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仏教のメモ

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『仏教のアレ』読んだ

『仏教のアレ』読んだ

読みました。

仏教のアレとは曹洞宗ガチ僧侶のデュオであって、日本に坐禅を広めるべく地道に活動しておられる方々である。

私は、エヴァン・トンプソンの『Why I am not a Buddhist?』の読書会に参加したことがある。

同書はもうすぐ邦訳がでる。

世界中でバカ売れした『なぜ今、仏教なのか』への反駁である。

まあそれはいいとして、『仏教のアレ』は、仏教のアレのお二人の対談である。

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『頭を「からっぽ」にするレッスン 10分間瞑想でマインドフルに生きる』読んだ

『頭を「からっぽ」にするレッスン 10分間瞑想でマインドフルに生きる』読んだ

瞑想やらなくてはいけないと思いつつ、月に1日もやっていない。

だからこんな本を読んでしまう。

ベストセラーだけあって、非常に読みやすい。

そして忙しくても実践できるように、坐らずに短時間でできる方法がたくさん紹介されている。ありがたい。

このところインプット過多で、つねに頭の中がワチャワチャしている。詰め込んだ知識は時間とともに整理されていくが、次から次へと脳に押し込んでいくから、いつもと

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岩村忍『文明の十字路=中央アジアの歴史』読んだ

岩村忍『文明の十字路=中央アジアの歴史』読んだ

今年こそウクライナやロシアのことを勉強しようと思っている。そこで、まずは中央アジアの歴史から学ぶ必要があると考えたのである。なかなか本題にたどりつけないのだ。

むかしTwitterで多くの人がおすすめしていたこれを読んだのだ。

これ一冊に中央アジアの歴史がまとまっているのがすごい。先史時代からソ連時代までの興亡を描く。地図がたくさんあるのもいい。おすすめです。

ただし出版されたのがペレストロ

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師茂樹『最澄と徳一 仏教史上最大の対決』読んだ

師茂樹『最澄と徳一 仏教史上最大の対決』読んだ

この2年ほど仏教のお勉強が完全に停滞してしまっている。でも今年中に一冊くらいなにか読んでおこうと、ちょっと前にKindle unlimitedになってたこれを読んだのだ。

Audibleもあるよ。

結論からいうと、今の私には難易度が高かった。

タイトルのとおり、最澄と徳一という高僧の論争をあつかったものである。

徳一は、唯識派などの仏典をインドから中国に持ち帰った玄奘の弟子の系列であるとこ

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釘貫亨『日本語の発音はどう変わってきたか』読んだ

釘貫亨『日本語の発音はどう変わってきたか』読んだ

内容はタイトルのとおり。非常に面白かった。どのようにして昔の発音を再現できるかなどの推論の過程も含めて、わかりやすく解説されているのが良い。

万葉集を手がかりに奈良時代の発音、いわゆる上代特殊仮名遣いを再現するところから始まる。
この時代の日本語に多大なる影響を与えた隋唐時代の中国語の発音はおおいに研究されていることが幸いしている。

いうまでもなく西洋由来の近代的な音声学と国際発音記号(IPA

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土田健次郎『儒教入門』読んだ

土田健次郎『儒教入門』読んだ

最近わけあって、儒教のことをなんもわかってないなあと認識させられた。そりゃ当たり前で、孔子や孟子の切り抜きだとか、国学に批判される対象としての朱子学しか知らないからである。

そういうわけでニー仏さんのこちらの記事で紹介されていた、『儒教入門』を読んでみたのである。

これまた当たり前のことだが、儒教は時間的・空間的広がりが半端ではないから、経書という絶対的な参照点があるとしても極めて多様で、そし

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辻邦生『背教者ユリアヌス』読んだ

辻邦生『背教者ユリアヌス』読んだ

辻邦生による一大叙事詩、全4巻読み終えた。かなり長かったな。でもローマ帝国の広大さと多様性を描くにはこれくらいの分量は必要だったろうし、それに面白かったし読んでよかった。

コンスタンティヌス大帝の甥であり、数奇な運命により皇帝となったユリアヌスの生涯をもとにした小説である。哲人皇帝であり、最後の非キリスト教皇帝であった。

なにが良かったって、コンスタンティヌス、コンスタンス、コンスタンティウス

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プラユキ・ナラテボー『苦しまなくて、いいんだよ』読んだ

プラユキ・ナラテボー『苦しまなくて、いいんだよ』読んだ

最近ちょっとニー仏さんとプラユキ・ナラテボー氏の対談本を読み直していた。Amazonの履歴によると6年前に買ったらしい。時間がたつの早い。

渇愛を滅尽するガチの瞑想が理想であるとしても、現代人としては現世で上手くやってくことも大事なんじゃないかという内容だった。出家なんてほとんどの人はできないからね。

プラユキ氏はタイの田舎にあるスカトー寺院で瞑想の指導やカウンセリングを行う上座部仏教の僧侶で

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『アップデートする仏教』読んだ

『アップデートする仏教』読んだ

去年は仏教書をあまり読めなかった。今年はできるだけ挽回したい。

というわけで読みました。

これ去年のDMMブックスのポイント還元セールのときに買ったのだが、今みたらKindle Unlimitedに入ってた。。。

気を取り直して要約していく。ただし私の理解のまとめであるから、間違っている可能性も大いにある。気になった方はぜひ本書を読んでみてほしい。今ならKindle Unlimitedだしね

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沼田和也先生の『牧師、閉鎖病棟に入る』読んだ。

沼田和也先生の『牧師、閉鎖病棟に入る』読んだ。

沼田和也先生はTwitterなどで有名な牧師さんである。素朴な語り口、まずいったん相手の言い分を受け入れてみる姿勢から、ぐう聖(ぐうの音も出ないほどの聖人)と称されることも少なくない。

そんな沼田先生は精神疾患で閉鎖病棟に入ったことがあって、以前からnoteに少しずつ書いておられた。それをまとめたのものが出版されたというわけである。

私が沼田先生の発信をTwitterやnoteで見るようになっ

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Why I Am not a Buddhist 読書会最終回のこととか

Why I Am not a Buddhist 読書会最終回のこととか

本日は土曜日恒例の仏教のアレさんの『Why I Am not a Buddhist 』読書会、ついに最終回である。先週はこんな感じでした。

今日のはこんなん。

エヴァン・トンプソン『Why I Am not a Buddhist 』の総覧は先週で終わったのでまとめ回でした。

著書の内容は仏教モダニズム、仏教例外主義批判である。仏教は他の宗教と違って宗教的ではなく科学的だとかそういう今風の言説

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仏教モダニズム、対話、原理主義

仏教モダニズム、対話、原理主義

この週末はプロ野球観たりとかで忙しかったのだが、週末恒例の仏教のアレさんの読書会はちゃんと視聴していたのだ。

いつものことながらお二人の語り口が心地よい。仏教の実践が身近なものに感じられる(実践できるとはいってない)。

『Why I Am Not a Buddhist』の読書会も9回目、今回でいちおう最後まで読んだことになる。私はまだ最後まで読めてないのだがまあいいだろう。

前回は多くのこと

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愛の形態、概念などについて

先日の週末はなにかと忙しかったのだが、週末恒例の仏教のアレさんの読書会を楽しく聞いたのであった。

『Why I Am Not a Buddhist』の読書会ももう8回目である。

今回は悟りについての疑問、つっこみである。

以下は私個人の備忘録である。

瞑想の実践においてはしばしば概念付けをやめなさいというようなことをいわれるが、悟りとは概念とか条件から離れることであるので当然そういう言い方

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『Why I Am Not a Buddhist』読書録会7回目

『Why I Am Not a Buddhist』読書録会7回目

週末はいろいろ作業とか勉強とか野球観戦とかしたのであった。

土曜日の朝は仏教のアレさんの読書会、楽しかった。

今回はそもそも悟りとはなにかというお話。そして引き続き。仏教モダニストの矛盾点について。以下は自分なりのまとめです。

仏教における悟りとか解脱とか涅槃とか呼ばれるものが、仏教モダニズムにおいて近代西洋の啓蒙と結びつく。

プロテスタントの宗教改革からの類推、エマニュエル・カントの自ら

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