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教育問題に関する私見と雑観

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私が書いた記事のうち、教育全般に関する個人的な意見などのものをまとめています。
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2022年5月の記事一覧

令和の高校生の価値観の分析と理解

年を取り、生徒との年齢差が広がる教員を何年もしていると、徐々に生徒との年の差が開いてきます。

もちろん、それ故に指導の幅が広がったり説得力が増す効果もあるのですがどうしてもジェネレーションギャップが発生します。

この手のギャップは授業をするだけではそこまで表面化しませんが、個別指導を行う段階で大きく影響してきます。

面談が成立しない面談に関してそのギャップの影響は絶大です。

なぜならば、彼

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授業準備は「車輪の再発明」か

授業準備は「車輪の再発明」か

授業の準備を行うのは教員の業務の一つです。

もちろん、その時間が業務時間内に潤沢に録ることができるか、と言われると難しいところです。

しかし、授業とそれに伴う準備は本来は教員の最も主たる業務と言って差し支えないでしょう。

授業準備にかける時間の目安私は基本的に授業準備を前日に行います。

ざっくりと授業進度の計画を立ててはいますが、習得状況に応じて進度を変化させるため、見通しがつかないためで

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家族旅行で「学校を休む」ことの是非

家族旅行で「学校を休む」ことの是非

今年のGWは飛び石連休だったため、以下のような記事が話題になっていました。

私の勤務校でも、暦通り飛び石連休となっていました。

私は今年高校3年生の担任をしているため、欠席者がいなかったこともあり実感はありませんが、年長になる長男がいる保護者としては興味のある話題です。

私用で学校を休ませることへの抵抗感記事中からの引用ですが

どうやら依然として、私用での欠席に関しての抵抗感は強いようです

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「教員の質保証」と「教員不足解消」は両立可能か

「教員の質保証」と「教員不足解消」は両立可能か

以下の記事をTwitterで見かけましたので、この件について考えたいと思います。

この提言に関しては、特定の政党やその支持者の教員に対する執念、怨念を感じる部分もありますが、ここでは冷静に考察していきたいと思います。

「教員の質」の定義と評価について教員の質とはどのように定義するのでしょうか。この提言案においては以下の様に定義が示されています。

これらのものを総合して「教員の質」と定義してい

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校訓に「自主性」を謳う学校は「主体性」を許容できるか

校訓に「自主性」を謳う学校は「主体性」を許容できるか

校訓の中に「自主性」が入っている学校は少なくありません。

当然ながら「自主性」のある生徒を育てたいという意思から入れられたのでしょう。

ところが、最近は、「自主性」よりも「主体性」という言葉をよく聞きます。

改訂された学習指導要領でも「主体性」が強く打ち出されています。

この2つの違いについて考えたいと思います。

「主体性」と「自主性」まずは言葉の意味を確認します。

主体性:自分の考え

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「授業スキル」の向上と、これからの教員の戦い方

「授業スキル」の向上と、これからの教員の戦い方

今回は教育業界においてなかなか触れにくいこのテーマに関して考えたいと思います。

「授業スキル」の定義「授業スキル」に関してまずは定義していきます。

教科学力スキル

ファシリテーションスキル

チョーク&トークスキル

教員、もしくは講師の授業スキルを主に上記の3つの集合体であると考え、それぞれ分けて考えていきます。

教科学力スキルとは文字通り、教科の学力の事です。

教科の知識や入試の問題

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「学習計画」を立てない逐次学習管理法

「学習計画」を立てない逐次学習管理法

私の勤務校は中間試験期間の真っ只中です。

現役高校生も、そしてかつて高校生だった人たちの多くが「学習計画」を立てて試験勉強をしなさいという指導を受けたことがあると思います。

今回はそれに関して私見を書いていきたいと思います。

「学習計画」の難しさ「学習計画」とは、目標を設定して、必要な学習量を割り出し、それを残りの日数で逆算するものです。

当然、この計画がある程度の完成度に仕上がれば、大半

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宿題忘れに「指導」は必要ない

宿題忘れに「指導」は必要ない

小さいころ、宿題を忘れて学校の先生に叱られたという人は少なくないように思います。

ドラえもんでのび太君がバケツを持って廊下に立たされているシーンは昭和の代表的な宿題忘れの光景でしょう。

提出物忘れの指導学校では提出物の期限に関して注意や指導を行うことがあります。

外部機関への申し込みや、公的書類、奨学金など期限が過ぎてしまった場合に取り返しがつかない書類を取り扱うことがあるからです。

書類

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「この言葉は難しいから使わない」は優しさではなく、知性の否定に過ぎない

「この言葉は難しいから使わない」は優しさではなく、知性の否定に過ぎない

本日、こちらのYukiさんの記事をきっかけに、考えたことをまとめたいと思います。

上の記事の要約としては、中学生の日本語の読み取り能力の低下問題とその対策に関するものになります。

極めて切実な問題であり、これに対する対策も考えさせられるものでした。

原因と対策、特に語彙力を高めることに関しては一人一人が取り組む方法が書いてあるので非常に参考になります。

ぜひリンクから飛んで読んでもらいたい

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教員は若者を「選ぶ」側ではなく、「選ばれる」側になった

教員は若者を「選ぶ」側ではなく、「選ばれる」側になった

多くの学校では、5月も後半は教育実習の時期となっているのではないでしょうか。

以前、教育実習について記事を書きました。

ここで触れた、教育実習生に対する現場の向き合い方について考えていきたいと思います。

旧態依然とした「実習観」先日、twitterで以下のツイートが流れてきました。

これに対し結構な数の批判的なリプが見られました。

教育実習生は寝食を忘れて必死になって取り組むべきだ、とい

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研修を受けていないために、免許が失効し、研修を受けていないのに復活する謎

研修を受けていないために、免許が失効し、研修を受けていないのに復活する謎

教員免許更新制度が廃止になりました。

これ自体に関しても賛否はありますが、それ以上に今回不思議に思ったことについてまとめていきます。

再授与申請だけで有効に先日、報道されたのが以下の内容です。

どうやら、教員免許を失効した場合、再度授与申請をするだけで復活するようです。

これに関してどのような根拠(法的な根拠ではなく、道義的、論理的な根拠)でこの制度を行うのでしょうか。

そもそも、更新制

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「科学リテラシー」教育と新課程

「科学リテラシー」教育と新課程

高等学校で学ぶべきこと近年は高等学校で学ぶべきことが増えてきています。

これは社会や保護者の要請であったり、文科省の方針であったり、ロビー活動の結果であったり、理由は様々です。

ここ最近の話では、金融教育がその代表的な物でしょう。

これらを学校のカリキュラムに導入することに対し賛否が分かれています。

しかし「必要である」という声を受けているのは間違いありませんし、全く効果がないという物でも

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学校教育が生涯スポーツの障害になっていないか

学校教育が生涯スポーツの障害になっていないか

今、運動をしていますか?「学生時代、運動をしていましたか?」という質問に対して、「Yes」という回答をする人は非常に多いようです。

しかし、「今、運動をしていますか?」という質問に対して。「Yes」と回答する人はどれぐらいいるでしょうか。

就職活動などにおいてもスポーツ経験はある程度高く評価される項目のようです。

ところが、社会人になってからスポーツを継続する人は極端に少ないようです。

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「自分語り」教員の寂しさ

「自分語り」教員の寂しさ

学校の教員をしていると、ホームルーム中や授業の合間に雑談を挟むことがあります。

内容的には、進路選択や学習、時間管理の方法などです。

特に、過去の卒業生の経験や失敗談などを客観的に遡って話すことができるのは私立の強みでもあります。

同じ環境で得た先人の知見ですから、ある程度は興味を持って聞いてくれるケースが多いようです。

教員は「自分語り」を話しがちこうした時に話しがちなのが「自分語り」で

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