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雑誌「1番近いイタリア」

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雑誌「1番近いイタリア」に関する記事。 マンマのイタリア家庭料理研究家Aoi Aurora、こと中小路葵が編集長を務める季刊誌です。 コンセプトは「日本の家庭で楽しむイタリア料…
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#雑誌

「1番近いイタリア2025冬号(Vol.20)」刊行!

「1番近いイタリア2025冬号(Vol.20)」刊行!

「1番近いイタリア」2025年冬号を刊行!

今号ではや第20号、温かい読者の皆様に支えられていることに感謝です。

イタリアで見つけた「土地と生きる食の豊かさ」を、皆様に生の魅力たっぷりでお伝えできれば幸いです。

さて、今号はいかに!

2025年冬号巻頭エッセイは「エッセイ「この世界の真ん中で」では愛の街ヴェロナから始まるストーリー、ヴェロナのディープな情報を掲載。

マンマの料理レシピでは

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編集後記(「1番近いイタリア」2025冬号)

編集後記(「1番近いイタリア」2025冬号)

※この記事は「1番近いイタリア」2025冬号からの抜粋です。

2024年、大晦日、ボローニャ。窓からはよく晴れた冬空が広がっている。年に一度、一番大きな行事のクリスマスが終わり、町は穏やかに年の暮れを待っていた。大通りに面したこの通りは、いつもなら騒がしい車のクラクションやバスのアナウンスも、今日ばかりは静まり返って、時折車が通る音だけがこだましていた。自身もまた然りで、賑やかな1年の暮れ、今は

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編集後記(「1番近いイタリア」2024年秋号より)

編集後記(「1番近いイタリア」2024年秋号より)

※こちらは「1番近いイタリア」2024年秋号の編集後記より抜粋です。

遠い父と母から、幼い私の写真が送られてくる。あと二十日後に迫る結婚式で、スライドショーを流せるように、頼んでおいたのだ。生まれた時の体重が書かれた新生児の私、初めて祖母が私を抱く姿、両親と両祖父母とのお宮参り、弟が生まれ、新築の我が家の玄関前で撮った幼稚園の制服姿の二人、お祭りの日の浴衣の二人、いとこ全員が並ぶ庭、幼稚園のお遊

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「1番近いイタリア2024秋号(Vol.19)」刊行!

「1番近いイタリア2024秋号(Vol.19)」刊行!

「1番近いイタリア」2024年秋号を刊行!

今号ではや第19号、温かい読者の皆様に支えられていることに感謝です。

イタリアで見つけた「土地と生きる食の豊かさ」を、皆様に生の魅力たっぷりでお伝えできれば幸いです。

さて、今号はいかに!

2024年秋号巻頭エッセイは「海のないボローニャに」、ボローニャから始まる物語の場面を綴りました。

マンマのレシピ集、今号のテーマ食材は「キノコ」。
キノコ

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海のないボローニャに

海のないボローニャに

※この記事は「1番近いイタリア」2024年秋号の巻頭エッセイからの抜粋です。

軽くグラスを合わせ、共鳴する音を楽しむと、目を合わせ、ゴクリと一口飲む。運ばれてきた魚のフリットを、すぐに竹串で口に運ぶ。泡のピニョレットがドライで心地よく、絶品の海の料理たちに心を踊らせる。今夜は特別にボトルで頼んだワインが底をつくまで、時折テラスに入る秋風が、色んな思い出を運んできてくれる。今日は私たちの記念日だ。

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「1番近いイタリア2024春号(Vol.17)」刊行!

「1番近いイタリア2024春号(Vol.17)」刊行!

「1番近いイタリア」2024年春号を刊行!

あっという間に第17号、温かい読者の皆様に支えられていることに感謝です。

イタリアで見つけた「土地と生きる食の豊かさ」を、皆様に生の魅力たっぷりでお伝えできれば幸いです。

さて、今号はいかに!

2024年春号巻頭エッセイは「カーブを曲がると」、トスカーナ州をバイクで旅した時の短編です。

マンマのレシピ集、今号のテーマ食材は「リコッタチーズ」。

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編集後記「1番近いイタリアvo.17 2024春」

編集後記「1番近いイタリアvo.17 2024春」

雲に隠れまいと橙色の光を放つ太陽は、オリーブが所々見える平原の向こうの海に吸い込まれるように、あっという間に沈んでいく。5日前と同じ道を走る。今日は夕日を左側に見ながら。そして、今日は歳を1つ重ねた私が。島から本土に戻り、ボローニャに帰る道は、5日前と確かに同じ道で、でも不思議なことに、たった5日前が遠い過去に思えるくらいには景色が違って見えた。

30歳のお誕生日には、行き先シークレットの旅行が

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「1番近いイタリア2024冬号(Vol.16)」刊行!

「1番近いイタリア2024冬号(Vol.16)」刊行!

「1番近いイタリア」2024年冬号を刊行!

あっという間に第16号、4年目に突入しました。
温かい読者の皆様に支えられていることに感謝です。

イタリアで見つけた「土地と生きる食の豊かさ」を、皆様に生の魅力たっぷりでお伝えできれば幸いです。

さて、今号はいかに!

2024年冬号巻頭エッセイは「カターニャの煙」、シチリア島かターニャでの短編です。

マンマのレシピ集、今号のテーマ食材は「海の魚

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「1番近いイタリア2023秋号(Vol.15)」刊行!🇮🇹🎉

「1番近いイタリア2023秋号(Vol.15)」刊行!🇮🇹🎉

「1番近いイタリア」2023年秋号を刊行!

あっという間に第15号。
温かい読者の皆様に支えられていることに感謝です。

イタリアで見つけた「土地と生きる食の豊かさ」を、皆様に生の魅力たっぷりでお伝えできれば幸いです。

さて、今号はいかに!

2023年秋号巻頭エッセイは「ボローニャの秋晴れ」、甘くて苦い、ボローニャでの短編です。

マンマのレシピ集、今号のテーマ食材はカボチャ。
豪華に10品

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村の言葉

村の言葉

この記事は雑誌「1番近いイタリア」の巻頭エッセイからの抜粋です。

「1番近いイタリア」についてはこちら。

村の言葉「アーメン」永遠に続くかに思えた牧師の祈祷が、一同の唱和によってピタッとしまった。高い天井に声が吸い込まれ、人々も音を仕舞い込むようにして帰り支度をし、一人また一人と出口の扉から出ていく。私も周りにならって席を立つと、身長差のある老夫婦が私と訪ねていた友人セレナの元に近づいてきて「

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「1番近いイタリア2022秋号(Vol.12)」刊行!🇮🇹🎉

「1番近いイタリア2022秋号(Vol.12)」刊行!🇮🇹🎉

「1番近いイタリア」2022年秋号を刊行!

あっという間に3周年!温かい読者の皆様に支えられていることに感謝です。

イタリアで見つけた「土地と生きる食の豊かさ」を、皆様に生の魅力たっぷりでお伝えできれば幸いです。

さて、今号はいかに!

2022年秋号 福岡県糸島×ピエモンテ州の食卓巻頭エッセイは「山の民」、ピエモンテ州山の家族を描いた一節です。

生産者取材では、福岡県糸島のフルタクこと古

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「1番近いイタリア2022夏号(Vol.11)」刊行!🇮🇹🎉

「1番近いイタリア2022夏号(Vol.11)」刊行!🇮🇹🎉

「1番近いイタリア」2022年夏号を刊行!

温かい読者の皆様に支えられて今号も刊行することができました。

イタリアで見つけた「土地と生きる食の豊かさ」を、皆様に生の魅力たっぷりでお伝えできれば幸いです。

さて、今号はいかに!

2022年夏号 宮城県気仙沼の魚×プーリア州サレントの食卓

巻頭エッセイは「夏の音」、プーリア州で過ごした夏を描いた一節です。

生産者取材では、宮城県気仙沼の漁業

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編集後記「時を重ねて」

編集後記「時を重ねて」

静かな日曜日の朝、小さなバルコニーで春の陽光を受けながら筆を取る。昨日までの雨が嘘のように晴れ、花びらのしずくがキラキラと輝く。小鳥のさえずりが聞こえ、大きく息を吸えば春の空気が胸を満たす。

イタリアに来て、3ヶ月が過ぎた。「過ぎ去った」という感覚がないのは、物事の非効率さと、それを補う人々の優しさに包まれて、時の流れがゆったりとしているからだろうか。もしこの世に時計がなければ、同じ時間が過ぎた

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春のマルケ、小さな家族の物語

春のマルケ、小さな家族の物語

※この記事は雑誌「1番近いイタリア2022年春号」からの抜粋です。

雑誌「1番近いイタリア」についてはこちら。

高速電車を降りて駅の出口を探す。州都の中央駅にも関わらず、綺麗で静かな駅だった。外に出るとすぐに目が合う女性がいた。「はじめまして」と日本語で話しかけられた。それがシルビアだった。

車に乗ってシルビアの家に向かう。道は一本道。右手にも左手にも緑が広がり、連綿と続く丘が一つ、ニつと過

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