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時ノ栞書店

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ちいさな本屋を開く夢を綴った手帖です。
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十月の花嫁へ一冊の絵本を贈る

十月の花嫁へ一冊の絵本を贈る

今、テーブルの花瓶には、
式の帰りにいただいた花束が飾ってあります。
ガーベラとかすみ草と薔薇の花。
あの日、会場を彩っていたお花のたちです。

秋風の心地よい土曜日、
友人は、純白の花嫁になりました。

恥ずかしげに染まった頬と
きらきらと輝く黒い瞳。

私は
美しい花嫁の姿を思い出しながら
手紙を書きました。

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先日は、素敵な結婚式に招待してくれて

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この春に、綺麗な栞をひとつ

この春に、綺麗な栞をひとつ

小説って、編み物みたい

と思います。

かぎ針を
毛糸の、ちいさな輪っかへ通し
ひとつひとつ手を動かして
糸を列へ、列を面へと仕立てていくように

選りすぐった言葉を、重ねて結んで
一行ずつ丁寧に
文章を紡ぎ、物語へと仕立ててゆく。

どちらも本当に時間のかかる作業です。

でもそうやって、手間を惜しまず
細やかに編み込まれた細工が
ひとの心を魅了し、
そのやわらかい布地が
肌をあたたかく包み込

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27歳10ヶ月、考えごとをしたい夜

27歳10ヶ月、考えごとをしたい夜

書店で偶然手にした本を
何の気なしにぱらぱらとめくり、
ふと目を落としたその先に
そんなことが、書かれていました。

色鉛筆で描かれた
さらりとシンプルな装丁。
目を引く黄色い帯には
『求めるのは「しあわせ」よりも「安心」』
と書かれています。

それは、松浦弥太郎さん著書
『松浦弥太郎の「いつも」
安心をつくる55の習慣』という本でした。

書かれている言葉を
目で追うごとに、
なにか、腑に落ち

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読書好きなあの子への贈りもの

読書好きなあの子への贈りもの

第一子の出産を、8月に控え
里帰りをした友人へ
郵便を出しました。

同封した
“おすすめ図書のしおり”には
こんな本を載せました。

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○ 愛のエネルギー家事

心を健やかに整える「きっかけの言葉」に出会えますように。この本には、やさしい暮らしを送るためのヒントがいっぱい。本田亮さんが描かれている挿絵は、見ているだけでほっこりしてきます。心がすこし疲れた

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Q.あなたは、どんな主人公が好きですか?

Q.あなたは、どんな主人公が好きですか?

ひとつの本を好きになる理由は
ストーリー展開の面白さや
そこから伝わるメッセージ、
表現の美しさなど
様々だと思いますが

なかには
主人公のキャラクターに惹かれて
お気に入りになる、ということも
あると思います。

自分と似ていて共感ができ、
懸命に生きる姿に勇気をもらえたり、
反対に
自分にないものを持っていて
憧れを抱いたり。

というわけで今日は、
私の大好きな主人公さんたちの話を
させて

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〒 2022 - 愛読書ゆうびん

〒 2022 - 愛読書ゆうびん

こちらは、白くて大粒の雪が
降っています。
そちらはどうですか。

私はこのところ、
気にかかることが重なって
なんとなく心が落ち着きません。
どうしようと思いつつ家を出て
自然と足が向くのは、
書店や図書館。
本がある場所です。

静かな空間に
行儀よく並べられた本の中から
気になったものを手に取っているうちに
少し心が回復する。

あなたにも、
そんな経験はありますか。

今日は
私のとってお

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" きゅンとしちゃう図書 "名鑑

" きゅンとしちゃう図書 "名鑑

ページをめくれば
胸が「 ♡! 」とときめくような
テーマもブックデザインも
最高に素敵な本。

本屋さんで一目惚れして、
家の本棚に並んでいる姿を眺めるのも
ちょっと嬉しくて、
もう何度も読んだのに
不意にまた読みたくなるときがあって、
読めばいつのまにか
心が弾んでいる。

あなたにもそんな一冊が
あるでしょうか。

小説やエッセイもいいけれど
今日はちょっと違うジャンルを読みたいな、
という

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こ と ば に 魅 せ ら れ て

こ と ば に 魅 せ ら れ て

澄んだ水みたいに、

何の違和感もなく心にスッと沁みてきて
いつの間にか、
心地よい潤いを与えてくれて
気づけば
心の中を爽やかに洗ってしまうような、

そんなことばと出会うことができる
(ヒミツにしておきたいくらい)
とっておきの本の紹介です。



ひらがな暦好日絵巻美しいものを

休日の本屋さんで

休日の本屋さんで

休日の本屋さん。

私がある本棚の前で
立ち止まっていた時だった。

隣に、親子がやってきた。

小学生の男の子はお母さんに
「この本が気になる。」と言って
本を指さしている。
が、なぜか手には取らずに躊躇していた。

遠慮したくなる理由があったのかな?
と私がぼんやり思っていると
お母さんが

「本は読みたい時に読まないとー!
ほら、買ってきなさい。」と
男の子の背中を押していた。

な、なんて

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『二度も三度も、読みたくなる本』

『二度も三度も、読みたくなる本』

本はたくさん読むけれどめったに買わない。
大抵は図書館で借りる。
そしてほとんどの本は
一度読んで満足してしまう。
もっと色んな本と出会いたいと思っている。

そんな私が
何度も読みたくなってしまう本がある。

・ライオンのおやつ
・ツバキ文具店
・キラキラ共和国
・喋々喃々

(どれも、小川糸さんの作品😊)

何気ない毎日の
ささやかな幸せを描いているところ。
登場する人たちがみんな
それぞれ

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私が好きな、おいしい文学。

私はこの連休、
おいしい文学をたっぷりと読んだ。

おいしい文学とは
物語の中に
食べ物が中心に据えられて
描かれている小説のこと
(私の中ではそういう意味)で
私はそういった小説が、こよなく好きだ。

文章で表現されると、その食べ物を
より深くゆっくり味わっているような
そんな感覚になるからかもしれない。

ここのところ私が出逢った作品が
とても素敵なものばかりで、
いろんな人にぜひ読んでいただ

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わたし的「声に出して読みたい」文学

わたし的「声に出して読みたい」文学

それはもう、絶対これで
決まりなのである。

私の中で今のところ、
圧倒的トップに立っているのである。

「声に出して読みたい」
と書いたけれど、
実際のところは
「声に出して読んでます」が
正しいのである。

その作品は、なんと言っても、
食べ物を表現する書きぶりが最高だ。
言葉のチョイスが痛快なのだ。

描かれている内容もさることながら、
日本語の表現の豊かさとおもしろさを感じることができるの

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食後のまったりタイムに『デザート図書』を。

食後のまったりタイムに『デザート図書』を。

夜ごはんを食べ終わったあとの
心地よい満腹感。
「ふぁ〜っ、今日も食べた食べた。」
ふわふわと満たされたお腹を抱えつつ
がさごそと、「ティータイムセット」なる箱の中からその日の気分のお茶を選ぶ。
紅茶のティーパックや緑茶、ほうじ茶の茶葉。カフェラテ、ココア、コーヒーに抹茶ミルクの粉末も揃っている。

今日はオシャンに紅茶でいこう。

最近は職場の人から頂いた
アールグレイがお気に入り。
カップに多

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「 もうひとつの居場所 」の物語

「 もうひとつの居場所 」の物語

「 逃げ出してしまいたい 」



今、そんな想いを抱いている人がいたら
ぜひ手に取ってみて欲しい本がある。

どこか懐かしく、少し切なく、とびきり温かい、
「もうひとつの居場所」を描いた物語。



雲を紡ぐ
特に、単行本120頁から122頁の
おじいちゃんの言葉、とても好き。

岩手の瑞々しく美しい自然と
糸を紡ぐ職人たちの芯通った心、
親子、夫婦の関係の再構築。
読み進めるにつれて
心が

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