朝日が一段と強く差し込む 瑞雲堂の箱に 新聞と虫めがね 赤青の鉛筆で線が引かれていた おはよう 鳥が来ているよ まどかを縁側に促し 団子を口に運ぶ はっと振り返り キヨと目が合う 「仏さまにあげてきてね」 キヨが渡した小鉢は温かく 団子のぬくもりを手にじわりと感じた
東の窓から射す光に 私は目を顰めた 警笛は いつまでもまどろむ私を 彼女の代わりに説伏せる 襖を開け、温かい風が 一気に流れ寄せると 妻は 布団の襟元を閉め、あちらを向いた 胡麻は食べられるの? ああ、まだ食わせたことないな 琥珀色の甘辛いタレの香りに 思わず唾を飲み込んだ