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日本史に関する本のレビュー集

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日本史や日本文化に関する本のレビューを集めてあります。日本文化というと、およそ何でも入ってしまいますが、分類しにくいもので、日本文化に関わるものを入れています。
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記事一覧

森と芸術

森と芸術

森と芸術

 森、というものは、ヨーロッパの芸術の中で、どのように扱われてきたのでしょうか?
 それについて、書かれた本です。

 風景画として、リアルな森が描かれることもあります。
 しかし、そういう作品は、非常に少ないです。
 リアルなように見えても、ほとんどの場合、作り手の作為が、強く入っています。

 人は、芸術の森に、リアルな森以外の何かを投影することが、とても多いのです。

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宙【そら】ノ名前

宙【そら】ノ名前

宙【そら】ノ名前

 夜空に輝く月や星を、美しい写真と共に、紹介した本です。

 「星の名前って、こんなにたくさんあったんだ」と、まず、驚きます。
 それと共に、名前の美しさに、惚れ惚れします。

 天文学が好きな方には、必読の本ですね。
 特に好きではない方でも、ページをめくれば、夜空の見事さに引き込まれるでしょう。
 読んでいるうちに、本物の夜空を眺めたくなります。星がきれいに見える

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密教の神々―その文化史的考察

密教の神々―その文化史的考察

密教の神々―その文化史的考察

 仏教の中の密教に登場する神々について、解説した本です。
 一九七九年に出た本ですが、内容は、古びていません。

 本書と、まったく同じ内容の本が、平凡社ライブラリーの文庫本に入っています。
 二〇一四年現在では、そちらのほうが、入手しやすいでしょう。

 密教には、おおぜいの神々が登場します。おおぜいい過ぎて、普通の人には、何が何だか、わからなくなりがちで

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自然の神々―その織りなす時空

自然の神々―その織りなす時空

自然の神々―その織りなす時空

 世界各国の、さまざまな神々を紹介した本です。
 国や地域ごとではなく、機能ごとに紹介しているのが、特色です。天の神、海の神、鳥の神、山の神、石の神、といった具合です。
 題名にあるとおり、自然の中にある物や、自然現象の神ばかりが載っています。

 地域的には、非常に広い範囲の神々を取り上げています。
 日本、朝鮮半島、中国、モンゴル、インド、メソポタミア、

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密教法具 (日本の美術 No.282)

密教法具 (日本の美術 No.282)

密教法具 (日本の美術 No.282)

 仏教の中の密教では、いろいろな「法具」というものを使います。この「法具」について、解説した本です。

 一般向けに、密教法具を解説した本は、ほとんど、ありません。本書は、貴重な資料です(^^)

 一般的に、最も知られた密教法具と言えば、金剛杵【こんごうしょ】でしょう。独鈷杵【とっこしょ】、五鈷杵【ごこしょ】などといった言葉を、聞いたことがありません

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美少女の美術史 -浮世絵からポップカルチャー・現代美術にみる"少女"のかたち

美少女の美術史 -浮世絵からポップカルチャー・現代美術にみる"少女"のかたち

 本書は、同名の展覧会「美少女の美術史」の図録として作られた本です。
 とはいえ、展覧会を見ていなくても、充分に楽しめます(^^) 展覧会を見た人でも、本書の解説を読めば、展覧会の意味が、より、わかりやすくなると思います。

 本書のいわく、「美少女とは、実在しない。観念的な存在である」。
 この意見には、異論の

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アジアの仮面―神々と人間のあいだ

アジアの仮面―神々と人間のあいだ

アジアの仮面―神々と人間のあいだ

 アジアの仮面を使った芸能について、書かれた本です。仮面劇、仮面舞踊などですね。
 日本、韓国、中国、ネパール、インドネシア、インド、スリランカの七カ国が、取り上げられています。

 日本人であっても、日本の仮面の文化について、詳しい方は、少ないでしょう。
 ましてや、他国のこととなれば、情報は、ごくわずかです。

 本書は、複数のアジアの国々を取り上げ

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日本の憑きもの―俗信は今も生きている

日本の憑きもの―俗信は今も生きている

日本の憑きもの―俗信は今も生きている

 日本の憑きものについての、古典的名著です。
 日本の憑きものを調べるにあたって、本書を抜きにすることは、考えられません。決して欠かせない基礎文書です。

 本書を読めば、日本の憑きものについて、基本的な知識は、押さえたことになります。
 ただし、内容がぎっしりなので、読み通すには、時間がかかります。

 狐憑き、犬神憑き、蛇憑きなど、憑きものには、

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宗像大社・古代祭祀の原風景 (NHKブックス 1119)

宗像大社・古代祭祀の原風景 (NHKブックス 1119)

宗像大社・古代祭祀の原風景 (NHKブックス 1119)

 福岡県にある有名な神社、宗像【むなかた】大社について、書かれた本です。
 宗像大社の歴史と、その果たしてきた役割について、とてもよく、まとまっています(^^)

 宗像大社は、今でこそ、福岡県宗像市が本拠地のようになっています。
 が、その祭祀の原点は、遠い海上の島にありました。玄界灘に浮かぶ沖ノ島です。

 沖ノ島は、二十一世

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霊をよぶ人たち (ちくま少年図書館 96 社会の本)

霊をよぶ人たち (ちくま少年図書館 96 社会の本)

霊をよぶ人たち (ちくま少年図書館 96 社会の本)

 かつて、山形県の一部にあった、死者の霊と交信する文化を紹介した本です。

 「死者の霊と交信する」というと、恐山のイタコを思い浮かべる方がいるでしょう。イタコも、死者の霊を呼び出して、交信できるといわれます。日本古来の形を伝える巫女【みこ】ですね。
 イタコに相当する者は、昔の日本には、各地にいました。山形県の一部では、それは、オナカマ

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日本の幽霊

日本の幽霊

日本の幽霊

 日本人が、「幽霊」というものを、どのようなものだと思ってきたのかを、解説した本です。

 というと、堅苦しい本のようですね。決して、そんなことはありません。
 文章が平易で、読みやすいです。話題も、世俗的なことを、うまく取り上げています。頭でっかちの学者さんが書いた、という感じではありません。

 本書が最初に世に出たのは、一九六二年(昭和三十七年)です。それから何回か再版さ

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考古学の教室―ゼロからわかるQ&A65 (平凡社新書 387)

考古学の教室―ゼロからわかるQ&A65 (平凡社新書 387)

考古学の教室―ゼロからわかるQ&A65 (平凡社新書 387)

 考古学の入門書です。Q&A方式で書かれています。

 考古学初心者なら、誰もが思う疑問が挙げられ、それに対する答えがあります。全部で、65問です。
 本書を読み通せば、考古学の基礎知識を、おおむね得ることができます(^^)

 考古学の初心者には、むろん、お勧めです。
 考古学について、ある程度知っているという方でも、本書

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学校の怪談―口承文芸の研究〈1〉 (角川ソフィア文庫)

学校の怪談―口承文芸の研究〈1〉 (角川ソフィア文庫)

学校の怪談―口承文芸の研究〈1〉 (角川ソフィア文庫)

 学校という場で、生徒たちによって語られる怪談について、書かれた本です。
 民俗学的な視点から、解説されています。

 著者は、有名な民俗学者の常光徹【つねみつ とおる】さんです。
 この人の、この本から、「学校の怪談」ブームが始まりました。常光さんは、学校の教員だった経験を生かして、実際に、子供たちから、「学校の怪談」を聞き取り調査

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江戸の都市伝説---怪談奇談集 (河出文庫 し 10-4)

江戸の都市伝説---怪談奇談集 (河出文庫 し 10-4)

江戸の都市伝説---怪談奇談集 (河出文庫 し 10-4)

 題名のとおり、江戸でささやかれた不思議な話を、集めた本です。
 怖い話、不可解な話、あさましい話、忠義に感心する話などがあります。

 一つ一つの話は、短いです。すらすらっと、すぐに読めます。
 文章は現代語訳されているため、読みやすいです。読めば、江戸時代の人々の心持ちが、わかります。
 江戸時代には、仏神の奇跡があると信じ

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