市井へい

ずっと何か書いている人。ライティングは時間対価が悪いから止めたのに、もっと悪いはずの小説はやめられない。きっと死ぬまで書いてる

市井へい

ずっと何か書いている人。ライティングは時間対価が悪いから止めたのに、もっと悪いはずの小説はやめられない。きっと死ぬまで書いてる

マガジン

  • 小説以外の雑感など

    どうでもよいの極み。

  • 長編恋愛ファンタジー小説|シャングリラ

    長編/恋愛/ハイファンタジー/シリアス/R15/完結済作品連載(80万字)/毎週末更新だけど、読む人がいなくなったらやめる 【内容】 謎の美青年と異国の王子の邂逅がおこす、歴史の分岐点。 そのとき運命のダイスは投げられた。一話目はこちら https://x.gd/ksHXP(note内)

  • 短編小説|イケメン特殊部隊「112th CSF」活動記

    短編/ライト/アクションコメディ/完結済(読了に約2時間必要)1話目はこちら→https://x.gd/CbQpIZ(note内) 【あらすじ】 未知の魔物が跋扈(ばっこ)するようになって、一世紀以上。魔物の目的も出現原因も分からず、百年以上の時を経て明らかになったのは、致命傷を与えられる手段が限られているということだけ。専用にカスタマイズされた武器を操り、魔物と対する特殊部隊、通称「CSF」の面々の任務とほのぼの日常と人間模様。

最近の記事

コロナ禍の最中に、小児歯科で母は泣いた

息子の歯医者さんへの付き添いは、常に気負わねばならなかった私がほんのちょっとだけ人に甘えられる、大切な時間だった。 闘病の末に奇跡的に授かった息子は、ドライヤーや掃除機の音を怖がって逃げまわり、手が汚れるのを嫌がってつかみ食べはせず、初めてのおもちゃは眉根を寄せて警戒心を露わにし、遠巻きに眺めるような神経質なところのある子どもだった。 歯医者に連れて行くのを想像するだけで、どんな事件が起きてしまうのかと私は戦々恐々だった。しかし、二歳を少し過ぎて、遅まきながら生えそろった

    • 競争しないと生きていけないのは間違いないんだけど、どのくらいそれに身を投じるかは選ぶ余地があるように思う。他者を打ち負かし、追い落とすことを肯じられない人は、自分の価値を高めることに邁進してはどうか。ただし、高めた価値は表に出して誰かに見つけてもらわないといけない、という自戒

      • 10日後の祭を前になぞの不安に襲われる

        あと10日でお題小説の発表日。 私のメインジャンルはハイファンタジー、現代ファンタジーでいずれも恋愛要素(異性愛・同性愛)有り。最近は流行に乗って現代でブロマンス、恋愛未満の親密な人間関係も書いたりもします。 BLメインは得意ジャンル外です。 BLジャンルは濃い心理描写に加え、同人だろうが商業だろうが趣味だろうが艶事がほぼ必須なので昔から書き手のレベルが高く、強者がゴロゴロしています。だからこそたびたび挑みたくなるんですよね。 今回のお題ワードは「いい夫婦の日」「右スト

        • 容姿は手札のひとつにすぎないと思うんだ

          最近フォローさせもらっている、好きな書き手さんたちが、容姿について触れたり書いたりされている。 バチェラーデートで5段階中1.5の容姿評価 しかし、「モテない」という機能面に対する不満であり、アイデンティティ・実存に関わる不安ではないとのこと。 硬質な言い回し、高尚なセンスがかっこいい。 「中の上」のお顔は命綱であり、お守り。 あおさんは本当に「機微」を表現されるのがお上手。 ※あおさんは架空エッセイと本当の話しが混ざっているそうです 「上の下」だね。 私は仕事で知り

        • コロナ禍の最中に、小児歯科で母は泣いた

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        • 小説以外の雑感など
          12本
        • 長編恋愛ファンタジー小説|シャングリラ
          14本
        • 短編小説|イケメン特殊部隊「112th CSF」活動記
          25本

        記事

          長編|恋愛ファンタジー|太刀筋が違う-14-

          「見当違いの問題が解決されたところで、殿下。これはいかがいたしますか?」  メイラの言葉にハルはいずまいを正す。思案する、というよりその顔は途方に暮れているようだった。 「襲撃者がこの紋章をつけている──。それは、事実をこのまま捉えるとするのならば、ハル殿を狙っているのはこれから我々が向おうとしている、ラガシュの領主その御方だということですか?」  リドルフの言葉はあくまでも慎重だ。 「そういうことになります」 「紋章が偽物である可能性はありますか?」  ハルとメ

          長編|恋愛ファンタジー|太刀筋が違う-14-

          恋愛小説を書く人間の恋愛観のはなし

          大好きな書き手のももさんが、恋愛について書いてらした。 興味深く、何度も拝見して噛みしめたあと、ふと自分の恋愛ってどうだったかなと思った。 自分は恋愛小説を書いている。ずっと。 異性愛だったり、同性愛だったりする。 今は現在進行形で女性同士の親密な関係を書いている。現代ファンタジーの舞台で。 じゃあ、燃えるような恋をしたり、忘れられない恋愛体験があるのかというと、別にないし、そもそも自分の人生のなかで恋愛が優先事項だったことがないことに気づく。 自分の恋愛スタイルは、「

          恋愛小説を書く人間の恋愛観のはなし

          noteで出会えた「スキ」なものをまとめる #2

          この2回目。 主旨は♯1と同じなんだけど、簡単に。 自分は小説出している人だけど、noteではめちゃくちゃ読んでいるよ! ジャンルも無節操にスキ爆するけど、営業じゃなくて「スキ」だと思ったからさせてもらっているよ! 繰り返し読みたいと思った方は勝手にフォローさせてもらうだけで、お返しは要らぬよ! 収集癖があるからスキはまとめておきたいよ! ってことです。 不幸にも勝手に取り上げられたあげく、好き勝手言われてしまった方はどうぞご容赦ください。もちろん、悪意などこれっ

          noteで出会えた「スキ」なものをまとめる #2

          小説書く君、ちょっとおいで。お題小説の話しよ?

          小説書きはなぜお題小説に集い、書くのか。 いろんな動機はあると思う。 お題小説の意義コミュニティへの帰属意識を高めるため 宣伝広報活動の一環で 仲間探しに このあたりが分かりやすい表の動機かも。 裏の動機としてはこんなのがあると思う。 本人が明確に自覚しているかどうかは別として。 技術研鑽 技術テスト 市場調査 自分はずっとこの裏の目的が大きかったと思う。 お題小説って、数をこなすと飛躍的に技術レベルが上がるから。 思考の導線が可視化される お題と字数のしばりの

          小説書く君、ちょっとおいで。お題小説の話しよ?

          長編|恋愛ファンタジー|巡検使は王子殿下-13-

          「婆さん! ハル! ちょっと」  白覆面達の遺体の検分をしていたセティが、手招きをしていた。  殿下を呼び捨てにするとはうんぬんと、抜かりなく不服を表明しつつもハルに怪我がないことを確認したメイラは踵を返す。自分のことを敬愛をこめて婆さん、と呼ぶ白い肌をした美しい青年のことを老女はすでに悪くは思っていなかった。 「黄色いひかりの壁」  その背を見送りながらハルがぽつりと呟いた。  リドルフが、空色の瞳をわずかに大きくしてハルの線の細い横顔を見る。 「あ、いや──私も行か

          長編|恋愛ファンタジー|巡検使は王子殿下-13-

          自分はスキの押され方に押してくれた人の心の機微を感じる。だから洞察力がありそうで、感受性が鋭そうな方には「見ているぞ……めっちゃ読んでるからな! その句読点の打ち方まで!!」という気勢で♥️を複数記事に押す。変態ですみませんね。害意はありませんよ。ただ人間を愛しているんです

          自分はスキの押され方に押してくれた人の心の機微を感じる。だから洞察力がありそうで、感受性が鋭そうな方には「見ているぞ……めっちゃ読んでるからな! その句読点の打ち方まで!!」という気勢で♥️を複数記事に押す。変態ですみませんね。害意はありませんよ。ただ人間を愛しているんです

          文字書きとしての経歴と遍歴を赤裸々に

          経歴らしい経歴はない。 これはほんとそう。 でも、文字を書いて対価はいただいてきた。 なんとなく、小説書きのゴールは書籍化、商業作家! みたいなイメージあるけど、こういう、地味な食い方している人って意外と多いと思う。 知人にも全然いる。(正しくはいた。今もみんな食えてんのかな?) 書きはじめたばかりの頃から、ずっと上手いと言われてきた。 ストーリーは面白いとも、感動するとも。心に残るとも言われた。 投稿サイトだとランキング上位に居座っていたこともある。(転生全盛期前ね)

          文字書きとしての経歴と遍歴を赤裸々に

          長編|恋愛ファンタジー|余所見などするな-12-

           干し肉、小麦を薄くのばして焼いたもの、それに水。簡単な食事を済ませた一行は、再び歩きはじめた。あと数刻も歩けば、目的地ラガシュに到達する。  歩きはじめてすぐに異変を察知したのはセティ、それに一呼吸遅れてメイラとリドルフである。薄い膜のように頼りなく自分たちを包んでいた、平穏が破れたのだと悟っても彼らは驚愕も落胆もしなかった。 「リド」 「殿下」  メイラとセティが同時に、呼ぶ。  ハルが訝しがるようにリドルフの顔を見上げた。  リドルフはこちらへ、とハルを促し、潅木

          長編|恋愛ファンタジー|余所見などするな-12-

          結婚や子育てというパッケージの中身は千差万別。自分の結婚(観)や子育て(論)が真理ではないし、それに是非もない。そもそも、やるもやらないも自由だし、相手のあることだから自分の思いどおりにできることでもない。エレメントの違いは優劣ではないのだから、互いに尊重して関わりたいところだ

          結婚や子育てというパッケージの中身は千差万別。自分の結婚(観)や子育て(論)が真理ではないし、それに是非もない。そもそも、やるもやらないも自由だし、相手のあることだから自分の思いどおりにできることでもない。エレメントの違いは優劣ではないのだから、互いに尊重して関わりたいところだ

          長編|恋愛ファンタジー|彼らについて知っているのは、表面的なことばかり-11-

           昼寝は怠惰である──。  北の国での常識は、暑い国で生活する人間たちにとっては、とんだ無知と笑わざるをえない。気温が高い日中は木陰や岩陰を見つけて入り、眠ってその暑さをやり過ごす。そして、陽が落ちて灼熱の大地が幾分冷めてから、また陽が高くなるまでのあいだだけ歩くのだ。  それは無用な体力の消耗をさけるための知恵であり、むろん、国籍も年齢もばらばらな一行もその例外ではなかった。  ナディール人は暑さに弱いというのが、ガイゼスでは通説である。  しかし、彼らを見ているかぎり

          長編|恋愛ファンタジー|彼らについて知っているのは、表面的なことばかり-11-

          noteで出会えた「スキ」なものをまとめる #1

          noteでは、昔書いてどうしようもない小説を出している。 書いたものを出してはいるけど、実際はnoteではめちゃくちゃ読んでいる。 面白いこと考えている人がいっぱいいて、文章上手い人もいっぱいいる。 ジャンルを横断して、勝手にスキ爆を行っている。 小説書いている人だから、営業と思われているかもしれない。 ジャンルがめちゃくちゃだから、「こいつなんの目的で?」と薄気味悪く思われているかもしれない。 すみません。 自分のを読んで欲しいとかじゃないんです。 どっちもさんざんこ

          noteで出会えた「スキ」なものをまとめる #1

          長編|恋愛ファンタジー|利害の一致「契約成立だな」-10-

          「どうやって?」  間髪入れずに返された問いに、ハルは苦笑し、メイラは憮然とする。  先刻出会ったばかりの異国の青年にすら、それが現実的にどれほど難しいことなのか分かっている。  言葉を失った主に向けて、メイラは名案を思い付いたとばかりに意気揚々と言った。 「殿下、ラガシュに向かってはいかがですか?」 「ラガシュ?」 「シノレ公ならば、必ずお力を貸して下さることでしょう」 「そうか、従兄上か……」    ハルは逆三角形の華奢なあごに負けないくらい細い指をかけて、また沈黙

          長編|恋愛ファンタジー|利害の一致「契約成立だな」-10-