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ベルリンの密輸犯がしかけた「目の前すぎて見えない」究極の心理作戦

こんにちは、たけしです。


人は「目立つもの」ばかりに注目して、本当に大事なことをよく見落としています。でも、注意して全体をよく見るクセをつければ、ムダな選択や失敗をぐっと減らすことができるようになります。


つい先日、半年前の決算関係の資料を担当の若手と見直していた時のこと。アジアのある国のマーケット分析のページに、

「なんで、こんなミスに気づかなかったんだろう・・?」

というような、新入社員でも気づくような数字のマチガイがありました。


よく見直してみると、そのスライドでは、マーケットが不調な「理由」についてあれこれ赤字や太字で分析や説明が書かれていました。


その一方、肝心の販売の数字については、なんてことないシンプルな表で過去からの推移が示されていたのみだったのです。


当時、何度も確認して提出したのに、部長も見逃し、さらにはその上の役員からも指摘されず、ついには社長までもが承認してしまっていたのでした。


実はこのような現象には「フォーカシング効果(Focusing Effect)」という人間の特性が関係しています。私は過去に聞いた、東西冷戦時代のドイツを舞台にした面白いエピソードを思い出しました。


かつてベルリンが東と西に分かれていた頃、ある男性が、自転車の後ろにおおきな砂袋を積んで、毎日のように西から東への検問所を通っていました。


検問所の警備員は、「この男は何かを密輸しているにちがいない」と考えて、毎回その砂袋を開けて中身をチェックします。しかし、怪しいものは何も出てきません。


さらに不審に思った警備員たちは、袋を切り開いて砂の一粒一粒まで調べるようになりました。それでも、彼らは何も見つけられませんでした。


こんな毎日が何年か続いたある日、ついに真相が明らかになりました。


なんと、その男性が本当に運んでいた密輸品は・・・毎日乗ってきていた自転車だったのです。砂袋という「おとり」を夢中になって調べていた警備員は、目の前にとめられている自転車が密輸されているとは夢にも思わなかった、、というお話でした。


私たちのふだんの暮らしでは密輸の話はなかなか聞きませんが、似たような見落としが原因でうっかり行動してしまった例はよくあるかもしれません。


・「初月無料!」に飛びつき、その後の月額料金や解約条件をろくに確認せずに契約してしまったサブスク

・天下の「〇〇大学卒業」の輝かしい学歴だけで採用され、入社後に適性や経験に「?」がつく会社員

・「駅から徒歩5分」「築浅」という好条件に心を奪われ、日当たりや夜の騒音を調べずに申し込んでしまうアパート


ほかにも色々あると思いますが、重要なのは、私たちの注意力には限界があり、何かに強く注目すればするほど、他の要素が見えにくくなってしまうということです。そして、まずはこの特性をしっかりと認識することが、より賢い選択や判断が出来るようになるための第一歩です。


エピソードに出てきた警備員たちの行動を踏まえ、日常生活で注意するべき点について私は次のようなことをおススメします。


①気になる部分だけを見るのではなく、全体を見わたす
警備員は砂袋の中身だけを疑い、目の前の自転車を見落としていた

⇒例えば私たちは、ある商品の「60% OFF」なんて派手なディスカウントに目を奪われ、ついつい送料や定期購入条件を見落としがち。また、転職活動では「年収1.5倍アップ」なんて数字だけを重視して、労働時間や職場環境などは軽視。「気になる部分」に集中しすぎると、ほかの重要な点を見落とし全体像を見失ってしまうのです。


②相手が『見せたがっているもの』には要注意
自転車の男性は、おおきな砂袋を目立つように積んでいた

⇒「今だけ半額!」「残りわずか!」等の目立つ表示があるときには特に要注意です。そんなときは逆に「自分が見ていないものは何だろう?」と考え、基本価格や契約条件、解約時の違約金など、目立たない部分にも目を向けることで、本当に賢い選択ができます。

③時間軸をずらして考えてみる
警備員は「今」の検査に集中し、男性が何年も毎日国境を超える理由を考えなかった

⇒「今」する選択や判断が1か月後、1年後にどうなっているかを考えることで、新しい視点に気付くことがあります。たとえば「月額わずか980円!1日あたりたった33円!」の動画配信サイト。33円は安いからと、見たい番組のために似たようなサービスを2つ契約。実は、お目当ての番組以外はほとんど見ていないのに、年間23,520円も払っていることを見落としてませんか?


結局のところ、私たちは「見たいものしか見ない」生き物です。ですが、それを知った上で意識的に「違う見方」を探してみることで、多くの見落としを防ぐことができるはず。


あなたもお金を使う判断をしたり、何かを選んだりする場面にいきあたったら、決める前にもう一度このベルリンの話を思い出して下さい。きっとこれまでより時間やお金のムダが減るはずですよ。


あの警備員たちは「砂袋」にとらわれ目の前の「自転車」を見落としていました。同じように、あなたは毎週やってくる「月曜日の憂鬱」の本当の原因と、「正しい週末の過ごし方」を見落としているかもしれません。今すぐ実践できるカンタンな方法はこちらをチェック↓


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たけし | ロシア/海外メンタルヘルス・心理学/仕事術研究
4兆円企業で管理職をやっているアラフォー社員のたけしと申します。頂いたサポートは私と同じようにメンタル不調やパワハラを受けた経験のあるサラリーマンを助けるためのメンタルケアや思考法の勉強に充てさせて頂きます!