併合時代の婦人薬「中将湯」の広告。「挙国一致」「千人針」「慰問任務」「防護訓練」「奉公」「非常時」という単語に時局を感じるが、テニスのスコートがこの時代にあったというのはちょっと驚き。支那事変の年である。(東亜日報1937年9月30日)
第2話 虎女工② 「寅年の女の人は一針刺しのところ、数え年の分まで縫ってやれる。虎は千里を走って帰って来るから、戦争に行っても生きて帰って来れるようにって手拭いに縫ったんだよ、ばあちゃん」 縫い物は恐ろしく上手い 「部落で頼まれて縫い、軍事工場でも縫い」 針で髪をつつく
第1話 虎女工 『おーい!寅年の女はいないかー!寅年の娘は前に出ろ!』 顔を上げず、縫い物の手を休めない その布地は鶯と抹茶色の中間と言っておこう 私には緑系にしか見えないから 波の模様の青海波 羽織風に縫う 玉留めをしながら 「千人針を縫えって回覧がね」