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#エッセイ集

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趣味や興味のあることと、自分との間に発生する大切なもの。それを言葉にしたエッセイ集。
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#生き方

筋トレが世界を平和にする

筋トレが世界を平和にする

これは、どえらい世界に来てしまったと思った。2年前、スポーツジムに入会した初日のこと。

真っ黒に日焼けした筋肉ムキムキの男が鏡に向かって得意げにポーズを取っている。「GOLD GYM」ロゴの入ったタンクトップは、肩にかかる部分が細く胸元も大きく開いている。よく見ると鏡でポーズを取る顔がわずかにニヤけているではないか。。これはやばい。

隣の人に目をやると、まるでギリシャ彫刻の男性像が身にまとう「

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あの塩辛いイワシのある場所

あの塩辛いイワシのある場所

20歳そこそこだったぼくはお腹を空かせていて、塩辛い焼きイワシをおかずにパサパサの白ご飯を口いっぱいに詰めて食べていた。みんな笑顔だった。笑顔の人たちと一緒に、塩漬け天日干しを焼いた、飛び上がるほど塩辛いイワシとたくさんの白ご飯でお腹を満たした。

宿舎の地下タンクに溜まった雨水を手動のポンプで一杯ずつバケツに汲み上げて、ボロボロながらその地域ではとても貴重な洗濯機に雨水を放り込んで洗濯をする。洗

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時間の経過を楽しむ。

時間の経過を楽しむ。

自分に起こった出来事が、自分の中に染み込んで、じんわりとゆっくり発酵することで形を変えていく。そのようなプロセス無しには受け止められないこと、意味の分からないことがある。

「気付く」「分かる」というのはきっとそのような時間の経過を必要としていて、それは「生きる」ことと丁度同じことだと思う。

人生で発生する様々な出来事の価値、自分にとっての意味というものは後から振り返ることでしか分からない。

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繊細さの先にある世界。

繊細さの先にある世界。

先日、自分の特性である繊細さをテーマに記事を書きました。

小さな頃から周りの音に敏感で、人混みが苦手だったり、匂いや香りにも敏感だったこと。

普段の人との会話でも、繊細さのおかげでぼくの頭の中は常に情報量が多く、今より若かった頃は息苦しさを覚えながら過ごしてきたこと。

自分は人としてどこか欠落した部分があるんじゃないかって、もっと気軽に自分を表現して、もっと気楽に日常を楽しめたらいいのにって

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日本酒コミュニティの距離感と多様性。

日本酒コミュニティの距離感と多様性。

「さけのわ」という日本酒レビューのSNSがあり、ぼくも昨年12月頃からやっています。

飲んだ日本酒の味わいを記録して文章(メモ)と写真を投稿する、というのが基本的な使い方なんですが、

純粋に個人的な記録用として詳細数値(日本酒度や酸度等)だけをメモする人、解説文無しで写真だけをひらすら投稿する人、その日本酒の味わいから想起される過去の記憶を辿って散文調にまとめる人、など実に多様な人がいます。

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素直と従順のはざまで。

素直と従順のはざまで。

数年前に、数万人規模の大きな会社から数百人規模の小さな会社に転職しました。

他人から見たら「一つの転職」に過ぎないのですが、自分にとっては人生を少し平らな場所に戻してくれた、大きな出来事だったと感じてます。

今回は、この転職を機会に「素直」と「従順」、そして「違和感」をテーマに考えた思考の記録です。

1.大企業時代数年前まで勤めていた従業員 数万人規模の大企業。同期入社組だけでも数百人という

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繊細さを抱えた人にしか出来ないことがある。

繊細さを抱えた人にしか出来ないことがある。

赤ちゃんの頃から周りの音に敏感だった、と母親が教えてくれた。ぐっすり寝ているはずが、少しの物音でビクッと目を覚ましていたって。

赤ちゃんの時のこと、さすがに覚えてないけど、「自分が繊細で敏感だ」ということはなんだかとてもよく分かります。

香りや匂いにも敏感で、初めて行く国や場所では、降り立った空港や駅の様子をまずは匂いで感知している気がします。

今でも洗濯物の香りを確かめたり、慣れない食材は

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限界を知り、多様性を知る。

限界を知り、多様性を知る。

昨年初頭あたりから、筋トレをしてます。最近は新型コロナの影響で自粛+ジムの休業で2~3ヶ月は休んでましたが、先週あたりから徐々に再開させました。

筋トレを続けるメリットというのはすぐに思い浮かぶだけでも色々とあって、自分の肉体が理想とする形に少しでも近づいていくこと、メンタルの安定、やる気、トレーニング後の爽快感とリラックス感。

一番のメリットは、健康を手にできる事だと思います。

心身を整え

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信頼という愛情表現。親が子供に残せるもの。

信頼という愛情表現。親が子供に残せるもの。

親が子供に残せるもの。それは、将来子供が自分の子供時代を振り返った時に「自分はしっかりと親から愛された」という記憶ではないかと思う。

親からしっかり愛されたという記憶が子供の自信を育む。

その自信というのは、過去の成功体験といった実績に裏打ちされたものではなく、結果を残せるか分からない新たな世界に飛び込む際のベースになる「根拠のない自信」。

最近、そんなことをふと考えるようになった。

歳を

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今を生きる、子供は完璧だと思う。

今を生きる、子供は完璧だと思う。

瞑想とかマインドフルネスとか色々とあって、呼吸を整えたり、過去でも未来でもなく「今」に意識を集中する、ってありますよね。

雑念を追い払って、あるいは上手くコントロールして、「今この瞬間」に意識を集中する。ぼくも、かなり前に座禅用の丸くて分厚い座布団を用意して、呼吸を整える!とかやってました。

それはそれで集中できる感覚があったし、集中することによるリラックス感もありました。

ただ、特にそうい

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日本酒の利き酒で味わっているもの。

日本酒の利き酒で味わっているもの。

ぼくは日本酒が好きで、その味わいに興味があり、最近は味覚について勉強しています。

栄養化学者である伏木亨さんの著書『人間は脳で食べている』(ちくま新書/2005年)という本を読んでいて考えさせられるところがあり、

「普段の日本酒の利き酒において、自分は具体的に何を味わっているのか?」という点について、思うところを書いていきます。

1. 日本酒の味わいとは普段日本酒を飲んでいて感じる味

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自然の中で過ごした感覚が今の自分を支えている。

自然の中で過ごした感覚が今の自分を支えている。

関西のど田舎で生まれ育ち、その自然の原風景こそぼくが日本酒を愛する理由の一つだ、と最近記事に書きました。

歳を重ねる度に感じることがあります。

それは、自然というものが、どれほど深く自分の中に埋め込まれているかということ。

そして、

自然に囲まれて生まれ育ち、自然の中でめいっぱい遊んだという経験と記憶が、今のぼくをどれほど肯定してくれているかということ、です。

◇◇◇

・物事が

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子供は、親の背中の「大好き」で育つ。

子供は、親の背中の「大好き」で育つ。

お子さんをお持ちの方なら経験あると思んですが、子供って、どうしてそんなにきっちり観察してるの?ってくらい親のことを見てますよね。

そしてその言動を見事に真似してくる。言葉遣いや、ため息のつき方、笑い方、他人との接し方。。

まるで、ぼくという人間を丸ごと試されてるみたい。やばいぞ、これ。って、そんな経験あるかなーって思うんです。

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日本語に、「背中を見て育つ」という表現がありま

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飛ぶためには抵抗が無ければならない。

飛ぶためには抵抗が無ければならない。

うちにある名言・格言集みたいなのをパラパラとめくっていて、こんな名言を見つけたので、今日はその紹介です。

To fly we must have resistance.
(マヤ・リン/アメリカの芸術家)

日本語訳は、タイトルの通りで、「飛ぶためには、抵抗が無ければならない」。空気抵抗が無ければ、鳥が空を飛べないように、人も抵抗が無ければ飛躍できない。

例えば新しいことを始める際、周囲の反発や

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