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#エッセイ
あなたと一緒に、仕事がしたい。"働く理由" はそれしかなかった。
「みなさんに、退職のご報告があります。」
部長の口からその言葉が飛び出したとき、辞めるのは彼ではないと知っていたはずなのに、大きく心臓が波打った。
実際は、部下の退職報告を代わりにしたというだけの話だ。けれどわたしはそのとき、不意をつかれて思わず息を呑んだ。
そして、考えた。
もし、彼が今、本当に会社を辞めてしまったら。
わたしは一体、どうするのだろう?
しばらくの間、放心状態になってし
あなたともっと、生きたかった。桜の季節にこの世を去った親友へ。
1年前、親友が他界した。
ちょうど今のように桜が満開で、新しい季節のはじまりに、世の中がそわそわしはじめた頃だった。
家族にも恋人にも、ほかの友人たちにも。誰ひとりとしてこのことを伝えられないまま、わたしは今日を迎えている。
誰にも伝えていないことで、わたしひとりが秘密を抱えて生きているような、後ろめたい気持ちでこの1年を過ごしてきた。
自分が彼女を遠い世界に追いやってしまったような、罪の
私が見ている世界は、あなたが見ている世界じゃなかった
「どうしてそんなに、相手のことを考えられるの?」
「人に対して、共感性が高いよね」
今まで周りの人からそう言われるたびに、わたしはいつも「人のことが好きだから」とか、「人に興味があるから」と、答えてきた。
自分自身、そう信じて疑わなかったから。
だけど先日、気づいてしまった。
わたしは相手のことなんて全然考えられていなかったし、興味を持っているつもりで、本当は何もわかっていなかったという
誰かを照らしたい。だけど、自分も輝きたくて。
そうか、そういうことだったのか。
北野唯我さんの『天才を殺す凡人』という本を読んで、今まで自分の中にずっと存在していた、矛盾の正体がわかってしまった。
正確に言えば、その本の巻末に付されている「ブログに寄せられた感想」によって、それが明らかになった。
目の前を覆っていた霧が晴れて、視界がぱっと明るくなり、すべてが繋がったような気がした。
そうか、そういうことだったのか。
だから、わたしは
わたしを救う、彼の口癖
新しい職場に来て、戸惑っていることがある。
それは、同時にとても嬉しいことでもある。
一体なんのことかと言うと、わたしの新しい上司は、人のことをとにかく褒めるのだ。
とにかく、息を吐くように、人を褒める。
(と言ったら、なんだか人たらしのように聞こえるけれど、たぶん無意識にやっているのだ。すごい。)
その内容は大小様々で、小さいことで言うと、
「メールの返信が早いね」「目標の立て方がいい
私はきっと「そのままでいいんだよ」って言葉がほしかったんだ
「岡崎さんは、生きてるだけで尊いんだよ。」
それは、あまりにも唐突なできごとだった。わたしは上を向いたまま、一瞬フリーズしてしまう。
あと2,3日後には満月になりそうな、おおきな月がぽっかり浮かぶ、夏のはじめの夜だった。
その輝きに夢中になっていたわたしは、ふと我に返って声がする方を向く。
言葉の主は、まっすぐな瞳でこちらを見つめて、真剣な表情をしていた。
その人は、さっきまで眺めていた
わたしの世界を変えたのは、全部きみの言葉だったよ
彼からもらった言葉を、どこかに残しておきたい。
そう思ったのは、年が明けて数日経った、ある日のことだった。
残しておきたい。
そう思ったのは、昨年のわたしが「今年はいい1年だったなあ」と思えていたのは紛れもなく、彼の言葉たちのおかげだったと気づいたから。
やさしい言葉ばかりじゃない。
時には、目を背けたくなるような現実を突きつけられたこともあった。
だけどそれも含めて、彼の言葉には無視で
「誰かに認められる」を諦めきれなくたっていいじゃないか
「自分には価値なんてない」と思うことが、定期的にある。正確には、誰かにそう言いたくなることが。
それはたぶん、「そんなことないよ」と相手に否定してほしいからだ。
自分には価値があるんだ、このままで大丈夫なんだ。
そんな風に安心したくて、身近な人に対して、そう口をすべらせてしまうことが、よくある。
最近は、「自分には価値がない」と口にしてしまうことは、以前よりもぐんと減った。
けれど、その
何度心を失ったって、"わたし本位" で生きていく。
人生で2度目の過呼吸になって、はじめて自分がこんなにもぎりぎりのところまできていたんだということを知った。
これは、つい2週間前のこと。
あの夜、わたしは "過呼吸" という状態になるまで、自分の心の状態に全く気づいていなかった。
むしろ「最近はうまくいっているなあ」なんて悠長なことを考えながら日々を過ごしていた。
夜眠りにつく前に、今日は少し疲れているなと感じることはあったけれど、年が明