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言葉は「出る」、文字は「現れる」

言葉は「出る」、文字は「現れる」

「赤ちゃんのいる空間」の続きです。

 今回は個人的な語感に基づいた話をします。まず、まとめから書きます。

*まとめ 
 まず、今回のテーマである「出る」と「現れる」という言葉と文字についての私のイメージをまとめます。

「出るもの」と「現れるもの」という分け方をしますが、世界に「出るもの」と「現れるもの」の二種類のものがあるという意味ではありません。

「出る」も「現れる」も言葉です。この日本

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「似ている」を求めて(「客」小説を求めて・01)

「似ている」を求めて(「客」小説を求めて・01)

「客「である」、客「になる」、客「を演じる」(「物に立たれて」を読む・07)」の続きです。ただし、今回のこの記事は新しい連載の第一回として書きます。

 なお、「「物に立たれて」を読む」は続けます。

*前回のまとめ
 まず連載を始める切っ掛けになった前回の記事をまとめます。

*「客」小説、ゲスト・ノベル
 語り手をふくめ、主要な登場人物が「客」である小説はきわめて多いと感じます。こじつければあ

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壊れる、崩れる(文字とイメージ・06)

壊れる、崩れる(文字とイメージ・06)

「こわれる、くずれる(文字とイメージ・05)」の続きです。

コワレル、クズレル
 壊れる、こわれる、コワレル。崩れる、くずれる。クズレル。

 こわれる。コワレル。kowareru――「a」と「k」のせいでしょうか、どこかかん高い。

 くずれる。クズレル。kuzureru――「u」が二つで「z」があるせいでしょうか、どこか低い響きが……。

 イメージは個人的なものです。なかなか人には通じませ

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振れる、触れる、狂れる(文字とイメージ・04)

振れる、触れる、狂れる(文字とイメージ・04)

 前回の「pen、pending、pendulum(文字とイメージ・03)」をまとめます。

 文字を書くとき、人は宙吊り状態に置かれる。文字を書くさいに用いる指も宙に浮く。ぶらぶら、ゆらゆら、ふらふら、という具合に。そうしたイメージを、私は、「pen・ペン、pending・ペンディング、pendulum・振り子」という言葉の文字に感じる。

 以上です。今回は、「ふれる」という言葉を「振れる、狂

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はかるとわかる

はかるとわかる

「わけるとわかる」の続きです。

     *

「わける」と「わかる」が似ているように、「はかる」と「わかる」も似ています。見た目というか字面が似ているのです。

 わける、わかる
 はかる、わかる

 ただし、「わける」と「わかる」はイメージも似ている気がしますが、「はかる」と「わかる」のペアのほうはイメージは似ていないと感じます。

 とはいえ、イメージや似ているは個人的な印象ですから、人そ

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こわれる・くずれる(文字とイメージ・05)

こわれる・くずれる(文字とイメージ・05)

 体を壊す、体調を崩す。

 昨夜は寝入る前に、この二つのフレーズを転がしていました。

 こわす、壊す、壊れる、くずす、崩す、崩れる
 破壊、崩壊、崩壊感覚、環境破壊

 こういうのは寝入り際に転がすものではないと思い、他の言葉転がしに移りました。

 目覚めた頭で、あらためて転がしてみます。

見える「壊れる」、見えない「壊れる」
 こわれる。こわす。

 見えるものだけでなく、目でとらえられ

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転々とする、転がる、ころころ変わる(「物に立たれて」を読む・06)

転々とする、転がる、ころころ変わる(「物に立たれて」を読む・06)

*「「物に立たれて」(「物に立たれて」を読む・01)」
*「月、日(「物に立たれて」を読む・02)」
*「日、月、明(「物に立たれて」を読む・03)」
*「日記、日記体、小説(「物に立たれて」を読む・04)」
*「「失調」で始まる小説(「物に立たれて」を読む・05)」

 古井由吉の『仮往生伝試文』にある「物に立たれて」という章を少しずつ読んでいきます。以下は古井由吉の作品の感想文などを集めたマガ

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はからずもはかられる、はからずにはかる

はからずもはかられる、はからずにはかる

 前回の「はかるとわかる」で、「イメージや似ているは個人的な印象ですから、人それぞれでしょう。」と書きました。

 今回はその「似ている」という感覚についての私の印象をお話しします。

「似ている」と「同じ」は似ている
 私の印象では、「似ている」と「同じ」は似ています。激似とか酷似とまでは言いませんが、よく似ています。

 よく似ているので混同します。つい同一視してしまうのです。

 自分は「似

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「複製」という言葉のイメージ

「複製」という言葉のイメージ

 今回は「複製について」という連載の枠を外してお話しします。

*複製なのに複製に見えない
・複製としての楽曲(複製について・01)
・絵画の鑑賞(複製について・02)
・複製でしかない小説(複製について・03)

 複製についての記事を書いてきて感じたことがあります。

 これだけ身のまわりに複製があり、世界は複製に満ち満ちているというのに、複製が目につかないのです。

 正確には以下のように言

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ならう、ならす、ならぶ(文字とイメージ・01)

ならう、ならす、ならぶ(文字とイメージ・01)

「文字とイメージ」という連載を始めます。私の気になる文字や文字列を並べて、そのイメージをながめていきます。なお、ここで言うイメージとは、あくまでも個人的で私的な印象のことです。

     *

 文字を並べてみます。

 ならう、ならす、ならぶ

 文字を転がしてみましょう。変奏するのです。変奏、変装、変相、返送。

 ならう、習う、倣う、学習、模倣
 ならす、均す、平す、慣らす、馴らす、均一、

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「失調」で始まる小説(「物に立たれて」を読む・05)

「失調」で始まる小説(「物に立たれて」を読む・05)

*「「物に立たれて」(「物に立たれて」を読む・01)」
*「月、日(「物に立たれて」を読む・02)」
*「日、月、明(「物に立たれて」を読む・03)」
*「日記、日記体、小説(「物に立たれて」を読む・04)」

 古井由吉の『仮往生伝試文』にある「物に立たれて」という章を少しずつ読んでいきます。以下は古井由吉の作品の感想文などを集めたマガジンです。

     *

 引用にさいしては、古井由吉作

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はなす、はなつ、はなれる(文字とイメージ・02)

はなす、はなつ、はなれる(文字とイメージ・02)

 この「文字とイメージ」というシリーズでは、私の気になる文字や文字列を並べて、そのイメージをながめていきます。なお、ここで言うイメージとは、あくまでも個人的で私的な印象のことです。

     *

 はなす、はなつ、はなれる
 話す、放す、離す、放つ、離れる、放れる

 音声としての言葉は、放され放たれると離れていきます。離れて聞こえなくなると消えたという思いが残りますが、本当に消えたのでしょう

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客「である」、客「になる」、客「を演じる」(「物に立たれて」を読む・07)

客「である」、客「になる」、客「を演じる」(「物に立たれて」を読む・07)

*「「物に立たれて」(「物に立たれて」を読む・01)」
*「月、日(「物に立たれて」を読む・02)」
*「日、月、明(「物に立たれて」を読む・03)」
*「日記、日記体、小説(「物に立たれて」を読む・04)」
*「「失調」で始まる小説(「物に立たれて」を読む・05)」
*「転々とする、転がる、ころころ変わる(「物に立たれて」を読む・06)」

 古井由吉の『仮往生伝試文』にある「物に立たれて」とい

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pen、pending、pendulum(文字とイメージ・03)

pen、pending、pendulum(文字とイメージ・03)

 複数の言葉(音声)や文字(形・姿)を思い浮かべながら、辞書で調べれば、語源的につながるのかが確かめられるのでしょうが、あえて調べずに、その共通するイメージを楽しむことが私にはあります。

「似ている」という印象を楽しむのです。「同じ」かどうかは保留するのです。宙吊りです。

「宙吊り」という言葉が出ました。今回は、まさにその「宙吊り」のイメージについてお話しします。

     *

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