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ウ・ジョーティカ『ゆるす』備忘録
ミャンマーの上座部仏教の著名な僧侶であるウ・ジョーティカ師はいくつか著書をだされており、そのうちのいくつかは邦訳されている。
本書はサブタイトルからわかるように、一般向けのありがたいレクチャーといった趣である。訳者の魚川祐司氏が名著『仏教思想のゼロポイント』を出版された五年前とほぼ同時期に購入して読んでいるはずなのだが、どうもピンとこなくてそのままになっていた。しかし思うところあって再読したところとても刺さる内容であった。
雑にまとめるとアンガーマネージメントなのだが、読んでいてすごく心が軽くなるように感じる。長年自分の中に溜め込んだ垢やウンコを捨てていくような感覚だ。まあ本を閉じるともとの怠惰で不寛容な自分に戻ってしまうのだが。。。それでも以前とは違う感じ方をできるようになったのは自分に良い変化があったからだと思いたい。以前は読んでるときですらそのように感じなかったのだから。
もちろん本書はたんなるアンガーマネージメントの本ではない。易しく書かれていはいるが、仏教の実践哲学に裏打ちされた良い意味で高尚な書物である。また多くの在家者とも関わってこられたであろうから、理想ばかりを説くわけでもない。
他人を許すことの大事さに始まり、許すことと忘れることの違い、平静ではあるが冷淡であってはならないこと、ベストを尽くしているときに謙虚でいるのは難しいこと、怒りでエネルギーが得られること、など込み入ったところにも踏み込んでいる。特に師が、自分に無関心だった父親を許していく過程は参考になるばかりか感動的ですらある。
また割と些末なことかもしれないが、師の友人がストレスがかかるとトイレに数分こもって瞑想するというエピソードには共感した。私も10年ほど前にストレスフルな生活を送っていたころ、しばしばトイレにこもっていたからだ。やっていたのは瞑想ではなくて、TwitterとかTOEICの問題集だったけど。
というわけで積ん読になっていた本をしかるべきタイミングで再度手に取ることができたのは幸運というほかない。最後にとても気に入った箇所を引用しておく。
自分自身に対する、
より大きな責任感を養うようにしてください。
あなたは、自身の幸福に責任をもっている。
幸せで安らぎに満ち、落ち着いて慈愛に満ちた
自分自身をつくることに、責任をもっているのです。
苛立ちに別れを告げるのは今日です。
明日まで待ってはいけません。
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