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仏教のメモ

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#上座部仏教

宮元啓一『仏教誕生』読んだ

宮元啓一『仏教誕生』読んだ

昨年末にインド哲学者宮元啓一氏の仏教史入門書を読んでとても勉強になった。

だから同氏のもう少し踏み込んだ内容のものも読んでみたいなあと思っていたのである。

まあなんでもよかったんだけど、宮崎哲弥さんが『仏教誕生』がよかったとおっしゃっていたので購入したのである。

ちなみにこのサンガジャパンの仏教書特集は面白い。あれも読まなきゃこれも読まなきゃとなること必至である(読むとはいっていない)。

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仏教のアレさんの『Why I Am Not a Buddhist』読書会2回目、科学的とか宗教的とかってどういう事態なのか

先週に続いてEvan Thompson ”Why I am not a Buddhist" の読書会であった。

当直明けで眠くて、また雑事をこなしつつであったので飛び飛びしか聞けなかったが楽しかった。さきほど録画を見終わったので感想でも。

なおこの会の趣旨についてはニー仏さんの記事のほうが的確と思われるので参照されたし。

というわけで本日は1章の途中からであるが、ユヴァル・ノア・ハラリ氏も実

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第二言語は母語を上回らないか。私は無理っぽい

原則として母語より第二言語が運用しやすくなることはないが、例外はいくらでもありうる。

個人的には、英語が日本語より使いやすいと感じたことはほぼない。というようなことを経験に即して書いていこう。そして例外的な情況についても。

まず今読んでる本2冊について。

1冊目はこれである。

新反動主義の源流になった書物である。英語原文はネット上で無料で全文公開されている。

なぜわざわざ邦訳を買ったかと

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飲茶『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』は優れた仏教の入門書だ

飲茶『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』は優れた仏教の入門書だ

仏教のお勉強シリーズ。そろそろ入門編はおさらばしたいところだが、本日紹介するのはこれ。

表紙がかっこいいね。

最強のニーチェなど哲学のわかりやすい解説で有名な飲茶氏の東洋哲学入門書。飲茶という筆名はもちろん禅からとったものである。

もう少しばかりなにか仏教の初学者向けのやつなんか読みたいなあと思ってたところ、仏教のアレさんが本書をおすすめされていたのでお買い上げしたというわけである。

私の

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ロバート・ライト『なぜ今、仏教なのか』読了した

ロバート・ライト『なぜ今、仏教なのか』読了した

進化心理学に詳しい人が書いた仏教の本である。

上座部仏教は進化心理学と相性が良いような気がしていたのだが、すでにこういう本が存在していて世界的にもベストセラーになっているというわけである。みんな似たようなことを考えるもんだね。

英語圏でこういう議論がさかんにされているということに興味をもった私はあろうことか原書を買ってしまったのである。

結論から言うととてもじゃないが英語で読める代物ではなく

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令和3年の新年の抱負的なサムシング

令和3年の新年の抱負的なサムシング

昨日も今日も仕事してたのであんまり年越したって感じはないのだけど、一年の計は元旦にありともいうから今年の目標みたいなものを書いてみよう。

1. 英語学習まずなんといってもCPEに今年こそ合格したい。そのためにはリスニングを強化しないといけない。

リスニングが良くなればインプットの量が飛躍的に増えるし、モチベーションという点でも良い影響があるだろう。ネイティブがしゃべっているのを聞いているだけで

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令和2年の振り返り。ひでえ1年だったけど個人的にはいいこともいっぱいあった

2020年、令和2年ももうすぐおしまいですから、noteに書いたことを中心に振り返ってみるのだ。

1. 政治的なことは個人的か?政治的なことに関してはまず昨年10月に始まった消費税の悪影響の統計が出とことだろう。もう忘れかけていたが、noteに残しておいたおかげで思い出せた。note最高\(^o^)/

このときの2019年10-12月期GDPはかなり酷い数字だったのだが、コロナによる戦後最悪の

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ウ・ジョーティカ・サヤドゥ『自由への旅』3回目読了

ミャンマーの上座部仏教の高僧であるウ・ジョーティカ長老の『自由への旅』の3周目終了した。

現代は”Map of journey"で、訳者は魚川祐司氏である。まさに自由への旅の見取り図といった趣である。ここでいう自由とはリベラリズム的な意味での自由ではなくて、西洋哲学でいう自律に近い。

著者のヴィパッサナー瞑想の体験に基づく見取り図でありときに生々しい。しかし語り口が平易であるために目が滑ってし

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『南伝 ブッダ年代記』そして仏教の始まり

『南伝 ブッダ年代記』そして仏教の始まり

いろいろあって今さらながら仏教のお勉強を始めたのだが、開祖たるブッダの生涯について知る必要があるだろうと思い、書店で探しているとこの本にいきあたった。

南伝とはスリランカから東南アジアに伝わったという意味で、今のところ上座部仏教により関心があるのでちょうどよいように思われ、購入したのであった。著者はインドネシア出身であるが、ミャンマーで著名な業績をあげていたというのもポイントだった。

ゴータマ

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ケネス・タナカ『アメリカ仏教』を読んで

ケネス・タナカ『アメリカ仏教』を読んで

いろいろ事情があってこのところAmazonで仏教関係の本をサジェストされることが多い。その中でなぜかこの本が気にかかり読んでみたのである。

著者は日系アメリカ人の仏教徒(たぶん真宗)、僧侶、仏教学者であり、現在は武蔵野大学教授である。リチャード・ギアのような著名人の仏教徒、仏教徒ではないが仏教に影響を受けている人々や、画期となった出来事を紹介しつつ、アメリカ社会に仏教が浸透した背景を論じるのが本

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ウ・ジョーティカ『ゆるす』備忘録

ウ・ジョーティカ『ゆるす』備忘録

ミャンマーの上座部仏教の著名な僧侶であるウ・ジョーティカ師はいくつか著書をだされており、そのうちのいくつかは邦訳されている。

本書はサブタイトルからわかるように、一般向けのありがたいレクチャーといった趣である。訳者の魚川祐司氏が名著『仏教思想のゼロポイント』を出版された五年前とほぼ同時期に購入して読んでいるはずなのだが、どうもピンとこなくてそのままになっていた。しかし思うところあって再読したとこ

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宮元啓一『わかる仏教史』わかりやすかった

宮元啓一『わかる仏教史』わかりやすかった

インド哲学研究者の宮元啓一氏の『わかる仏教史』がとてもよかったのでご紹介だ。

本書の大半はゴータマ・ブッダから中観思想あたりまでのインドでの仏教の展開についてである。

紀元前5世紀ころガンジス川中流域では商業が盛んとなっており、カーストにうるさい旧来の宗教よりも自由な都市型の宗教が求められていた。仏教者のいうところの六師外道はそうだし、仏教もこれにあたる。

ゴータマ・ブッダが新しかったのは此

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