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2024年8月の記事一覧
ハードボイルド書店員の「すべての始まり」になった一冊
来月13日に↓が出ます。
収録作は八篇。オススメをひとつ挙げるなら「女の決闘」でしょうか。斬新なものを書こうとしていた初期の太宰の意向に、中期に至って磨かれた技巧がようやく追いつき、生まれた前衛芸術です。
6月に発売された↓も気になって仕方ない。
処女短編集です。にもかかわらず「晩年」と名づけた事実が当時の苦境を物語っている。
多くの人がそうであるように、私が太宰に夢中になったきっかけは「
「失われた時を求めて」を巡る冒険⑧
↓を読了しました。
巻の大半を占めるのは、ゲルマント侯爵夫人邸で催された晩餐会。なかなかの苦行でした。
本を読み慣れていない頃だったら、確実に投げ出していたはず。「魔の山」や「白鯨」で味わったことのある感覚だったゆえ、どうにか最終ページまで辿り着くことができました。
「なぜこんなに響かないのか」と悩み、己の無知に原因を求めてしまう部分もなくはない。当時の文化やフランス史に詳しくないのは事実な
「2025年大河ドラマ」の予習にオススメの二冊
早いものでもう8月中旬です。
9月になると来年用の手帳やカレンダー、家計簿がごっそり入ってきます。おそらく全国の書店員が「今年もそろそろか」と感じるはず。
来年用といえば、NHKの大河ドラマ関連。2025年は蔦屋重三郎が主人公を務める「べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~」です。
NHK出版のドラマガイド前編は、例年12月下旬の発売です。しかしそれまでにも各出版社がいろいろ出してくるはず。
前から
「失われた時を求めて」を巡る冒険⑦
↓を読了しました。
ヴィルパリジ侯爵夫人のサロン。そこに集った人々の様子をプルーストは冷徹な筆で描き出します。たとえばこのように。
たしかにそういうものかなと感じました。裕福な大貴婦人に限らず。
思春期の頃、女性にまったく関心がない風を装っていたことがあります。硬派に振る舞いつつ、でも内心では彼女たちの目に己の一挙手一投足がどう映っているか気になって仕方なかった。いま思うと、これはまさに「気
「本を読む気がしない」方へオススメの2冊
連日暑いですね。
夜中に目が覚めることが多く、おかげでボーっとしがち。せっかくの休日も無為に時間を過ごしてしまいます。
読書界隈では「こういう時こそ部屋を涼しくして、普段は読めない大作に挑もう」みたいな話が出ているようです。それこそ話題沸騰のガブリエル・ガルシア=マルケス「百年の孤独」(新潮文庫)とか。
たしかにそういう考え方もあります。ただ、私も全14巻のプルースト「失われた時を求めて」(