「わかっちゃいるけどやめられない」を脳科学で解明! 『習慣と脳の科学』
突然ですが、あなたもこんな経験をしたことはありませんか?
ダイエットしたいのに、つい甘いものを食べてしまう……
運動不足を解消したいのに、なかなか重い腰が上がらない……
スマホの使いすぎを止めたいのに、気づけば何時間も経っている……
誰もが一度は経験したことがあるのではないでしょうか?
変えたいのに変えられない習慣の悩み……、
実はあなたのせいではなく、人間の脳のせいなのです!
これから紹介する、ラッセル・A・ポルドラックの『習慣と脳の科学――どうしても変えられないのはどうしてか』(みすず書房)は、脳科学の最新の知見を駆使して、この悪循環を断ち切るためのヒントを与えてくれます。
①習慣は脳の「自動操縦モード」――無意識の行動パターン
本書でまず明らかにされるのは、習慣とは「脳の自動操縦モード」であるという事実。私たちが日常的に行う行動の多くは、意識的な思考や意思決定を必要とせず、無意識のうちに自動的に実行されています。
これは、脳が過去の経験から学習し、効率的な行動パターンを自動化することで、貴重なエネルギーを節約しているためです。
この「自動操縦モード」は、私たちが効率的に行動し、日々のタスクをこなす上で非常に役立つ機能です。朝の身支度、通勤ルート、職場でのルーティンワークなど、多くの行動が習慣化されているからこそ、私たちはスムーズに一日を過ごすことができます。
しかし、同時に、この自動操縦モードは、私たちを望ましくない習慣へと導く可能性も秘めています。例えば、ストレスを感じると甘いものを食べる、退屈するとスマホを触るといった習慣は、脳の自動操縦モードによって無意識のうちに繰り返され、私たちの健康や生活に悪影響を及ぼすことがあります。
②脳科学が解き明かす習慣のメカニズム――「きっかけ→ルーティン→報酬」のサイクル
それでは、どのようにすればこの悪循環から抜け出すことができるのでしょうか? 本書では、脳科学の視点から、習慣の形成と変革のメカニズムを詳細に解説しています。
習慣は、特定の「きっかけ」によって引き起こされ「ルーティン」と呼ばれる一連の行動へとつながり、最終的に「報酬」を得ることで強化されます。この「きっかけ→ルーティン→報酬」のサイクルが繰り返されることで、習慣は脳に深く刻み込まれ、無意識のうちに自動的に実行されるようになります。
例えば「疲れた時にコーヒーを飲む」という習慣を考えてみましょう。この場合は「疲れ」がきっかけとなり「コーヒーを淹れる、飲む」というルーティンが実行され「カフェインによる覚醒効果」という報酬を得ることで、習慣が強化されていきます。
③悪習脱却のための脳科学的戦略――意識的な介入で習慣を変える
本書では、この習慣のメカニズムを理解した上で、悪習を断ち切り、新しい習慣を身につけるための具体的な戦略が紹介されています。
習慣の「きっかけ」を特定し、コントロールする 悪習を引き起こす「きっかけ」を特定し、それを避ける、または別の行動に置き換えることで、悪習の連鎖を断ち切ることができる。例えば、ストレスを感じた時に甘いものを食べる代わりに、瞑想や軽い運動をする習慣を身につければ、より健康的で持続可能なストレス解消法を手に入れられる
「ルーティン」を修正し、新しい行動パターンを確立する 悪習の「ルーティン」を修正し、代わりに望ましい行動を繰り返すことで、新しい習慣を形成することができる。例えば、スマホを触る代わりに読書をする、寝る前にリラックスできる音楽を聴くといった新しいルーティンを確立することで、より充実した時間を過ごせる
「報酬」を見直し、モチベーションを高める 悪習によって得られる「報酬」を見直し、代わりに新しい習慣によって得られるより大きな報酬を設定することで、モチベーションを高めることができる。例えば、ダイエットの目標を達成した暁には、ずっと欲しかったものを買う、旅行に行くといった具体的な報酬を設定することで、モチベーションを維持しやすくなる
④脳科学の知見を活かして、より良い習慣をデザインする
本書は、単なる自己啓発書ではなく、最新の脳科学研究に基づいた実践的なアドバイスを提供しています。脳の仕組みを理解し、その知識を活かすことで、私たちは悪習を克服し、より良い習慣を身につけることができるのです。
「わかっちゃいるけどやめられない」と諦めていた習慣がある方は、ぜひ本書を手に取ってみてください。脳科学の知見を活かして、悪循環を断ち切り、より健康で幸せな人生を手に入れましょう!
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