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note クラシック音楽の普遍化を達成する

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クラシック音楽の歴史や作曲家、作品について、哲学的な視点から分析し、その普遍性や深さを探求する和田大貴のnoteです。クラシック音楽について語り合えることを楽しみにしています。参…
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2023年3月の記事一覧

ハイドンのソナタ全集を聴きながら

ダニエル・フュクスというピアニストの演奏で、ハイドンのピアノ・ソナタの全曲録音を聴いている。

どうしてこの人はハイドンを全曲録音したのだろう、と不思議に思ってしまうくらい、淡々と詰まらない演奏が続く。

けれども、それは聴き方が悪いのかも知れないな、という疑心だけが聴き続ける原動力となっている。

そして、7時間くらい聴き流した所で、フュクスという人のピアノが、そんなに嫌ではなくなって来た。

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コパチンスカヤのヴァイオリンリサイタル

コパチンスカヤのヴァイオリンリサイタル

長久手市文化の家へ行きました。
初めて行きました。
リニモのはなみずき駅から徒歩10分ぐらいです。

コパチンスカヤのヴァイオリンリサイタルの看板が出ていました。
コパチンスカヤさんはNHKFMでチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を聴いて個性的な演奏でおもしろいということで今回の長久手公演を知り、聴きに行きました。

発売と同時に購入したので、前の方の通路側の席が取れました。
正統派の演奏ではな

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人間模様から読み解く 新たなショパン像 ① 家族(両親)

人間模様から読み解く 新たなショパン像 ① 家族(両親)

── ワルシャワ時代 ──

 フランス人の父、ポ−ランド人の母のもと、ポーランドで生まれ、フランスで生涯を終えたフレデリック・ショパン(以下、ワルシャワ時代はフレデリック、パリ時代からはショパンと表記)は、主にフランスにおいてロマン派ピアノ音楽を発展させ、フランスに没した経緯により、フランス音楽界の重要人物ともされているが、ポーランド民族の流れを汲む音楽性や、祖国への望郷の想いからも、やはり自他

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小さなバラと素敵な音楽物語

小さなバラと素敵な音楽物語

♪♪♪ 小さなバラと素敵な音楽物語 ♪♪♪

名曲物語 & 演奏会プログラム

 筋金入りシューマニアーナの音楽ライターです。ロマンティック・シューマンを初め、偉大なリスト、哀愁のチャイコフスキーが、とりわけのお気に入り。クラシック音楽の源泉バッハに、天上のモーツァルトは別格として、主にロマン派ピアノ音楽を軸に、作曲家や名曲にまつわる愛にあふれた物語を綴っています。

小説

 短編あり長編ありの

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ウィーン楽友協会 Musikverein グラスホールでの演奏

ウィーン楽友協会 Musikverein グラスホールでの演奏

何年か前になりますが、室内楽での演奏依頼を頂き、ウィーン楽友協会で演奏する機会に恵まれました。

大ホールは「黄金のホール」、小ホールは「ブラームスホール」と名付けられておりますが、2004年 地下に新たに4つの小ホールが増設されました。

その地下の小ホールの中で一番大きなホール、グラスホール Gläserner Saal はかなり立派で、ソロ、室内楽、アンサンブルに良く利用されています。

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ウィーン最古のカフェハウス モーツァルトやベートーヴェンも演奏・初演した歴史ある フラウエンフーバー

ウィーン最古のカフェハウス モーツァルトやベートーヴェンも演奏・初演した歴史ある フラウエンフーバー

市街地にあるカフェ フラウエンフーバーは1824年来ウィーン最古と言われています。

UNESCO
ウィーンのカフェ文化は、2011年よりユネスコ無形文化遺産に認定されました。

時は遡って1788年、マリア・テレジアのお抱 宮廷料理長がここに高級レストランを創立。宮廷料理の小さな店でした。
貴族や外交官、お金持ちで賑わっていた様です。

当時この2階はサロンになっており、モーツァルトが1788年

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ウィーンのカフェ文化 始まりは17世紀トルコ軍が残していったコーヒー豆から・・・

ウィーンのカフェ文化 始まりは17世紀トルコ軍が残していったコーヒー豆から・・・

ウィーンのカフェ文化 
その始まりが興味深いです。
オスマン帝国は2度もウィーンを包囲した訳ですが、2度目の包囲1683年は失敗に終り、その撤退の際に大量のコーヒー豆を残しウィーンを去りました。
そしてその後

1685年ウィーンで初めてカフェを開業
コーヒーを一般の市民が味わえる事となりました。
これがウィーンのカフェ文化の始まりとされています。

特徴
コーヒー一杯で長く居ても嫌な顔をされませ

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オーストリアの義務教育 子供の将来を考えた制度

オーストリアの義務教育 子供の将来を考えた制度

オーストリアは日本と違って学校の制度が少々複雑です。
子供の能力や将来の職業、進みたい方向によって様々に分かれており、
制度は日本とは全く違います。
また留年、飛び級、転校も普通によくあります。

義務教育
6歳から15歳までの9年間

初等教育
6歳で入学 4年間

中等教育
10歳から 前期4年 後期4年
適応によって2つの学校種に分かれます。
のちに職業教育学校に進むか大学に進むかで選択でき

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ウィーンのレオポルド美術館  クリムト兄弟の絵画(グスタフ/エルンスト・クリムト )

ウィーンのレオポルド美術館  クリムト兄弟の絵画(グスタフ/エルンスト・クリムト )

今日本でエゴン・シーレが話題の様ですが、あえてレオポルド美術館に展示してある他の作品に触れたいと思います。

レオポルド美術館 エゴン・シーレのコレクションは世界最大と言われて
おりますが、グスタフ・クリムトや弟のエルンスト・クリムト 、作曲家のシェーンベルクの絵画、またヨーゼフ・ホフマン、コロマン・モーザーなどによるウィーン工房の多彩な工芸品も展示されています。

コレクションが多すぎて一度には

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自己紹介

自己紹介


4歳から

ピアノを始めました。
3歳の時にピアノが弾きたくて親に懇願しましたが、周りに音楽をしている人が居ない事や、まだ3歳と言う理由で、いつも却下されました。
一年間騒いだ末、ようやく両親にアップライトピアノを買って貰い、ピアノを習い始めました。

父親

沢山の画家や芸術家、文豪家などと親交があった為、小さい頃から絵画や美術品に囲まれて育ちました。ポートレートを描いて頂いたり、沢山の影響を

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映画と精神医学(4): アマデウス〜神に愛された男と神を呪った男の物語〜

映画と精神医学(4): アマデウス〜神に愛された男と神を呪った男の物語〜

皆様、こんにちは!鹿冶梟介(かやほうすけ)です。

随分前の作品ですが「アマデウス」という映画をご存知でしょうか?

“アマデウス"はご存知、天才音楽家モーツァルトのミドルネームであり、本映画は同名のブロードウェイ・ミュージカルを映画化したものです。

ちなみにアマデウス(amadeus)とはラテン語で「神に愛されたもの」を意味します。

小生がこの映画を見たのは中学生の時でしたが、そのきっかけは

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ジョージ・セル【指揮台のタイラントと呼ばれて】《特別編》衣鉢を継いだ者:スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ


「ミスターS」生誕100年に寄せて

「本編」はこちら

クリーヴランド管弦楽団音楽監督在任中の1970年に世を去ったセルは、同時代にフィラデルフィア管弦楽団で活躍したユージン・オーマンディ(1899-1985〔1980年に音楽監督から退き、リッカルド・ムーティ〈1941-〉を後継指名〕)と異なり、自身の後継者の指名もしくは発掘をしていない。
1969年、首席客演指揮者にピエール・ブーレーズを迎

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