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27歳10ヶ月、考えごとをしたい夜


僕は
「何になりたい?」という問いかけは、
実はとても残酷ではないかと
思っています。
何かになるということが
正しいとされているからです。

松浦弥太郎の「いつも」


書店で偶然手にした本を
何の気なしにぱらぱらとめくり、
ふと目を落としたその先に
そんなことが、書かれていました。

子どもたちは、繰り返し
「何になりたいか」と質問されるうちに
「何者かにならなくては認められない」と
思い込むようになっていきます。


色鉛筆で描かれた
さらりとシンプルな装丁。
目を引く黄色い帯には
『求めるのは「しあわせ」よりも「安心」』
と書かれています。

それは、松浦弥太郎さん著書
『松浦弥太郎の「いつも」
安心をつくる55の習慣』という本でした。



ところが何者かになろうとしていると、
「自分はもっと輝けるはずだ」という
思い込みで自分を縛ってしまいます。
「自分は何に向いているのか」と
自分探しを続けてしまうこともあります。



書かれている言葉を
目で追うごとに、
なにか、腑に落ちる感覚があったのは
きっとその言葉が

自分の心の片隅に在る
うすぼんやりとした不安を
代弁してくれていたからです。



“何者にもなれないままに
人生は終わるのかもしれない”
“何者でもない自分の人生なんてつまらない”


歳を重ねるごとに
そうした焦りや不安は
ふつふつと湧いてくるようになりました。

幼いころ、自由に思い描いていた
理想の自分とは対照的に、
平凡な大人のひとりになった自分を
受け入れたくない。

誰に打ち明けてよいかも分からないような
気持ちを抱えるなか
この本に出逢ったのでした。


「何者かになりたい」という
欲求に対する
松浦さんの答えはこうでした。


ですので僕は「何になりたいか」より

「どんな人になりたいか」を
考えたほうがいいと思っています。

僕がいつも思っているのは
「人から信頼される人間でいよう」
ということ。
目的はシンプルでいいのです。


***



「何者かになることが全てではない」

そのメッセージに
強ばっていた肩がほっと緩むようでした。


肩書きや職業に囚われず、
人としての在り方を
丁寧に磨いてゆくという生き方もあるんだよ、と手を取って
教えてもらった思いがしました。








その夜、買って帰ったその本を
もう一度読み返して、
自分の胸にこっそり訊ねました。

「私は、どんな人になりたい?」


浮かんだ思いを、
真っ白なノートに
素直な言葉で書き留めました。

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ち あ き
これからもあたたかい記事をお届けします🕊🤍🌿