/18サントリー)。颯爽とした指揮。金管の一部をオルガンの前に配置。スペクタクルを求めたというより、この曲を独ソ戦の歴史に限定せず、私たちにとってのファシズムという現代の問題として捉えたいという切実さを感じた。
佐渡裕指揮新日本フィル(9/22サントリー)。ハイドン「朝」はチェンバロが典雅で効果的。ブルックナー7番は非常にゆったりとした演奏。こういう悠然たるブルックナーは久しぶりに聴いた気がする。佐渡の指揮は以前よりも動きが少なくなり、大きな流れを示しながらも奏者の自発性に任せていた。
二期会「コジ・ファン・トゥッテ」(9/5新国立劇場)。ペリー演出は現代のスタジオを舞台に、歌手たちが楽譜通りの歌から徐々に離れて、モーツァルトの音楽に導かれて自分たちの人生そのものを歌い出す趣向。官能的な恋の喜劇をアルミンク指揮新日本フィルのしなやかで上質な響きが包み込んだ。